裏クラウドファンディングへようこそ

浅上秀

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さびれた商店街に出資してみた

4話

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木田さんが座席に腰かけてから、バスの中は話し声が広がり始める。
みんな周りの席の人と軽くコミュニケーションをとっているようだ。

「なぁ、あの人、ちょっと変だよな」

突然、俺も後ろの席に座っていた男性から声をかけられた。
齢は俺と同じくらいだろうか。
髪は金髪、言葉はタメ口、お世辞にも第一印象としては裏クラウドファンディングに出資しているような人間には見えなかった。

「ええ、まぁ…」

あの人とは十七番の人のことだろう。
木田さんが座ってから真っ先に周りの人と声高に会話を始めたのが彼だった。

「あー二番さんはよく来るんすか?」

金髪の男は俺の歯切れの悪い様子に何かを察したのか話題を変えてくる。

「いえ、初めてです。ええっと…五番さんは?」

「俺も初めてっす」

五番と俺で軽く話していると、通路を挟んで隣に座っていた男性も話しかけてきた。

「実は私も初めてなんですよ」

「え、三番さんもですか?」

三番はブランド物の服をなんなく着こなしている白髪交じりの俺よりけっこう年上そうな男性だ。

「このイベント、わりと初心者向けだって聞いたので」

「へぇ、そうなんだ…」

三人でなるべく自分の個人情報を出さないように軽く会話をしていたが、その間にもバスの中では十七番の男の自慢話が響く。

「私は某国立大学をでまして、現在は社内でもかなり大きなプロジェクトに携わっておりまして…」

個人情報が断片的ではあるが駄々洩れている。

「ったく、ちょっとうるさいですよね、あいつ」

金髪の五番の男が舌打ち交じりに十七番を睨んだ。

「まぁまぁ、初めてではしゃいでしまっているだけですよ」

三番の男がなだめる。

「遠足に行く小学生みたいな?」

俺が言うと五番と三番も笑った。
話している間にあっという間にバスはトイレ休憩のためにサービスエリアに到着した。

「それでは三十分ほど休憩になります。集合時間厳守でお戻りください」

みんなでゾロゾロとバスから降りていく。
俺は身体を伸ばしてトイレに行こうとした。

「あ、二番さん、ちょっと」

金髪の五番に手招きされた。
近寄ると三番さんやその他にも何人か男性がこそっと集まっている。

「どうかされたんですか?」

「いや実はね、ちょっとあの十七番をみんなで黙らせないかって話になりましてね」

三番の男が参ったなぁという顔をして答える。

「え?」

俺は思わず聞き返してしまった。

「お客同士で手を出すのってご法度じゃないんですか?」

すると話したことはないが、先ほどバスの中で十七番の自慢話に付き合わされていた男が尋ねる。

「どうなんですかね、特にしおりの禁止事項には載ってなかったですけど…」

三番の男性がしおりをパラパラとめくる。

「でも一体、どうやって黙らせるんですか?」

尋ねる俺に五番の男はポケットから何かを取り出した。







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