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亮真9
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気の強さが表情にも声にもその喋り方にも出ており、屋敷に住むようになってからは使用人がかわいそうなほど彼女に対して委縮している。
気に食わなければ金切り声で怒鳴りつけているため、離れた場所にいてもその声が聞こえて来る。
それなのに私の前ではそれを隠しているつもりなのだろう。
上目遣いで視線を送られただけでもう気持ちが悪くなってしまうのだからどうしようもない。
ところどころに残る小雪の名残を見つけるたびに目をとがらして使用人に命じて勝手に捨てさせようとするのを、ひそかにすべて私の方で大事に隠してしまっている始末だ。
人の不幸な話を好み、真っ赤の口紅を付けた口角がこれでもかというほど上向くのを見るたびに、目をそらしてしまうのは仕方ないだろう。
甲高い声で早口で話し、自分より身分の低いものを平気で見下す彼女を見ていると、本当に何もかもが小雪と違うと絶望感に襲われる。
当然だ、今の妻と小雪は別人で別人格で、それは当然のことなのに、いちいち落ちこみそのたびに自分の過去を思い出して後悔し、決して出られない迷路の中で行き詰ったかのように頭を抱えている。
小雪に会いたい、小雪の声を聴きたい…
遠くからでも、偶然を装ってどうにか小雪のそばに行けないだろかと何度も何度も誘惑に負けそうになるのをぐっと耐える毎日を送っていると兄さんが訪ねてきた。
「亮真…まあ、お前の気持ちは分からなくもないが…顔色がすこぶる悪いじゃないか。…仕方ない…。今度藤堂孝一朗と一宮東吾が手掛けた最先端の橋の完成式典が行われる。噂によると小雪さんの名前がその橋に使われるらしいから、…もしかしたら来るかもしれないぞ。私はその日食中毒で動けなくなるからよければお前が行ってこい。」
「兄さん…」
「俺も一応ほんの少しだが材料調達に力添えをさせてもらったんだ。さすが藤堂孝一朗だ。何食わぬ顔で式典に大河内家の私を呼ぶとはな。大物だよ。気にする存在でもないと思われてるからだろうがな。だがお前は…。違う。だからもしも小雪さんが現れたら…小雪さんに近寄るなよ?ただ遠くから見るだけだ。わかったな?」
思いがけず小雪を目にできるかもしれないと生きかえった心地がした。
気に食わなければ金切り声で怒鳴りつけているため、離れた場所にいてもその声が聞こえて来る。
それなのに私の前ではそれを隠しているつもりなのだろう。
上目遣いで視線を送られただけでもう気持ちが悪くなってしまうのだからどうしようもない。
ところどころに残る小雪の名残を見つけるたびに目をとがらして使用人に命じて勝手に捨てさせようとするのを、ひそかにすべて私の方で大事に隠してしまっている始末だ。
人の不幸な話を好み、真っ赤の口紅を付けた口角がこれでもかというほど上向くのを見るたびに、目をそらしてしまうのは仕方ないだろう。
甲高い声で早口で話し、自分より身分の低いものを平気で見下す彼女を見ていると、本当に何もかもが小雪と違うと絶望感に襲われる。
当然だ、今の妻と小雪は別人で別人格で、それは当然のことなのに、いちいち落ちこみそのたびに自分の過去を思い出して後悔し、決して出られない迷路の中で行き詰ったかのように頭を抱えている。
小雪に会いたい、小雪の声を聴きたい…
遠くからでも、偶然を装ってどうにか小雪のそばに行けないだろかと何度も何度も誘惑に負けそうになるのをぐっと耐える毎日を送っていると兄さんが訪ねてきた。
「亮真…まあ、お前の気持ちは分からなくもないが…顔色がすこぶる悪いじゃないか。…仕方ない…。今度藤堂孝一朗と一宮東吾が手掛けた最先端の橋の完成式典が行われる。噂によると小雪さんの名前がその橋に使われるらしいから、…もしかしたら来るかもしれないぞ。私はその日食中毒で動けなくなるからよければお前が行ってこい。」
「兄さん…」
「俺も一応ほんの少しだが材料調達に力添えをさせてもらったんだ。さすが藤堂孝一朗だ。何食わぬ顔で式典に大河内家の私を呼ぶとはな。大物だよ。気にする存在でもないと思われてるからだろうがな。だがお前は…。違う。だからもしも小雪さんが現れたら…小雪さんに近寄るなよ?ただ遠くから見るだけだ。わかったな?」
思いがけず小雪を目にできるかもしれないと生きかえった心地がした。
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