見捨てられたのは私

梅雨の人

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「亮真様、小雪です。…亮真様?」 

呼んでも返事がないのでゆっくり扉を開くと亮真様はそれはそれは美しいかんざしを陽

「そうか。それは、よかった…と言っていいのか…」 

「ありがとうございます、亮真様」 

「え?」 

「はい?」 

「いや…これは…君の誕生日に送る贈り物選びを義姉さんが助けてくれたお礼にと思って用意した。というか義姉さんにねだられてだな…」 

「…そうでしたか。申し訳ございません。早とちりで勘違いをしてしまいましたね。あの、私はこれで失礼いたします…」 

「小雪」 

「失礼いたします」 

「これから一緒に出掛けて君の好きなものを買おう」 

「孝一朗お兄様がたくさん贈ってくださったばかりですので特に今欲しいものはないのです。ですのでお気持ちだけ頂きます。ありがとうございます。では私はこれで失礼いたします。」 

「小雪」 

(この期に及んで好きなものを買ってやる…だなんて。) 

扉を閉める際に亮真様が私を引き留めようとする声が聞こえたような気がいたしましたが私はそのまま妙子さまのお墓参りに出かけることにいたしました。 


◇◇◇◇

妙子様のお墓の前で語り掛けます。

「ねえ、妙子様。とんだ勘違いをしてしまったわ。とても、とても情けなくて恥ずかしい思いをしてしまいましたよ。…

妻の特別な日にはひざ掛けで、お慕いする方にはあのような…あんな素敵なかんざしを贈られるだなんて…

亮真様があんなにまぶしそうに眺めて出来上がったのを心から喜んでいる様を目の当たりにして、それが妻の私への贈り物だって、そうであってほしいって思ってしまうではないですか。

それなのに私のではなくて義姉様のためだなんて。妻の特別な日にはひざ掛けで、お慕いする方にはあのような…。

先日だって、酔い潰れておしまいになったお義姉様をお支えするのに、太賀さまが付いてらっしゃるのに亮真様まで。慈しむように全身で支えてらしたのよ?亮真様は一度も振り返って私が来ているのかなんて気にもしてくれなかったわ。

この頃夫婦としてうまくやっていけるかもだなんてまた思っておりましたけども。何度も折れた心は少しずつ修復不可能になってきている気がいたします。なんだか白けてきてしまいましたわ…。それでも亮真様のことをお慕いしているのですけれども…。

妙子様。亮真様と今後どのように向き合っていけばよいのでしょうか…」

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