30 / 45
第30話 まさかの危機!
しおりを挟む
翌日。今日も私は学校が終わると、すぐさま真っ直ぐ家に帰る。教室を出る時にチラリとオウマ君を探したけど、その姿はどこにもなかった。
「シアン、今日もオウマ君とは、一緒に帰ったりしないんだね」
「そりゃそうだよ。だって理由がないもん」
一人で帰ろうとする私を見て、パティが言う。
オウマ君がエイダさんから私を助けた一件は、未だ学校中に大きな波紋を残していて、中には私がオウマ君のお気に入りだって噂や、実は付き合ってるって噂まであった。
おかげで私達は、これ以上誤解が広がらないよう、学校で話すことはなくなり、帰るのだって別々だ。そして何より、一緒に昼食をとることもなくなった。おかげで私は、オウマ君の豪華弁当を分けてもらえなくなったよ。とほほ。
「うーん、噂では色々言われてるけど、もしかして二人って、本当に何もないの?」
「だから、最初からそう言ってるじゃない」
「でも、前にシアンのこと、エイダさん達から助けたんだよね?」
「だからって、そこから話が飛躍しすぎ。確かに助けてもらったけど、それだけだから!」
本当はそれだけってわけじゃないんだけどね。
今日だって、これからオウマ君はコッソリうちに来るわけだけし、そこだけ見ると、なんだか本当に逢い引きしてるような気分になってくる。
「とにかく、噂なんてデタラメで、全部誤解だから!」
「うーん、そうなのかな?」
これだけ口を酸っぱくして言ってるのに、半信半疑のパティ。だけど、彼女がこんな風に思うのも無理はない、実は今までだって何度も同じようなことを言っているんだけど、それ以上に新しい噂が次々と流れてきては、どれを信じたらいいかわからない状態らしい。
この調子だと、誤解が完全に解けるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
ため息をつきながらパティと別れ、学校を出て家へと続く道を歩いていく。
だけど、角を曲がって人気の少ない小路に入った時だった。
「あの、すみません」
道の向こうから歩いてくる人に、突然声をかけられる。それは、目深に帽子をかぶりコートを羽織った、見覚えのない男の人だった。
「少し道を訪ねたいのですが、いいでしょうか?」
「はい、どこですか?」
後にして思えば、この時もう少し警戒するべきだったのかもしれない。話を聞くため、不用意に近づいたその瞬間、急にその男の手が伸びてきて、私の腕を掴んだ。
「えっ、ちょっと……」
驚いて反射的に振り払おうとするけど、その手の力は思いの外強くて、ちっとも離れてくれない。
そこでようやく、これはヤバイと恐怖心が沸き上がってくる。
なにこの人。痴漢? 変質者? こういう時ってどうすればいいんだっけ。声をあげるの?
いくらヤバイと思っても、咄嗟に動ける訳じゃない。逃げようにも腕を掴まれているし、半分パニックになってどうすればいいのか分からない。
それでも、せめて大声で何か叫んで人を呼ぼう。そう思って口を開く。
だけどいざ声をあげようとしたその時、後ろから伸びてきた手が私の口をふさいできた。
「んんーーーーっ!」
こうなってしまっては、小さくうめき声をあげるのが精一杯だ。
ジタバタともがきながら、いつの間にか後ろにいた、別の男に目を向ける。
だけど、そこにいたのは一人じゃなかった。元々声をかけてきたやつを含めて、数人の男が私を取り囲んでいた。
どう考えても尋常じゃないこの状況に、いよいよ恐怖を感じて暴れようとするけど、彼らはそれをいとも簡単にそれを押さえつけ、私の口にハンカチを押し当てた。
(なんで、こんなことに……)
恐怖と疑問で頭がいっぱいになるけど、それも長くは続かなかった。当てられたハンカチから変な臭いがしたと思った瞬間、私の意識は急速に遠のいていき、すぐに何も分からなくなっていった。
「シアン、今日もオウマ君とは、一緒に帰ったりしないんだね」
「そりゃそうだよ。だって理由がないもん」
一人で帰ろうとする私を見て、パティが言う。
オウマ君がエイダさんから私を助けた一件は、未だ学校中に大きな波紋を残していて、中には私がオウマ君のお気に入りだって噂や、実は付き合ってるって噂まであった。
おかげで私達は、これ以上誤解が広がらないよう、学校で話すことはなくなり、帰るのだって別々だ。そして何より、一緒に昼食をとることもなくなった。おかげで私は、オウマ君の豪華弁当を分けてもらえなくなったよ。とほほ。
「うーん、噂では色々言われてるけど、もしかして二人って、本当に何もないの?」
「だから、最初からそう言ってるじゃない」
「でも、前にシアンのこと、エイダさん達から助けたんだよね?」
「だからって、そこから話が飛躍しすぎ。確かに助けてもらったけど、それだけだから!」
本当はそれだけってわけじゃないんだけどね。
今日だって、これからオウマ君はコッソリうちに来るわけだけし、そこだけ見ると、なんだか本当に逢い引きしてるような気分になってくる。
「とにかく、噂なんてデタラメで、全部誤解だから!」
「うーん、そうなのかな?」
これだけ口を酸っぱくして言ってるのに、半信半疑のパティ。だけど、彼女がこんな風に思うのも無理はない、実は今までだって何度も同じようなことを言っているんだけど、それ以上に新しい噂が次々と流れてきては、どれを信じたらいいかわからない状態らしい。
この調子だと、誤解が完全に解けるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
ため息をつきながらパティと別れ、学校を出て家へと続く道を歩いていく。
だけど、角を曲がって人気の少ない小路に入った時だった。
「あの、すみません」
道の向こうから歩いてくる人に、突然声をかけられる。それは、目深に帽子をかぶりコートを羽織った、見覚えのない男の人だった。
「少し道を訪ねたいのですが、いいでしょうか?」
「はい、どこですか?」
後にして思えば、この時もう少し警戒するべきだったのかもしれない。話を聞くため、不用意に近づいたその瞬間、急にその男の手が伸びてきて、私の腕を掴んだ。
「えっ、ちょっと……」
驚いて反射的に振り払おうとするけど、その手の力は思いの外強くて、ちっとも離れてくれない。
そこでようやく、これはヤバイと恐怖心が沸き上がってくる。
なにこの人。痴漢? 変質者? こういう時ってどうすればいいんだっけ。声をあげるの?
いくらヤバイと思っても、咄嗟に動ける訳じゃない。逃げようにも腕を掴まれているし、半分パニックになってどうすればいいのか分からない。
それでも、せめて大声で何か叫んで人を呼ぼう。そう思って口を開く。
だけどいざ声をあげようとしたその時、後ろから伸びてきた手が私の口をふさいできた。
「んんーーーーっ!」
こうなってしまっては、小さくうめき声をあげるのが精一杯だ。
ジタバタともがきながら、いつの間にか後ろにいた、別の男に目を向ける。
だけど、そこにいたのは一人じゃなかった。元々声をかけてきたやつを含めて、数人の男が私を取り囲んでいた。
どう考えても尋常じゃないこの状況に、いよいよ恐怖を感じて暴れようとするけど、彼らはそれをいとも簡単にそれを押さえつけ、私の口にハンカチを押し当てた。
(なんで、こんなことに……)
恐怖と疑問で頭がいっぱいになるけど、それも長くは続かなかった。当てられたハンカチから変な臭いがしたと思った瞬間、私の意識は急速に遠のいていき、すぐに何も分からなくなっていった。
0
あなたにおすすめの小説
私の存在
戒月冷音
恋愛
私は、一生懸命生きてきた。
何故か相手にされない親は、放置し姉に顎で使われてきた。
しかし15の時、小学生の事故現場に遭遇した結果、私の生が終わった。
しかし、別の世界で目覚め、前世の知識を元に私は生まれ変わる…
前世の記憶しかない元侯爵令嬢は、訳あり大公殿下のお気に入り。(注:期間限定)
miy
恋愛
(※長編なため、少しネタバレを含みます)
ある日目覚めたら、そこは見たことも聞いたこともない…異国でした。
ここは、どうやら転生後の人生。
私は大貴族の令嬢レティシア17歳…らしいのですが…全く記憶にございません。
有り難いことに言葉は理解できるし、読み書きも問題なし。
でも、見知らぬ世界で貴族生活?いやいや…私は平凡な日本人のようですよ?…無理です。
“前世の記憶”として目覚めた私は、現世の“レティシアの身体”で…静かな庶民生活を始める。
そんな私の前に、一人の貴族男性が現れた。
ちょっと?訳ありな彼が、私を…自分の『唯一の女性』であると誤解してしまったことから、庶民生活が一変してしまう。
高い身分の彼に関わってしまった私は、元いた国を飛び出して魔法の国で暮らすことになるのです。
大公殿下、大魔術師、聖女や神獣…等など…いろんな人との出会いを経て『レティシア』が自分らしく生きていく。
という、少々…長いお話です。
鈍感なレティシアが、大公殿下からの熱い眼差しに気付くのはいつなのでしょうか…?
※安定のご都合主義、独自の世界観です。お許し下さい。
※ストーリーの進度は遅めかと思われます。
※現在、不定期にて公開中です。よろしくお願い致します。
公開予定日を最新話に記載しておりますが、長期休載の場合はこちらでもお知らせをさせて頂きます。
※ド素人の書いた3作目です。まだまだ優しい目で見て頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。
※初公開から2年が過ぎました。少しでも良い作品に、読みやすく…と、時間があれば順次手直し(改稿)をしていく予定でおります。(現在、146話辺りまで手直し作業中)
※章の区切りを変更致しました。(9/22更新)
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
この度娘が結婚する事になりました。女手一つ、なんとか親としての務めを果たし終えたと思っていたら騎士上がりの年下侯爵様に見初められました。
毒島かすみ
恋愛
真実の愛を見つけたと、夫に離婚を突きつけられた主人公エミリアは娘と共に貧しい生活を強いられながらも、自分達の幸せの為に道を切り開き、幸せを掴んでいく物語です。
ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?
ねーさん
恋愛
アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。
何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。
何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。
「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる