9 / 27
おぞましい事実
しおりを挟む
イザック様に留学のお誘いを受けたその日の夕食の席で、お父様に留学をさせてくれないかとお願いしてみた。
お父様も、最近のイザック様と私の様子からして互いの交流がおろそかになっていることを気にしている様子だった。
だが、それもカトレア―ナ王女殿下のお世話係を仰せつかっている為であり、致し方ないだろうというのがお父様の考えでもあった。
本来、責任感の強いイザックをお父様も信頼しているのだろう。
イザックに留学のことを相談して、もしも彼が私の留学に賛成してくれるのならば、せっかくの機会なので行ってもよいだろうと許可を得た。
メリッサの叔母様にお世話になる上に、現在留学生としていらしているマーカス様が傍についていれば安心であろうというのが父の見解であった。
週が明け、早速マーカス様にそのことを伝えたらとても喜んでくれた。
問題はどうやってイザックに私の留学の件を相談するかだが、忙しそうにしているしている彼と相談する時間を設けるのは至難の業だ。
ここしばらく休憩時間になるとイザックは王女殿下のお供で王族専用の休憩室にいることが多いと耳にした。
だから、学園でイザックに会って留学の話を早く相談したかった私は、学園長にお願いして特別に王族専用の休憩室にアクセスする許可を頂くことにした。
学園長に事情を説明し許可を頂いてから、その休憩室へと足を運んだ。
イザックがそこにいることを願って。
王族専用の休憩室へは、そこへ続く通路手前にある厳重な扉を抜けて進んでいかなくてはならない。
静寂な空間で、私の歩く音だけがこだまする。
少し歩いて階段を上るとその休憩室の扉が目に入った。
今更ながらに、私ごときがこのような場所に来てよかったのだろうかと一抹の不安を覚える。
学園長に許可を頂いたと言っても、怖気づいてしまった。
とにかく気を取り直そうと一呼吸してから、ノックをしようとしたその時…。
女性のすすり泣くような、苦しんでいるような声と男性の荒い息遣いが扉越しに聞こえてきた。
もしかして、王女殿下に何か起こっているのではないかと不安になり、震える手でドアノブを回し中の様子を覗くことにした。
わずかに開いたドアの隙間から目に入ってきた光景はローズマリーにとって衝撃的で残酷な光景だった。
すぐに踵を返し、教室に戻ったローズマリーの顔色が悪いのを心配したマーカスによって、屋敷まで送りとどけられることになった。
マーカスに屋敷まで送り届けてもらった日から高熱が二日間続いた。
しかし、寝ても覚めても、王族控室で見てしまった光景が頭から離れず気持ちはどんどんふさぎ込んでいった。
息を乱し、快楽におぼれていたイザックとカトレア―ナ王女の獣の交わりのような光景が、その事実がローズマリーの心を深くえぐった。
以前イザックとの関係に悩んだり落ち込んだりした時、メリッサたちの助言もあって、自分を大事にしよう、イザックに相手にされてない間は自分のやりたいことをしようと決めたのを思い出す。
今思えば、あの悩んだりした時間も無駄だったのではないかと考えてしまう。
結局イザックににとってはカトレア―ナ王女のことで頭がいっぱいで、私のことなんてどうでもよかったのだろう。
熱が引いてから三日目、ローズマリーは父にイザックとの婚約解消の手続きを願い出た。
愛する娘に婚約解消の手続きを願い出られたローズマリーの父は、少しの間考えたあとその理由を問うた。
理由を問われる覚悟はしていたものの、本当の理由を父に伝えることをローズマリーは躊躇した。
ただ、責任感の強いイザックを気に入っていた父にしてみたら明確な理由もなしに婚約解消を行ってくれないだろうという事も分かっていた。
勘のいい父のことだ。
私の嘘など一発で見破る事だろう。
父に、婚約者に疎かにされた私のことをどう思われるだろうかという不安がじわじわと襲ってくる。
理由を聞かれてうろたえている私を落ち着かせるように、背中をポンポンっと優しくさすってくれる大きな手に涙が溢れてきた。
まだ小さな頃、泣いていたり落ち込んだりしているときに、良く父がこうやってくれたのを思い出す。
そこからは堰を切ったように、これまでの事、そして、王族控室で見てしまったあのおぞましい出来事を父に伝えた。
最後まで黙って私の言うことを聞いてくれた父は、ずっと私を抱きしめてくれた。
そして泣き疲れて横になった私に、後のことは任せるようにと言い残し部屋を出て行った。
お父様も、最近のイザック様と私の様子からして互いの交流がおろそかになっていることを気にしている様子だった。
だが、それもカトレア―ナ王女殿下のお世話係を仰せつかっている為であり、致し方ないだろうというのがお父様の考えでもあった。
本来、責任感の強いイザックをお父様も信頼しているのだろう。
イザックに留学のことを相談して、もしも彼が私の留学に賛成してくれるのならば、せっかくの機会なので行ってもよいだろうと許可を得た。
メリッサの叔母様にお世話になる上に、現在留学生としていらしているマーカス様が傍についていれば安心であろうというのが父の見解であった。
週が明け、早速マーカス様にそのことを伝えたらとても喜んでくれた。
問題はどうやってイザックに私の留学の件を相談するかだが、忙しそうにしているしている彼と相談する時間を設けるのは至難の業だ。
ここしばらく休憩時間になるとイザックは王女殿下のお供で王族専用の休憩室にいることが多いと耳にした。
だから、学園でイザックに会って留学の話を早く相談したかった私は、学園長にお願いして特別に王族専用の休憩室にアクセスする許可を頂くことにした。
学園長に事情を説明し許可を頂いてから、その休憩室へと足を運んだ。
イザックがそこにいることを願って。
王族専用の休憩室へは、そこへ続く通路手前にある厳重な扉を抜けて進んでいかなくてはならない。
静寂な空間で、私の歩く音だけがこだまする。
少し歩いて階段を上るとその休憩室の扉が目に入った。
今更ながらに、私ごときがこのような場所に来てよかったのだろうかと一抹の不安を覚える。
学園長に許可を頂いたと言っても、怖気づいてしまった。
とにかく気を取り直そうと一呼吸してから、ノックをしようとしたその時…。
女性のすすり泣くような、苦しんでいるような声と男性の荒い息遣いが扉越しに聞こえてきた。
もしかして、王女殿下に何か起こっているのではないかと不安になり、震える手でドアノブを回し中の様子を覗くことにした。
わずかに開いたドアの隙間から目に入ってきた光景はローズマリーにとって衝撃的で残酷な光景だった。
すぐに踵を返し、教室に戻ったローズマリーの顔色が悪いのを心配したマーカスによって、屋敷まで送りとどけられることになった。
マーカスに屋敷まで送り届けてもらった日から高熱が二日間続いた。
しかし、寝ても覚めても、王族控室で見てしまった光景が頭から離れず気持ちはどんどんふさぎ込んでいった。
息を乱し、快楽におぼれていたイザックとカトレア―ナ王女の獣の交わりのような光景が、その事実がローズマリーの心を深くえぐった。
以前イザックとの関係に悩んだり落ち込んだりした時、メリッサたちの助言もあって、自分を大事にしよう、イザックに相手にされてない間は自分のやりたいことをしようと決めたのを思い出す。
今思えば、あの悩んだりした時間も無駄だったのではないかと考えてしまう。
結局イザックににとってはカトレア―ナ王女のことで頭がいっぱいで、私のことなんてどうでもよかったのだろう。
熱が引いてから三日目、ローズマリーは父にイザックとの婚約解消の手続きを願い出た。
愛する娘に婚約解消の手続きを願い出られたローズマリーの父は、少しの間考えたあとその理由を問うた。
理由を問われる覚悟はしていたものの、本当の理由を父に伝えることをローズマリーは躊躇した。
ただ、責任感の強いイザックを気に入っていた父にしてみたら明確な理由もなしに婚約解消を行ってくれないだろうという事も分かっていた。
勘のいい父のことだ。
私の嘘など一発で見破る事だろう。
父に、婚約者に疎かにされた私のことをどう思われるだろうかという不安がじわじわと襲ってくる。
理由を聞かれてうろたえている私を落ち着かせるように、背中をポンポンっと優しくさすってくれる大きな手に涙が溢れてきた。
まだ小さな頃、泣いていたり落ち込んだりしているときに、良く父がこうやってくれたのを思い出す。
そこからは堰を切ったように、これまでの事、そして、王族控室で見てしまったあのおぞましい出来事を父に伝えた。
最後まで黙って私の言うことを聞いてくれた父は、ずっと私を抱きしめてくれた。
そして泣き疲れて横になった私に、後のことは任せるようにと言い残し部屋を出て行った。
2,157
あなたにおすすめの小説
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
一番悪いのは誰
jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。
ようやく帰れたのは三か月後。
愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。
出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、
「ローラ様は先日亡くなられました」と。
何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・
恋人に夢中な婚約者に一泡吹かせてやりたかっただけ
棗
恋愛
伯爵令嬢ラフレーズ=ベリーシュは、王国の王太子ヒンメルの婚約者。
王家の忠臣と名高い父を持ち、更に隣国の姫を母に持つが故に結ばれた完全なる政略結婚。
長年の片思い相手であり、婚約者であるヒンメルの隣には常に恋人の公爵令嬢がいる。
婚約者には愛を示さず、恋人に夢中な彼にいつか捨てられるくらいなら、こちらも恋人を作って一泡吹かせてやろうと友達の羊の精霊メリー君の妙案を受けて実行することに。
ラフレーズが恋人役を頼んだのは、人外の魔術師・魔王公爵と名高い王国最強の男――クイーン=ホーエンハイム。
濡れた色香を放つクイーンからの、本気か嘘かも分からない行動に涙目になっていると恋人に夢中だった王太子が……。
※小説家になろう・カクヨム様にも公開しています
〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?
詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
私の家は子爵家だった。
高位貴族ではなかったけれど、ちゃんと裕福な貴族としての暮らしは約束されていた。
泣き虫だった私に「リーアを守りたいんだ」と婚約してくれた侯爵家の彼は、私に黙って戦争に言ってしまい、いなくなった。
私も泣き虫の子爵令嬢をやめた。
八年後帰国した彼は、もういない私を探してるらしい。
*文字数的に「短編か?」という量になりましたが10万文字以下なので短編です。この後各自のアフターストーリーとか書けたら書きます。そしたら10万文字超えちゃうかもしれないけど短編です。こんなにかかると思わず、「転生王子〜」が大幅に滞ってしまいましたが、次はあちらに集中予定(あくまで予定)です、あちらもよろしくお願いします*
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
不実なあなたに感謝を
黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。
※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。
※曖昧設定。
※一旦完結。
※性描写は匂わせ程度。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ】伯爵令嬢の責務
ごろごろみかん。
恋愛
見てしまった。聞いてしまった。
婚約者が、王女に愛を囁くところを。
だけど、彼は私との婚約を解消するつもりは無いみたい。
貴族の責務だから政略結婚に甘んじるのですって。
それなら、私は私で貴族令嬢としての責務を果たすまで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる