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「食べないと治らないぞマリア嬢。」
「きちんと頂きましたよ、フェリックス様。」
「いや、もっと食べたほうがいい。ほら、せめてそこのブドウをあと一粒…は少ないな三粒…はどうだろう。いけそうか?ああ、すまない、余計にお世話だな…」
「いえ…頂きますわ。」
「そうか…ああ、そうだ、この後、食後の運動をしよう。庭を少し散策するのはどうだろうか。今日は天気もいいし気持ちがいいぞ。」
「いいですね。行きましょう。」
ふわりと微笑んだフェリックス様が、その後食べ終えた私をその腕に抱き上げたままゆっくりと庭園に連れて行ってくれたのでした。
「これでは散策とは呼べませんわ、フェリックス様。」
とうとうフェリックス様に抱きかかえられるのに慣れてしまった私は、少し呆れてフェリックス様にやんわりとおろすように伝えます。
「歩きたいのか?」
「よろしいですか?」
「マリア嬢が歩きたいのならもちろんだ。」
ゆっくりとおろしてくださったフェリックス様は、それでも私が体勢を崩さないようにと腕を貸してくださいます。
杖を片手に、もう片方の手はフェリックス様の腕に添えたままゆっくりと庭園を歩きます。
「本当に気持ちの良い朝ですね…」
「ああ」
「今日も鍛錬をされたのですか、フェリックス様。」
「…匂うか?急いで水を浴びたんだが…」
「いえ、朝一番にフェリックス様の髪の毛がぬれてらしたから。…朝早くから大変ではないですか?護衛はほかにもいるのだから、もう少しゆっくりしてくださってもよろしいのですよ?」
「それはだめだ。マリア嬢が起きているときはずっとそばで護衛をすると俺自身で決めてここまでついてきたのだからな。それに鍛錬は小さなころからずっと行ってきたことだ。おのれを鍛えることで思考がより明確に定まる。強くなれる。精神的にも鍛えられる。だから早朝に鍛錬しようが大変だとは思わないんだ。マリア嬢、俺のことは気にしなくていい。君は今は何も考えなくていいんだ。」
「そんな、私ばかり申し訳ないですわ…」
「いいんだよ、君が体の力を抜いて暮らして行けるように俺が側で守れるんだ。そんなに悪いことではない。」
「そう…なのですか?」
「ああ。…ほら、そろそろ歩き疲れただろう。」
ふわりと再びフェリックス様の腕の中に抱きかかえられます。腕の中に戻ってきた私をフェリックス様が覗き込んで、私の瞳にかかった髪の毛をよけて下さいました。
「きちんと頂きましたよ、フェリックス様。」
「いや、もっと食べたほうがいい。ほら、せめてそこのブドウをあと一粒…は少ないな三粒…はどうだろう。いけそうか?ああ、すまない、余計にお世話だな…」
「いえ…頂きますわ。」
「そうか…ああ、そうだ、この後、食後の運動をしよう。庭を少し散策するのはどうだろうか。今日は天気もいいし気持ちがいいぞ。」
「いいですね。行きましょう。」
ふわりと微笑んだフェリックス様が、その後食べ終えた私をその腕に抱き上げたままゆっくりと庭園に連れて行ってくれたのでした。
「これでは散策とは呼べませんわ、フェリックス様。」
とうとうフェリックス様に抱きかかえられるのに慣れてしまった私は、少し呆れてフェリックス様にやんわりとおろすように伝えます。
「歩きたいのか?」
「よろしいですか?」
「マリア嬢が歩きたいのならもちろんだ。」
ゆっくりとおろしてくださったフェリックス様は、それでも私が体勢を崩さないようにと腕を貸してくださいます。
杖を片手に、もう片方の手はフェリックス様の腕に添えたままゆっくりと庭園を歩きます。
「本当に気持ちの良い朝ですね…」
「ああ」
「今日も鍛錬をされたのですか、フェリックス様。」
「…匂うか?急いで水を浴びたんだが…」
「いえ、朝一番にフェリックス様の髪の毛がぬれてらしたから。…朝早くから大変ではないですか?護衛はほかにもいるのだから、もう少しゆっくりしてくださってもよろしいのですよ?」
「それはだめだ。マリア嬢が起きているときはずっとそばで護衛をすると俺自身で決めてここまでついてきたのだからな。それに鍛錬は小さなころからずっと行ってきたことだ。おのれを鍛えることで思考がより明確に定まる。強くなれる。精神的にも鍛えられる。だから早朝に鍛錬しようが大変だとは思わないんだ。マリア嬢、俺のことは気にしなくていい。君は今は何も考えなくていいんだ。」
「そんな、私ばかり申し訳ないですわ…」
「いいんだよ、君が体の力を抜いて暮らして行けるように俺が側で守れるんだ。そんなに悪いことではない。」
「そう…なのですか?」
「ああ。…ほら、そろそろ歩き疲れただろう。」
ふわりと再びフェリックス様の腕の中に抱きかかえられます。腕の中に戻ってきた私をフェリックス様が覗き込んで、私の瞳にかかった髪の毛をよけて下さいました。
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