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第1話
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「はい、これ! そうにあげる!」
「すげえ! おまえ、てんさいだな!」
人形のようにぱっちりとした目、陽の光に透ける茶色い髪を持ち、天使と見紛う笑顔を浮かべた幼馴染は、折り紙の何かを俺に差し出した。
「…はあ、あの頃は可愛かったなあ」
「あの頃って?」
「そりゃあ、保育園のときの…って、うわあっ」
高校にたどり着くまでの、地味にきつい坂道。今朝の夢に見た、可愛い幼馴染の姿を噛み締めていたら、真横から声を掛けられた。
「想、おはよう」
「お、はよう…」
何だか猛烈に後ろめたくて、ぎこちない挨拶を返してしまう。それもそのはず、ゼロ距離で朝に似つかわしくない輝きを放っているイケメンは、件の幼馴染、朝川唯斗である。小さな頃天使だった彼は、今や世紀の大イケメンへと変貌を遂げた。
「なーんか幸せそうな顔してる。いいことあった?」
「そ、れはなんというか…良い夢、というか…」
眩しい、眩しすぎて、凡人の俺は目が潰れそうだ。心の中だけで、ヒーローが放つ光攻撃に溶けていく悪役のポーズをとる。
「何の夢? さっき言ってた保育園の夢?」
「だあっ、ちょっ、忘れ…っ、さっきのなし!」
「ええ? 保育園ってことは、僕も知ってること?」
このイケメンにかかれば、寝癖は完璧にセットされたヘアスタイルとなり、太陽は彼専用のスタジオ照明となる。自分の毛母細胞だけでなく、天体まで意のままに動かしてしまうとは。そよ風に髪の毛が乱れ、道行く車に泥を跳ねられる俺とは大違いである。
「何だろうなあ…。移動動物園で、想がウサギに大人気だったこと?」
「ああ、あれね」
保育園の恒例行事だった、移動動物園。ウサギやヘビなどの動物が保育園に来てくれて、子どもたちは直接動物と触れ合うことができるという大人気のイベントだった。
恐る恐るウサギの囲いに入った俺の周りには、徐々にウサギの輪が出来ていき、遠くからは白や茶色の毛皮をまとっているように見えたほどだったらしい。ちなみに、一方の唯斗はといえば、動物ではなく人に囲まれていた。
「ちょっと怖かったけどね、身動き取れなくなったし」
「想の助けてって目線は感じた」
「絶対面白がってたじゃん、それ…」
あははっと軽く笑い飛ばした幼馴染にそよ風が吹き、茶色いふわふわの髪の毛が爽やかなCMのごとく舞い上がる。そよ風め、先ほど俺の前髪をボサボサにしていったのに、とんでもない変わり身の早さだ。
「あのときは何にも出来なかったけど…、高校生になって、少しは想を助けられるようになったよ」
「聞いちゃったからね? 俺は運動音痴だし、数学は万年赤点だよ?」
「うん、良いよ」
「じゃあ頼むわ、よろしく」
えへへっ、と唯斗がやけに嬉しそうに笑う。ちなみに、俺の数学力は先生さえも若干匙を投げかけているレベルだ。そんな俺に数学を教えることが、唯斗にとっては嬉しいことなんだろうか。困難に燃えるタイプとか?
「すげえ! おまえ、てんさいだな!」
人形のようにぱっちりとした目、陽の光に透ける茶色い髪を持ち、天使と見紛う笑顔を浮かべた幼馴染は、折り紙の何かを俺に差し出した。
「…はあ、あの頃は可愛かったなあ」
「あの頃って?」
「そりゃあ、保育園のときの…って、うわあっ」
高校にたどり着くまでの、地味にきつい坂道。今朝の夢に見た、可愛い幼馴染の姿を噛み締めていたら、真横から声を掛けられた。
「想、おはよう」
「お、はよう…」
何だか猛烈に後ろめたくて、ぎこちない挨拶を返してしまう。それもそのはず、ゼロ距離で朝に似つかわしくない輝きを放っているイケメンは、件の幼馴染、朝川唯斗である。小さな頃天使だった彼は、今や世紀の大イケメンへと変貌を遂げた。
「なーんか幸せそうな顔してる。いいことあった?」
「そ、れはなんというか…良い夢、というか…」
眩しい、眩しすぎて、凡人の俺は目が潰れそうだ。心の中だけで、ヒーローが放つ光攻撃に溶けていく悪役のポーズをとる。
「何の夢? さっき言ってた保育園の夢?」
「だあっ、ちょっ、忘れ…っ、さっきのなし!」
「ええ? 保育園ってことは、僕も知ってること?」
このイケメンにかかれば、寝癖は完璧にセットされたヘアスタイルとなり、太陽は彼専用のスタジオ照明となる。自分の毛母細胞だけでなく、天体まで意のままに動かしてしまうとは。そよ風に髪の毛が乱れ、道行く車に泥を跳ねられる俺とは大違いである。
「何だろうなあ…。移動動物園で、想がウサギに大人気だったこと?」
「ああ、あれね」
保育園の恒例行事だった、移動動物園。ウサギやヘビなどの動物が保育園に来てくれて、子どもたちは直接動物と触れ合うことができるという大人気のイベントだった。
恐る恐るウサギの囲いに入った俺の周りには、徐々にウサギの輪が出来ていき、遠くからは白や茶色の毛皮をまとっているように見えたほどだったらしい。ちなみに、一方の唯斗はといえば、動物ではなく人に囲まれていた。
「ちょっと怖かったけどね、身動き取れなくなったし」
「想の助けてって目線は感じた」
「絶対面白がってたじゃん、それ…」
あははっと軽く笑い飛ばした幼馴染にそよ風が吹き、茶色いふわふわの髪の毛が爽やかなCMのごとく舞い上がる。そよ風め、先ほど俺の前髪をボサボサにしていったのに、とんでもない変わり身の早さだ。
「あのときは何にも出来なかったけど…、高校生になって、少しは想を助けられるようになったよ」
「聞いちゃったからね? 俺は運動音痴だし、数学は万年赤点だよ?」
「うん、良いよ」
「じゃあ頼むわ、よろしく」
えへへっ、と唯斗がやけに嬉しそうに笑う。ちなみに、俺の数学力は先生さえも若干匙を投げかけているレベルだ。そんな俺に数学を教えることが、唯斗にとっては嬉しいことなんだろうか。困難に燃えるタイプとか?
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