アマルトロスの騎兵隊

COTOKITI

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残された者達

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もう今が西暦何年かは覚えていない。
今分かっている事実はもう宇宙にいる連中が助けにくる可能性は限り無く低いと言うことぐらいだ。

天国への梯子は外された。

後は、自分達の足で歩くだけだ。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇




《アルファリーダーよりCP!! 敵の勢力未だ増大中!! 砲撃はまだか!!》

《ポイントdに敵多数!! 誰か来てくれ!!》

《アサルトライフルが弾切れだ! 補給はまだ来ないのか!?》



荒れ果てた市街地に幾重にも重ねられた銃声が響く。
排莢口から夥しい数の空薬莢が吐き出され、朽ちたアスファルトの上を転がる。

腕に内蔵された30mmのアサルトライフルを構え、マリノフのエグゾスーツはその2本の足で駆ける。

通りを右折するとモニターに敵が映り警告が流れる。
反対側にもたれ掛かるように倒れた高層ビルの裏側に敵性生物がびっしりと集合してへばりついていた。

時折カサカサと羽のような器官を動かしている彼らはエグゾスーツに気付くとまるで意志を共有しているかの如く一斉に飛び掛ってきた。

「こんな所で!!」

飛び掛る敵をバックステップで躱しながら右腕武装のアサルトライフルを掃射する。

毎分1700発という驚異の発射レートで放たれる30×140mmの徹甲炸裂弾が敵の体を貫き爆ぜる。

モニターの弾薬表示がみるみる減っていき、銃身過熱オーバーヒートの警告が出たので粗方薙ぎ払った後、後退する。

人工筋肉で作られたアクチュエータが稼働し、エグゾスーツは走り出す。

その姿はまるで人間のようであった。

アクチュエータは人間と同じ仕組みにしてその出力は何十倍とある。

アスファルトを踏み砕き疾走する。
目の前にいたのは3対の目を持ったドラゴンのような見た目をした大型種だった。

口から炎が吐き出される前に左腕のガウスキャノンで胸部を撃ち抜いた。

電磁加速で発射される劣化ウラン製の弾頭は鱗による防御を無視して背中から突き抜けた。

「トカゲ野郎がぁ!!」

致命傷を受けて怯んだ隙に右肩部に格納されていたエグゾスーツ用のブレードを手に取る。

体制を整える前に大型種の懐に入り込み跳躍する。

トップヘビー型のブレードを薙ぎ払うように左に振り腹を裂いた。

鮮血が流れると同時に臓物が溢れ出し、大型種は絶命する。

ブレードを再び肩部に戻してマリノフは部隊と合流するべく走り続ける。

「先行し過ぎた……まさか飛行型に退路を絶たれるとは……」

最初、マリノフは部隊と共にいたが防衛戦で前線から突出しすぎてしまったが故に敵に包囲され終いには孤立してしまった。

もう部隊の誰が生きてるかも分からないが隊長であった自分まで死んでしまっては元も子もないだろう。

そう考えながらマリノフはフットペダルを踏み続ける。


無線機が信号を拾った。

電波妨害でノイズが酷すぎてまともに聞き取れたものではないが確かに誰かが無線を使っていた。

発信箇所を特定し、モニターの戦術マップにマーカーが設置される。

「間に合えば良いが……!」

マーカーの位置までナビゲーションに従いながら走る。

壁を蹴り、残骸を飛び越え、目的地に辿り着いた頃には既に味方の部隊は壊滅していた。

歩兵は僅かな装備と肉片を残して敵の腹の中に収まり、エグゾスーツは中が食い荒らされて血塗れになっている。

装甲すらも食いちぎられており、この星の生物の恐ろしさを改めて実感した。

しかし、まだ1機のエグゾスーツが残されており絶望的な状況でありながら必死に抵抗していた。

味方機を包囲していた敵に向かって右腕のグレネードランチャーを放ち、包囲網に穴を開ける。

「逃げ道を作ってやる! 来い!!」

《お前は!?》

彼女の問いに答える間も無く、腕をひっ掴み全速力で走り出す。

《お、おい!!》

「この状況で自己紹介できる程俺は冷静じゃない!!」

無線で怒鳴りながら味方機を引き連れて走っている時、無線機が新たな信号を捉えた。

それもかなり多数の。

恐らく本隊だろう。

しかし、敵は依然としてこちらを追ってきている。

2機で相手にするのは難しいが、だからといってこの夥しい数を本隊にぶつけて損害を被る訳にもいかない。

一先ず本隊から一度距離を取ろうと反対方向へ向かおうとした時、頭上から甲高い音が聞こえてきた。

何事かと思って振り向こうとすれば突然後ろの敵に砲弾が降り注いだ。

200mmの榴弾の近接信管が群れの真上で作動し、爆風と破片が襲い掛かる。

真上から押し潰されるような正確な砲撃を受けた敵は粉々になり、原型も留めず横たわっていた。

頭上を飛んでいたのは、弾着観測の為に出撃したフライトユニット搭載型のエグゾスーツだった。

頭部のメインカメラがこちらの姿を捉えていた。

「間に合ったか……」

バラバラと音を立てながら通り過ぎていく何機かの攻撃ヘリを見上げながら、マリノフは呟いた。


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