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会社の毒華
10話
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奥さんからの電話も参考にして二人は思考を巡らせる。
「まずは捨てられた鉢植えの中身を探そう。それから社長がどこに食事をしに行って何を食べたのか、だな」
「オレ、ちょっと気になることあるんで社長が食事した場所、探してくるっす」
デンはものすごくやる気だ。
「お、おう、わかった。じゃあ俺は鉢植えの中身を探してくる」
「了解っす」
ここで二手に分かれた。
…
事務所に残された梅迫はとりあえず事務所周辺で不自然に土の色が変色したりし新たに何かが埋められた形跡のある場所を探した。
残念ながらそういった場所を見つけることはできなかった。
ゴミ袋も一つずつ開いてみていくが土が入っているものはない。
「そういえばあの鉢、どの客からもらったんだっけな」
梅迫は社長が鉢植えを持ってきたころに依頼のあった仕事を記載していた台帳を探した。
案外すぐに見つかったその分厚い冊子のページをめくる。
「とりあえず電話かけてみるか」
片っ端に記載されている客の連絡先に電話をかけていく。
「そうでしたか。いえいえ、ありがとうございます。失礼いたします」
しかしそう簡単には見つからない。
何件も何件も何時間も連絡してようやく社長に鉢植えを渡したという女性に行き当たった。
「ええ、祖母の家の遺品整理をお願いして後日代金をお支払いした際に鉢植えごと花をお渡ししました」
「そうだったんですね。あのちなみに花の種類は覚えていらっしゃいますか」
「もちろん、覚えてますよ」
花の種類を聞くと梅迫は丁寧にお礼を言って電話を切った。
…
デンもなんか情報を掴んだようで梅迫が花の種類をネットで調べていると事務所に駆け込んでくる。
「梅さん、鉢植えの花がわかったってホントっすか!?」
「あぁ、お前の方はどうだった?」
「万事バッチリっす」
デンは自身のスマホを見せた。
「…やっぱりこの人か」
「はい」
次の日、二人は早めに出社した。
始業時間の午前9時の少し手前、その人は出社してきた。
「おはようございます」
「おはようございます」
「おはよう、仕事の前にちょっといいか」
「はい、なんでしょう」
二人は出社してきた事務員の前田に向かい合う。
「キダチチョウセンアサガオって知ってるか?」
「アサガオだからお花ですか?」
「社長室にあった鉢植えの花っすよ。毎日水やりしてたっすよね?」
社長は無関心だったしなんなら枯らしてもいいとさえ言っていたので鉢植えに水をやるのはもっぱら事務員の仕事だったのは周知の事実だ。
「あぁ!あれですか。はい、してましたけど何か問題でも」
前田は小首をかしげた。
「あの鉢植えが見つからないんだがどこにやったんだ」
「あれなら鉢が欠けてしまったので捨てましたけど」
「おかしいな、この鉢キレイに見えるんだが」
デンは梅迫の言葉に合わせてゴミから回収した鉢を机の下から取り出して置く。
「え、そうでしたか。私の見間違いですね。すみません」
事務員は軽く謝る。
「中の花とか土はどこにやったんすか?」
「それならもう捨てちゃいましたよ。もうゴミに回収されたんじゃないかな」
「それもおかしいな。前回のゴミの回収は社長の葬式と被って出せなかったんだよ」
梅迫の追及に少し事務員の顔色が変わる。
「え、あ、そうですか」
「ゴミ置き場、くまなく探したんすけどなかったんですよね、なかったんですよ」
「そんなこと私に言われても」
「前田さんの家にあるってことないかな」
「どうして私の家に」
「あなたが持ち帰ったんじゃないのか、社長に食べさせるために。そしてその証拠隠滅のために」
「食べさせるって一体何を?」
「いやキダチチョウセンアサガオは花、実、樹液全てに毒がある。社長は家に置いていたら子供が触れたら困るからと会社に持ってきて育てていたんだ。まぁその話をしていたのはあなたが入社する前だが少し調べればあれに毒性があることくらいすぐにわかるだろう」
「オレもネットで調べましたし近所の花屋にも聞きましたよ。一定量以上を摂取してしまうと、おう吐・瞳孔散大・けいれん・呼吸困難などの症状を引き起こすから取り扱いには注意しましょうって。あともう一つ興味深い話も聞けたっす。果実やつぼみの形がオクラと間違われることもあるって」
「そんな恐ろしい花だなんて知らなかったです」
前田は梅迫とデンの追及に対して一貫して我関せずで知らないふりを続けている。
「まずは捨てられた鉢植えの中身を探そう。それから社長がどこに食事をしに行って何を食べたのか、だな」
「オレ、ちょっと気になることあるんで社長が食事した場所、探してくるっす」
デンはものすごくやる気だ。
「お、おう、わかった。じゃあ俺は鉢植えの中身を探してくる」
「了解っす」
ここで二手に分かれた。
…
事務所に残された梅迫はとりあえず事務所周辺で不自然に土の色が変色したりし新たに何かが埋められた形跡のある場所を探した。
残念ながらそういった場所を見つけることはできなかった。
ゴミ袋も一つずつ開いてみていくが土が入っているものはない。
「そういえばあの鉢、どの客からもらったんだっけな」
梅迫は社長が鉢植えを持ってきたころに依頼のあった仕事を記載していた台帳を探した。
案外すぐに見つかったその分厚い冊子のページをめくる。
「とりあえず電話かけてみるか」
片っ端に記載されている客の連絡先に電話をかけていく。
「そうでしたか。いえいえ、ありがとうございます。失礼いたします」
しかしそう簡単には見つからない。
何件も何件も何時間も連絡してようやく社長に鉢植えを渡したという女性に行き当たった。
「ええ、祖母の家の遺品整理をお願いして後日代金をお支払いした際に鉢植えごと花をお渡ししました」
「そうだったんですね。あのちなみに花の種類は覚えていらっしゃいますか」
「もちろん、覚えてますよ」
花の種類を聞くと梅迫は丁寧にお礼を言って電話を切った。
…
デンもなんか情報を掴んだようで梅迫が花の種類をネットで調べていると事務所に駆け込んでくる。
「梅さん、鉢植えの花がわかったってホントっすか!?」
「あぁ、お前の方はどうだった?」
「万事バッチリっす」
デンは自身のスマホを見せた。
「…やっぱりこの人か」
「はい」
次の日、二人は早めに出社した。
始業時間の午前9時の少し手前、その人は出社してきた。
「おはようございます」
「おはようございます」
「おはよう、仕事の前にちょっといいか」
「はい、なんでしょう」
二人は出社してきた事務員の前田に向かい合う。
「キダチチョウセンアサガオって知ってるか?」
「アサガオだからお花ですか?」
「社長室にあった鉢植えの花っすよ。毎日水やりしてたっすよね?」
社長は無関心だったしなんなら枯らしてもいいとさえ言っていたので鉢植えに水をやるのはもっぱら事務員の仕事だったのは周知の事実だ。
「あぁ!あれですか。はい、してましたけど何か問題でも」
前田は小首をかしげた。
「あの鉢植えが見つからないんだがどこにやったんだ」
「あれなら鉢が欠けてしまったので捨てましたけど」
「おかしいな、この鉢キレイに見えるんだが」
デンは梅迫の言葉に合わせてゴミから回収した鉢を机の下から取り出して置く。
「え、そうでしたか。私の見間違いですね。すみません」
事務員は軽く謝る。
「中の花とか土はどこにやったんすか?」
「それならもう捨てちゃいましたよ。もうゴミに回収されたんじゃないかな」
「それもおかしいな。前回のゴミの回収は社長の葬式と被って出せなかったんだよ」
梅迫の追及に少し事務員の顔色が変わる。
「え、あ、そうですか」
「ゴミ置き場、くまなく探したんすけどなかったんですよね、なかったんですよ」
「そんなこと私に言われても」
「前田さんの家にあるってことないかな」
「どうして私の家に」
「あなたが持ち帰ったんじゃないのか、社長に食べさせるために。そしてその証拠隠滅のために」
「食べさせるって一体何を?」
「いやキダチチョウセンアサガオは花、実、樹液全てに毒がある。社長は家に置いていたら子供が触れたら困るからと会社に持ってきて育てていたんだ。まぁその話をしていたのはあなたが入社する前だが少し調べればあれに毒性があることくらいすぐにわかるだろう」
「オレもネットで調べましたし近所の花屋にも聞きましたよ。一定量以上を摂取してしまうと、おう吐・瞳孔散大・けいれん・呼吸困難などの症状を引き起こすから取り扱いには注意しましょうって。あともう一つ興味深い話も聞けたっす。果実やつぼみの形がオクラと間違われることもあるって」
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前田は梅迫とデンの追及に対して一貫して我関せずで知らないふりを続けている。
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