今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。

梅雨の人

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エルザとダグラス

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エルザとダグラスはその後、エルザにそっくりな長女と次男を授かった。

忙しい公務の隙間を縫って、エルザとダグラスはできる限り子どもたちと時間を過ごすようにした。

国王はかわいい孫たちの姿に目を細め、己の一人息子ルーカスでは叶わなかった現在のエルザの幸せに満ちた様子に安堵した。

ルーカスが至らなかったばかりに王太子にされたダグラスだったが、国内外からの評価は高く国民の人気は絶大で、ここらでようやく長らく努めてきた自身の国王の座を明け渡す渡す決意を固めたのだった。

王太子となって七年後、国王となったダグラスは愛しい妻と子供たちをこよなく愛し、そしてその後もエルザと共にさらに国を発展させ民に幸福をもたらし続けたのだった。 

その間ルーカスはエルザにむやみに接触することもなく、ただ任せられた任務を黙々とこなしていった。

ダグラスとエルザは年を重ねても尚、仲良く寄り添い続け、国内外からも仲むつまじい国王夫妻として有名であり続けた。



月日は流れ、たくさんの孫たちに恵まれたダグラスとエルザは、長男オリバーに国王の座を譲ることを決め、自分たちは引退することにした。

二人の人生は若いころに想像していたそれと大きく異なるものだった。

幸せではあったが、常に国を守り抜くため緊張と隣り合わせの日々を送ってきた。


隠居後は、ダグラスとエルザは国内はもとより国外にも足を向け、まるで新婚生活のような二人きりの時間を満喫していた。


しかし、二人きりの穏やかな時間が十年過ぎたころ、ダニエルは病に侵されてしまった。 

次第に体力が衰え食欲が落ちていくダグラスをエルザは心配し、国内外からの専門家にダグラスを診察してもらった。 

しかし時すでに遅く、手の施しようがないと理解したエルザは、ダグラスにそれを悟られないように静かに涙を流す日々を送っていた。 

ダグラスが病に倒れてもなお、エルザはダグラスの傍に寄り添い甲斐甲斐しく自らの手で世話を続けた。

互いに寄り添い伝わってくる体温がエルザの気持ちを落ち着かせたが、いくら考えてもダグラスのいない生活などエルザには耐える自信はなかった。

残念ながら聖女の力をもってしても病までは治癒できないらしく、己のふがいなさに崩れ落ちたのだった。 
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