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泣き虫エリー
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事件から四か月後、甲斐甲斐しいエリーの看病のおかげかショーンはようやく意識を取り戻した。
あの事件で、マーシャとギルが亡くなってしまったことを知らされたショーンは深い悲しみに襲われたが、生き残ってエリーの元に戻れたことくを心から感謝した。
エリーが一人でパン屋を切り盛りしてきたことを知ったショーンは、早く体力を回復させエリーに安心させてやろうとリハビリに励んだ。
目が覚めたと知らされたエリーはすぐに病院に駆けつけ堰を切ったように涙を流し続けた。
久々に目にした愛しい妻はやつれきっていた。
「やっと我が家に戻ってこれたな。ただいま、エリー…。」
「おかえりなさい、ショーン…。うっうっ…。」
「辛い思いをさせて悪かったな、エリー。両親を弔ってくれたこと、店を仕切ってくれてたこと、俺の看病のことも本当に大変だったな。ありがとう、エリー。」
今まで一人で踏ん張って頑張ってきたエリーと、ようやく愛する妻の元に戻ってこれたショーンはもう二度と離れまいと、寄り添うようにして互いの存在を確かめ合った。
それから年月が経ち、日々忙しくパン屋をショーンと営むエリーはマーシャのように逞しく変貌を遂げて行った。
それでもショーンは相も変わらずエリーを溺愛し、大切にした。
店で働く従業員をそれはそれは家族のように大切にし、周りからも慕われ幸せな人生を過ごしていった。
「なーに言ってんだい!?冗談もほとほとにしときな!」
「あーもう何やってんだかねえ!しょうがないねえ。」
「ぐすっ、なーに心配いらないから。大丈夫だよ。」
情に厚く実は泣き虫の、太っ腹泣き虫エリーの誕生であった。
あの事件で、マーシャとギルが亡くなってしまったことを知らされたショーンは深い悲しみに襲われたが、生き残ってエリーの元に戻れたことくを心から感謝した。
エリーが一人でパン屋を切り盛りしてきたことを知ったショーンは、早く体力を回復させエリーに安心させてやろうとリハビリに励んだ。
目が覚めたと知らされたエリーはすぐに病院に駆けつけ堰を切ったように涙を流し続けた。
久々に目にした愛しい妻はやつれきっていた。
「やっと我が家に戻ってこれたな。ただいま、エリー…。」
「おかえりなさい、ショーン…。うっうっ…。」
「辛い思いをさせて悪かったな、エリー。両親を弔ってくれたこと、店を仕切ってくれてたこと、俺の看病のことも本当に大変だったな。ありがとう、エリー。」
今まで一人で踏ん張って頑張ってきたエリーと、ようやく愛する妻の元に戻ってこれたショーンはもう二度と離れまいと、寄り添うようにして互いの存在を確かめ合った。
それから年月が経ち、日々忙しくパン屋をショーンと営むエリーはマーシャのように逞しく変貌を遂げて行った。
それでもショーンは相も変わらずエリーを溺愛し、大切にした。
店で働く従業員をそれはそれは家族のように大切にし、周りからも慕われ幸せな人生を過ごしていった。
「なーに言ってんだい!?冗談もほとほとにしときな!」
「あーもう何やってんだかねえ!しょうがないねえ。」
「ぐすっ、なーに心配いらないから。大丈夫だよ。」
情に厚く実は泣き虫の、太っ腹泣き虫エリーの誕生であった。
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