愛を知ってしまった君は

梅雨の人

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両親との会話

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「ルビー、疲れはとれたのか?まだゆっくりしていてよかったのに。夕餉を部屋まで運ばせても良かったんだぞ?」 

「ええ、大分疲れが取れました。ご心配をおかけしました、お父様、お母様。」 

「そうか、では久々のルビーとの食事を楽しむとしよう。」 

目の前に並べられたのはルビーの大好物ばかりで、両親の包み込むような温かな気持ちにそれまで冷え切っていた気持ちが和らいでいく気がしたルビーだった。 

その日、久しぶりの親子団欒の時間をゆったりと過ごしたルビーだったが、部屋で一人になるとどうしても眠りにつくことが出来なかった。 

目を閉じてしまえば、ノアが今まで見せたことのないほど荒々しく、親友だと思っていた女と獣のように交わっていた姿が目に浮かぶのだ。 

眠りにつくことをあきらめてしまったルビーは、本棚から独身の頃に読みかけていた本を手に取り、読書に耽った。 

次の日の朝、朝食を済ませたルビーは両親に向かい合って座っていた。 

「お父様、お母様。お話があります。」 

「ルビー、無理をしなくていいんだぞ。」 

「いいえ、お父様とお母さまに聞いていただきたいのです。」 

そう言い切ったルビーは、言葉を詰まらせながらも先日の出来事を両親に話して聞かせた。 

話の途中、ルビーの父は怒りで「ふうっ」とか「なんてことだ…」など口走りつつもどうにかルビーの母が宥めてくれたおかげで最後まで聞いてもらうことが出来た。 

「なんてことなの....しかもよりによって、夫婦の寝室ですって......?」

「ルビー、お前はどうしたい?なに、娘一人くらいずっと養っていくことなどたやすいことだ。なんなら領地経営を手伝ってもらってもいい。」 

これからのことを思うと不安に陥っていたルビーだったので、両親の温かさが身にしみた瞬間だった。
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