明日世界が滅ぶらしい。

nakamura

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明日世界が滅ぶらしい。

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明日世界が終わるらしい。


緊急速報です。明日地球に巨大な隕石が衝突するとの情報が入りました。私たち人類が助かる見込みは0%。
このニュースを見ている皆様、これが私の最後の仕事になります。今まで応援してくださった皆様誠にありがとうございました。

ニュースキャスターが涙を流しながら語っていたテレビ画面は放送中止画面に切り替わった。

明日世界が終わるらしい。今まで俺は何をしてきたんだろうか。後悔はあるか?正直後悔しかなかった。夢も諦め、ただ働いていた。
生きるために働いていた。だがこれでそれも意味がなくなってしまった。
今世界では暴徒と化す者。家でただ泣くもの。今までの人生を振り返り幸せや後悔に浸るもの。さまざまな人間がいるだろう。
だが今の俺は何も感じなかった。明日世界が滅ぶのか、そっか、そんな感じだ。
そんなことを考えていると携帯の着信音が鳴った。母からだ。夢を追いかけて家を出て行ってから親とは全く連絡をとっていなかった。
俺は気づいたら電話に出ていた。何年振り聞くだろうか、懐かしい母の声が俺の耳に入ってきた。

「久しぶり、まさと、元気だった?」

「久しぶり母さん。元気だったよ。」

「そう、ならよかった、バンドの方はどうなったの?」

「俺には才能がなかったみたいでさ、3年前に諦めて今は製造系の仕事で働いてたよ。」

「そうなのね、お父さんも、私も反対してたけどね、実は私たちあなたの隠れファンだったのよ?あなたのバンドの動画のチャンネルも登録してたし、あなたが一枚だけ作ったアルバムも買ったんだから」

母は優しい口調でそう言った。なぜだろうか、明日世界が滅ぶというのに幸せな気持ちでいっぱいになった。

「そうだったんだ、ありがとう母さん、父さん、あの時急に出て行って本当にごめん、本当にごめん。」

涙がとまらなかった、母と父は俺のことを心から愛してくれていたんだと思った。こんな状況にならないとそんなこともわからない自分はなんて愚かな人間なんだと自分を軽蔑もした。

「いいえ、私たちこそごめんね、あなたは心から夢を追っていたのね、あなたが動画に映る姿はとても輝いていたよ。お父さんもお母さんもあの姿を見たら応援したくなっちゃったの、あなたのことを考えたら変に連絡はしない方がいいと思ってたの。でもこんな状況になるなら早く連絡すればよかったね」

「俺の方も連絡すればよかった、出て行く前の日に酷いこと言って本当にごめん、でも本当はあんなこと思ってもなかったし、貧しい家庭だったのに一生懸命俺を育ててくれてありがとう、、、母さんと父さんが俺の親で本当によかった」

俺がそういうと母は静かに泣いた。
声が男の声に勝った。父さんだ。

「まさと、私たちこそ、お前が子でよかった。あんなにお前は輝けるんだ、あの姿は本当に立派だった。母さんも父さんもあの姿を見たら嬉しくて嬉しくてな、」

「父さん、、、」

電話が切れた。隕石が近づくにつれて回線が悪くなったらしい。

俺は世界が滅ぶ前にやらないといけないことを見つけてしまった。今から父さんと母さんの元へ行って俺の歌を聴かせたい。そう思った頃にはしばらく触っていなかった埃まみれのギターを手に取って俺は実家へ向かって歩き出した。

明日世界が、滅ぶその前に。
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