天使から美形へと成長した幼馴染から、放課後の美術室に呼ばれたら

たけむら

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第2話

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「じゃあ、海野は今日の放課後に補習な」
「はあい」
「さぼるなよ、逃げたら地獄の果てまで追いかけてやる」
「…それ、借金取りの怖い人たちの台詞…」

数学教師の藤川先生が、無言の笑顔で圧をかけてくる。大学時代にラグビーをやっていたこの教師にかかれば、こんなひよっこを捕獲することなど容易いのだろう。

それにしても、目の前の笑顔がまあまあ怖い。サングラスをかけてスキンヘッドにしたら、普通にそっち側の人に見える。紺色のジャージで何とか見た目だけは誤魔化せているけれど、魂の形は完全にそっち側の人だ。

「じ、じゃあ、失礼しまーす」

未だに圧を放つ藤川先生の前からそそくさと退散すると、職員室前の廊下には、幼馴染の姿があった。

「唯斗?」
「あ、想だ。何してるの? 補習の呼び出し?」
「あ、うん」

きらきらと輝く笑顔から、高火力のクリティカルヒットが放たれる。…まずい、威力が高すぎて一瞬意識が飛んでいた。

「…ゆ、唯斗は?」
「放課後に美術室を使わせてもらえるように交渉してた」
「美術室?」
「うん、絵の練習で」
「ああ、そういうこと」

唯斗は今、芸術の道を究めるべく励んでいる真っ最中だ。保育園の頃から芸術センスがあって、俺も唯斗から折り紙の作品をもらったことがある。一体何だったのかは忘れてしまったけれど。

「唯斗はすごいなあ…」

おまけに勉強と運動まで出来るんだから、神様ってずるい。俺も、唯斗のように才能のハッピーセットをもらいたかった。というのは冗談で、唯斗が凄まじい努力をしていることを、俺は知っている。

「…頑張らないといけないから。待っててね、想」
「うん…?」
「補習が終わるくらいに、教室行くよ」
「おう、またな」

走り去っていく唯斗の後ろ姿に手を振る。節電という名の倹約の煽りを受けた薄暗い廊下でも、やっぱりイケメンのオーラは輝いていた。
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