見捨てられたのは私

梅雨の人

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先日まで雪がちらちらと降っておりましたのに、今日は晴天で空気が澄んでおります。 

亮真様へはその後お手紙でどうぞお気になさいませんようにとお伝えしましたが、未だに返信はございません。 

やはり私は亮真様のお相手として不十分だということなのでしょうか。亮真様の婚約者としての自信が持てなくなってまいりました。 

「どうした小雪、ため息なんてついて。急だが先日の小雪の祝いを贈りたいんだ。これから一緒に出掛けてくれるか?」 

「もちろんご一緒させていただきますわお兄様。」 

「よかった。じゃあ一時間後に出発しよう。では後でな。」 

 

「そうと決まればお洒落をしましょうお嬢様!」 

きゃっきゃっとはしゃぐ使用人に連れられて私はいったん部屋に戻っていきました。 

あまり外出をしない上に亮真様との交流も途切れてしまっている私はおしゃれとは無縁でしたので、久々に着飾ることができるといって周囲がはしゃいでおります。 


「小雪」
「お兄様。使用人の皆がとてもはしゃいでしまって。幸太郎お兄様とお出かけするだけなのに、あれでもないこれでもないって本当にすごかったんですから。ふふふっ。」 

「ああ、確かに皆の楽しそうな声が私のほうにも聞こえてきていたけど賑やかで良いじゃないか。これからはこうしてたまに着飾って私と出かけてくれると嬉しいのだがね。」 

「まあ、お兄様ったら。でもいつまでもお兄様にべったりしていたら未来のお兄様の奥様に嫌われてしまいますわ。早く兄離れをしなければいけないのにあまり甘やかさないでくださいませ。」 

「小雪を面倒に思う嫁は必要ない。小雪は小雪のままでいい。兄である私が守ってやる。」 


「幸太郎様、小雪様。到着いたしました。」 

「ああ、ありがとう。小雪降りるぞ。」 
「ええ、お兄様。」
 

「さあ、まずはゆっくり買い物でもしよう。最近は異国からの品もどんどん輸入されてきているから二人で何か目新しいものでも探してみるのも楽しいだろう?ほら、しっかりつかまってるんだぞ?」 

すっと差し出されたお兄様の腕に手を添えてゆっくりと歩きだしました。 

遠い国の人形や色鮮やかな食器、不思議な絵柄の布など、とても珍しくてついつい足を止めてしまいます。

どれも珍しくて素敵なものばかりだったので思わず見入っていた私へと、宝石がちりばめられた小物入れと髪飾り、ちょっとした御呼ばれの際に着れそうなワンピースと、帽子、それとサファイアという宝石が埋め込まれた目の青い猫のぬいぐるみをお兄様が買ってくださいました。 

まだまだ買い足りないとお兄様がおっしゃるので、さらに違う店を見てまわっておりますと楽しくなってしまっていつの間にか日が傾きかけておりました。 
 
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