4 / 13
4
しおりを挟む
二人は共に小学生になった。
校区が一緒だったため、小学校も同じだったしなんならクラスも一緒だった。
ユウタは幼稚園児の頃と変わらずモテにモテている。
周りも成長したからか幼稚園生の頃はカイトがいれば誰もあまりユウタに声をかけてこなかったが、一緒にいない隙を狙ってユウタを強引に誘ってくる輩が増えた。
「あ、今、カイトくんトイレに行ってるっぽいよ」
「声かけちゃおうよ!」
「ユウタく~ん、今日の昼休みなんだけどぉ」
「あ、ずるい!ねぇ、ユウタくん!」
カイトがトイレから戻ると男女問わずたくさんの人にユウタが囲まれている状況はもはやこのクラスの日常風景だった。
…
ある日の帰り道のことである。
「しかしユウタは人気者だよな」
「え、あ、そうかな」
「俺なんて全然だよ…」
カイトはユウタ以外に話す相手がいないことに段々と気づき始めていた。
ユウタはそれを自覚させないように話題を変える。
「そ、そういえば、そろそろ運動会だね」
「そうだな!もうそんな時期かぁ。ユウタは運動得意だからいいよな」
ユウタは非常に運動神経が良く、かけっこも一番が当たり前だった。
「そ、そうかなぁ、カイトも運動神経いい方だよね?」
「かなぁ?」
カイトはかけっこはいつも三番くらい、運動もできるというわけでもないが音痴というわけでもない微妙なラインにいた。
ちょっと焦ったユウタはまた話題を変える。
「そ、そういえば、明日、漢字のミニテストあるよね」
「あ、やべ、帰ったらやんねぇと…いいよな、ユウタは勉強得意で」
「え、あ、そう?」
ユウタはいつもテストは百点、先生にあてられてもスラスラと答えられる優等生だ。
対するカイトはお察しの通り、テストは大体平均点、先生にあてられても答えられるときもあれば答えられないときもある。
「ん?あれ?俺、なんも取り得ない気が…」
「あ、ああ、あのさ!今度、僕のお母さんがカイトのお母さんと一緒に温泉行きたいねって言ってたよ!」
ユウタは更に話題を変える。
「いいなそれ!今度は卓球ゲームで負けねぇぞ!」
ユウタとカイトは家族ぐるみで仲がいい。
この世界では恋愛自由主義だが、結婚している人はパートナーを裏切らないことが絶対条件だ。
例えば他に恋しい人ができた場合、パートナーの同意書を取り付けなければ関係に発展してはいけないことになっている。
ちなみに大体の人間はユウタの家族に会うと横恋慕しがちだが、さすがはユウタの家族、誰もそのような感情を起こさずに普通の知り合いとして接してくれる。
それがユウタの家族にとってはオアシスのようになっていた。
「じゃあ、次の次くらいの休みとかにいけたら良いな」
「そうだねって次の次の休みは運動会だよ!」
「あ、そうだった」
校区が一緒だったため、小学校も同じだったしなんならクラスも一緒だった。
ユウタは幼稚園児の頃と変わらずモテにモテている。
周りも成長したからか幼稚園生の頃はカイトがいれば誰もあまりユウタに声をかけてこなかったが、一緒にいない隙を狙ってユウタを強引に誘ってくる輩が増えた。
「あ、今、カイトくんトイレに行ってるっぽいよ」
「声かけちゃおうよ!」
「ユウタく~ん、今日の昼休みなんだけどぉ」
「あ、ずるい!ねぇ、ユウタくん!」
カイトがトイレから戻ると男女問わずたくさんの人にユウタが囲まれている状況はもはやこのクラスの日常風景だった。
…
ある日の帰り道のことである。
「しかしユウタは人気者だよな」
「え、あ、そうかな」
「俺なんて全然だよ…」
カイトはユウタ以外に話す相手がいないことに段々と気づき始めていた。
ユウタはそれを自覚させないように話題を変える。
「そ、そういえば、そろそろ運動会だね」
「そうだな!もうそんな時期かぁ。ユウタは運動得意だからいいよな」
ユウタは非常に運動神経が良く、かけっこも一番が当たり前だった。
「そ、そうかなぁ、カイトも運動神経いい方だよね?」
「かなぁ?」
カイトはかけっこはいつも三番くらい、運動もできるというわけでもないが音痴というわけでもない微妙なラインにいた。
ちょっと焦ったユウタはまた話題を変える。
「そ、そういえば、明日、漢字のミニテストあるよね」
「あ、やべ、帰ったらやんねぇと…いいよな、ユウタは勉強得意で」
「え、あ、そう?」
ユウタはいつもテストは百点、先生にあてられてもスラスラと答えられる優等生だ。
対するカイトはお察しの通り、テストは大体平均点、先生にあてられても答えられるときもあれば答えられないときもある。
「ん?あれ?俺、なんも取り得ない気が…」
「あ、ああ、あのさ!今度、僕のお母さんがカイトのお母さんと一緒に温泉行きたいねって言ってたよ!」
ユウタは更に話題を変える。
「いいなそれ!今度は卓球ゲームで負けねぇぞ!」
ユウタとカイトは家族ぐるみで仲がいい。
この世界では恋愛自由主義だが、結婚している人はパートナーを裏切らないことが絶対条件だ。
例えば他に恋しい人ができた場合、パートナーの同意書を取り付けなければ関係に発展してはいけないことになっている。
ちなみに大体の人間はユウタの家族に会うと横恋慕しがちだが、さすがはユウタの家族、誰もそのような感情を起こさずに普通の知り合いとして接してくれる。
それがユウタの家族にとってはオアシスのようになっていた。
「じゃあ、次の次くらいの休みとかにいけたら良いな」
「そうだねって次の次の休みは運動会だよ!」
「あ、そうだった」
0
あなたにおすすめの小説
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
幼馴染みに告白したら、次の日オレ当て馬になってたんですけど!?
曲がる定規
BL
登場人物
慎太郎 (シンタロウ)
ユキ
始 (ハジメ)
あらすじ
慎太郎とユキ、始の三人は幼馴染で、隣同士に住んでいる。
ある日、慎太郎がユキの部屋でゲームをしていると、ユキがポツリと悩みを口にした。『友達の好きと恋愛の好きって、何が違うの?』と。
密かにユキに想いを寄せていた慎太郎。ここは関係を一歩進められるチャンスだと思い、ユキに想いを告げる。
唇を近づけた慎太郎。そこに偶然やって来た始に、慎太郎は思いっきり殴られてしまう。慎太郎は何がなんだかわからないと混乱する。しかし、ユキと始に帰るよう言われ渋々帰宅した。
訳のわからないまま翌日になると、ユキと始は付き合い始めたと言われてしまう。
「この作品は『KADOKAWA×pixiv ノベル大賞2024』の「BL部門」お題イラストから着想し、創作したものです。
そちらに加筆、修正を加えています。
https://www.pixiv.net/novel/contest/kadokawapixivnovel24」
【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】
彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。
高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。
(これが最後のチャンスかもしれない)
流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。
(できれば、春樹に彼女が出来ませんように)
そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。
*********
久しぶりに始めてみました
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
僕の目があなたを遠ざけてしまった
紫野楓
BL
受験に失敗して「一番バカの一高校」に入学した佐藤二葉。
人と目が合わせられず、元来病弱で体調は気持ちに振り回されがち。自分に後ろめたさを感じていて、人付き合いを避けるために前髪で目を覆って過ごしていた。医者になるのが夢で、熱心に勉強しているせいで周囲から「ガリ勉メデューサ」とからかわれ、いじめられている。
しかし、別クラスの同級生の北見耀士に「勉強を教えてほしい」と懇願される。彼は高校球児で、期末考査の成績次第で部活動停止になるという。
二葉は耀士の甲子園に行きたいという熱い夢を知って……?
______
BOOTHにて同人誌を頒布しています。(下記)
https://shinokaede.booth.pm/items/7444815
その後の短編を収録しています。
兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?
perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。
その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。
彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。
……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。
口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。
――「光希、俺はお前が好きだ。」
次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる