おじさんとボク

浅上秀

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わくわく動物園デート

ちょっと危ない…?

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「お腹もいっぱいになったことだし今度はどこ見ようか?」

テーブルの上にスグルくんがマップを広げてくれる。

「スグルくんは会いたい動物はいないんですか?」

マップを眺めていたミノルくんがふとスグルくんに尋ねる。

「う~ん、強いて言えば爬虫類かな」

マップによるとレストランの近くのエリアに爬虫類の館があった。

「爬虫類?」

ミノルくんが小首を可愛らしく傾げた。

「蛇とかカエルとかのことだよ」

爬虫類が何かわからないと気付いたスグルくんが素早くこたえる。

「なるほど!」

頭に電球が付いたかのようにミノルくんはパッチリした目を見開いた。

「ヘビさん、僕も会いたいです」

「それじゃあ行こうか」

「はい!」



爬虫類の館はレストランを出て少し坂を下るとすぐに見えてきた。
建物の中に入ると独特の少しジメっとした空気が二人を出迎える。
暗めの証明の中を二人は進んでいく。

「うわぁぁ、真っ赤なカエルさんですね」

まさに毒毒しい見た目のカエルにもミノルくんはおびえることなく近づいていく。

「いい色だね」

ミノルくんの嬉しそうな様子を見ているスグルくんも上機嫌だ。

「見てごらんこの蛇」

とある蛇の入っているガラスにスグルくんが近づく。
ミノルくんも後を追いかける。

「うわぁ」

砂の中には砂と一体になっているようにみえるそこそこの大きさの蛇がいた。

「これ、噛まれかけたことがあるんだ」

スグルくんはにっこりとした笑みを浮かべながら、表情にそぐわない話を始めた。

「え?」

「あれは友達に誘われて気分転換にサハラ砂漠に行ってみた時のことだったんだけどね。縄が落ちていると思って足で飛び越えてみたらこの蛇だったんだよ」

「へぇええ」

「その時は噛まれなかったんだけど、まじかで見た蛇の美しさに魅入られちゃってね。それから爬虫類の虜なんだ」

スグルくんは懐かしそうに、そして嬉しそうに話すが表情と話の内容がミスマッチすぎる。
ウットリとガラス越しの蛇を眺めるまなざしはまるで恋人に向けられる視線のようだ。
しかしスグルくんに背をむけて蛇を見ているミノルくんはそんなスグルくんの様子には一ミリたりとも気が付いていないのである。
スグルくんが爬虫類、特に蛇の虜になってしまってなかなか一つ一つのガラスの前から動かなくなってしまったが、ミノルくんはスグルくんの雑学に耳を傾けながらそれに付き合ってあげているのである。
見た目的には幼いミノルくんだが、そう言った面では少し大人なのかもしれない。

「うわぁ、ずいぶんと日が落ちてしまいましたね…」


爬虫類の館を出ると夕日が二人を出迎えた。

「そろそろ動物園を出ようか」

「はい」

二人は出口に向かって歩き出すのだった。


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