60 / 61
最終章 魔法少女は続くよ、いつまでも
第四話 アミとエグチ
しおりを挟む
「で、誰、いったい誰なの!?」
アズがミヅキの両肩を掴んで問い詰める。
「たぶんだけど・・・協会の人だと思うの」
「協会って魔法少女協会のこと!?」
ユリも興奮気味にミヅキに迫る。
「う、うん」
アズとユリの覇気に押されたミヅキはたじたじだ。
「でもなんで協会の人だと思うわけ?」
「絶対に入れないところ…怪人が絶対に入れないのって魔法少女協会でしょ?」
「た、たしかに」
「昔からなんで魔法少女協会は襲われないんだろうって思ってた」
「なにか因果関係があるとしたらたしかにつじつまが合うわね・・・」
ユリとアズも考え始める。
「で、でも協会の人がなんで、なんで怪人なんかを・・・?」
アミは一人困惑していた。
「魔法少女と怪人って表裏一体の存在よね」
ユリがつぶやく。
「怪人がいない限り、魔法少女に需要はない」
アズも頷いている。
「魔法少女のため・・・?」
アミは目に涙をためている。
「魔法少女が活動するために怪人を生み出している人がいる、って考えると、あの怪人を生み出すことができる怪人は暴走したってことかしら」
「そうとも考えられるわよね」
「怪人が人間に従うメリットなんてないもの」
「人間にただ倒されるためだけの存在」
「それはあんなに怒りや憎しみをかかえるわよ」
四に院の空気がどんどんと重たいものになっていく。
「と、とにかく、これは私の考察であって、証拠はなにもないの・・・」
ミズキは膝の上で握りこぶしに力を入れていた。
「私、明日、エグチさんに話してみる」
アミはミヅキの手を握った。
「え」
「でもエグチさんだって協会の人間よ?」
「大丈夫だよ、たぶん」
「そう…でも私たちも一緒に行くわ」
「本当?心強い」
四人はそのまま話が弾んでしまいアミの家でお泊まり会をすることになったのだった。
…
「いってきます」
「はい、いってらっしゃい」
「お邪魔しました」
四人は一緒に出社する。
「エグチさん、どこかな?」
やる気満々のアミが先頭を歩く。
「いつも朝はだいたい研究室にいるよね」
「そういえばエグチさんの研究室ってどこ?」
ミヅキが首を傾げる。
「知らない」
アミは言った。
「知らないんかい」
アズが突っ込む。
「てか立ち入り禁止じゃなかった?」
アミがむくれる。
「私知ってるけど」
最後尾にいたユリがのんきにそう言った。
「先に言ってよ」
…
「ここ」
白くて重そうな扉の横にはエグチという名前が書かれていた。
「失礼します」
四人はエグチの研究室に入った。
「こんなに朝早く、どうしたんだい?」
パソコンに何かを入力しながらエグチが尋ねる。
「あの、お話したいことがあって」
アミが切り出す。
「今すぐにかい?」
「はい」
エグチがパソコンから目を離してアミを見据える。
「なんだい?」
「単刀直入にお伺いします。魔法怪人団オンナノテキの本当のボスはエグチさん、あなたですよね?」
アミはびしっとエグチを指さす。
「ええええ」
「直球に来たわよこの子」
ユリとアズは頭を抱えた。
「ははは、何を根拠に」
「四天王の元に私たちを車で連れていきましたよね?」
「あれは偶然だよ」
「私を魔法少女にしたのは?」
「才能があったからさ」
アミとエグチの間でヒートアップしていく。
「どうしてスカイタワーまで来れたんですか?」
「君から連絡があったからね」
「私の連絡なんて出なかったくせに」
「発信機が付いているんだ、君たちの腕時計にはね」
「じゃあなんで・・・」
アミは目に涙をためて尋ねる。
「なんで、名前を知っていたんですか」
「名前?」
「私たちスカイタワーの屋上で初めてシキソの名前を知りました。でも、でもエグチさん、車の中で私たちが名前を言っていないのにあいつの名前を知っていた・・・」
それを聞いたエグチが眼鏡を外してテーブルに置く。
「はぁ。バレてしまったのならしょうがないが、確固たる証拠はない、そうだろう?」
「なんで、なんで怪人の支援なんて・・・」
「全ては魔法少女のためさ!僕はずっと魔法少女という存在に憧れていた。しかし男の僕では魔法少女には成れない。せめてもと研究者になったものの、怪人の減少に魔法少女時代の人口も減っている。このままでは魔法朱尾所が廃れてしまうっ」
ガンっと机を叩いた。
「だから僕が怪人を用意して、そのために魔法少女を支援して、なんてすばらしい世界なんだ!」
エグチは両手を拡げて恍惚とした表情を浮かべている。
「君たちのためにやったんだ」
アミが崩れ落ちた。
「アミの気持ちまで踏みにじって・・・許さない」
ユリがエグチの顔を張り手で叩いた。
「最低」
ミヅキも睨みつける。
「これ、録音してました。協会の上層部に提出します」
「はははは、提出したところで意味はない、僕が会長なんだからねっ」
「なんですって!」
「じゃあ、あなたを・・・倒すしかないですね」
アミは立ち上がった。
「変身」
「やれるものなら、ね」
アミはエグチにロットをむける。
「さようなら」
アズがミヅキの両肩を掴んで問い詰める。
「たぶんだけど・・・協会の人だと思うの」
「協会って魔法少女協会のこと!?」
ユリも興奮気味にミヅキに迫る。
「う、うん」
アズとユリの覇気に押されたミヅキはたじたじだ。
「でもなんで協会の人だと思うわけ?」
「絶対に入れないところ…怪人が絶対に入れないのって魔法少女協会でしょ?」
「た、たしかに」
「昔からなんで魔法少女協会は襲われないんだろうって思ってた」
「なにか因果関係があるとしたらたしかにつじつまが合うわね・・・」
ユリとアズも考え始める。
「で、でも協会の人がなんで、なんで怪人なんかを・・・?」
アミは一人困惑していた。
「魔法少女と怪人って表裏一体の存在よね」
ユリがつぶやく。
「怪人がいない限り、魔法少女に需要はない」
アズも頷いている。
「魔法少女のため・・・?」
アミは目に涙をためている。
「魔法少女が活動するために怪人を生み出している人がいる、って考えると、あの怪人を生み出すことができる怪人は暴走したってことかしら」
「そうとも考えられるわよね」
「怪人が人間に従うメリットなんてないもの」
「人間にただ倒されるためだけの存在」
「それはあんなに怒りや憎しみをかかえるわよ」
四に院の空気がどんどんと重たいものになっていく。
「と、とにかく、これは私の考察であって、証拠はなにもないの・・・」
ミズキは膝の上で握りこぶしに力を入れていた。
「私、明日、エグチさんに話してみる」
アミはミヅキの手を握った。
「え」
「でもエグチさんだって協会の人間よ?」
「大丈夫だよ、たぶん」
「そう…でも私たちも一緒に行くわ」
「本当?心強い」
四人はそのまま話が弾んでしまいアミの家でお泊まり会をすることになったのだった。
…
「いってきます」
「はい、いってらっしゃい」
「お邪魔しました」
四人は一緒に出社する。
「エグチさん、どこかな?」
やる気満々のアミが先頭を歩く。
「いつも朝はだいたい研究室にいるよね」
「そういえばエグチさんの研究室ってどこ?」
ミヅキが首を傾げる。
「知らない」
アミは言った。
「知らないんかい」
アズが突っ込む。
「てか立ち入り禁止じゃなかった?」
アミがむくれる。
「私知ってるけど」
最後尾にいたユリがのんきにそう言った。
「先に言ってよ」
…
「ここ」
白くて重そうな扉の横にはエグチという名前が書かれていた。
「失礼します」
四人はエグチの研究室に入った。
「こんなに朝早く、どうしたんだい?」
パソコンに何かを入力しながらエグチが尋ねる。
「あの、お話したいことがあって」
アミが切り出す。
「今すぐにかい?」
「はい」
エグチがパソコンから目を離してアミを見据える。
「なんだい?」
「単刀直入にお伺いします。魔法怪人団オンナノテキの本当のボスはエグチさん、あなたですよね?」
アミはびしっとエグチを指さす。
「ええええ」
「直球に来たわよこの子」
ユリとアズは頭を抱えた。
「ははは、何を根拠に」
「四天王の元に私たちを車で連れていきましたよね?」
「あれは偶然だよ」
「私を魔法少女にしたのは?」
「才能があったからさ」
アミとエグチの間でヒートアップしていく。
「どうしてスカイタワーまで来れたんですか?」
「君から連絡があったからね」
「私の連絡なんて出なかったくせに」
「発信機が付いているんだ、君たちの腕時計にはね」
「じゃあなんで・・・」
アミは目に涙をためて尋ねる。
「なんで、名前を知っていたんですか」
「名前?」
「私たちスカイタワーの屋上で初めてシキソの名前を知りました。でも、でもエグチさん、車の中で私たちが名前を言っていないのにあいつの名前を知っていた・・・」
それを聞いたエグチが眼鏡を外してテーブルに置く。
「はぁ。バレてしまったのならしょうがないが、確固たる証拠はない、そうだろう?」
「なんで、なんで怪人の支援なんて・・・」
「全ては魔法少女のためさ!僕はずっと魔法少女という存在に憧れていた。しかし男の僕では魔法少女には成れない。せめてもと研究者になったものの、怪人の減少に魔法少女時代の人口も減っている。このままでは魔法朱尾所が廃れてしまうっ」
ガンっと机を叩いた。
「だから僕が怪人を用意して、そのために魔法少女を支援して、なんてすばらしい世界なんだ!」
エグチは両手を拡げて恍惚とした表情を浮かべている。
「君たちのためにやったんだ」
アミが崩れ落ちた。
「アミの気持ちまで踏みにじって・・・許さない」
ユリがエグチの顔を張り手で叩いた。
「最低」
ミヅキも睨みつける。
「これ、録音してました。協会の上層部に提出します」
「はははは、提出したところで意味はない、僕が会長なんだからねっ」
「なんですって!」
「じゃあ、あなたを・・・倒すしかないですね」
アミは立ち上がった。
「変身」
「やれるものなら、ね」
アミはエグチにロットをむける。
「さようなら」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる