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2章 ヒーロー活劇を望む復讐者
鬼ごっこ 11
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カンダタが立ち上がるも足にうまく力が入らず、蹌踉めく。この痛みのせいだ。肩と脇腹に残る爪痕、背中の打撲、こめかみの穴から血が止まっていない。
清音に近寄り、肩を揺さぶる。清音はびくりと痙攣させた反応をすると顔を上げる。終始の出来事を清音は知らなかった。全てを拒否していた清音は前に立つカンダタに驚き、そして涙を流す。
「あの、わた、私」
彼女は謝罪をしようとするも涙と罪悪感が共に表れて言葉が出ない。
「いい。いいんだ。誰でもそうなる。気持ちはわかるよ」
彼女にそれを責めるつもりはなかった。それが当然なのだと理解している。カンダタが冷静になり、逃げ出さなかったのは単に場慣れしているからだ。
「時間は?」
カンダタが聞きたいのは謝罪ではなく時間だ。
清音は落ち着きを取り戻す。隠しから薄板を取り出して映った時刻を伝える。
「16:59。あと1分です」
もうすぐだ。カンダタは頷く。
「俺は放送室に行く。清音は隠れているといい。けど、1カ所にとどまらず、移動しながら隠れるんだ」
心配事は無いと思わせるように話しかける。その成果もあって清音から涙が止まり、落ち着いたように頷く。
合図の鐘が校内に響かせる。時間丁度だ。
「ご無事で」
一言添えて、カンダタが階段を降りる。
「カンダタさん」
清音は何を思い至ったのか急に立ち上がるとカンダタを呼び止める。
「あ、あの、先に保健室に行きませんか?怪我、多いみたいですし。その、今度は、ちゃんと、役に立っていますので逃げませんから」
常識人からしてみればカンダタの身なりはひどいものだった。本人は傷に慣れ、医療道具もない場所を長年彷徨っていたのでそうした発想には至らなかった。
カンダタは改めて考え、清音に言う。
「逃げてもいいさ、危なくなったら見捨ててもいい」
清音が顔を俯かせる。勘違いさせてしまったらしい。だが、それを最初に言っておきたかったのだ。カンダタは誤解を解く為、言い加える。
「だから、保健室とやらに案内してくれるか?」
「はい」
清音は気弱に笑って返事をしたした。
「とても勇敢な人がいるみたいね。ビックリした。3体のうち1体がやられたわ」
西棟に足を踏み入れると放送が流れた。カンダタたちが保健室に向かう途中だった。
「勇敢なのはいいけどさ、調子に乗らないでよね。鬼を2体増やすわ。忘れないで1体倒せばもう1体増やして放ってやる。駒はいくらでもあるの。本当はあなたたちなんか一瞬で皆殺しにできるんだから。けど、私は皆に命の重さを実感させたいの。聞こえるでしょう。ドクドクなる心臓の音。生きたい死にたくないって叫ぶ生命の声。今まで実感したことなかったでしょ?それじゃあ、次の放送まで。またね」
「きっと、すみれ先輩には訳があるんだわ」
まだ信じられない清音がぽつりと呟く。彼女曰く、事を起こした桜尾 すみれは思いやりのある先輩のようで、人を傷つける性格はしていないそうだ。
カンダタは放送で流れる彼女しか知らない。人を殺し嘲る放送、2体の鬼の追加、倒すと増えるルール。
人を傷つけない思いやりのある先輩、か。なるほどいい性格している。
現状が厳しくなっているのに瑠璃が吐き捨てていそうな嫌味が頭に浮かんで自嘲気味に笑った。彼女の悪癖が移ってしまった。
不意に体中の痛みが訴え始めて、カンダタは顔歪めて立ち止まる。この短時間で3度目だ。
清音に近寄り、肩を揺さぶる。清音はびくりと痙攣させた反応をすると顔を上げる。終始の出来事を清音は知らなかった。全てを拒否していた清音は前に立つカンダタに驚き、そして涙を流す。
「あの、わた、私」
彼女は謝罪をしようとするも涙と罪悪感が共に表れて言葉が出ない。
「いい。いいんだ。誰でもそうなる。気持ちはわかるよ」
彼女にそれを責めるつもりはなかった。それが当然なのだと理解している。カンダタが冷静になり、逃げ出さなかったのは単に場慣れしているからだ。
「時間は?」
カンダタが聞きたいのは謝罪ではなく時間だ。
清音は落ち着きを取り戻す。隠しから薄板を取り出して映った時刻を伝える。
「16:59。あと1分です」
もうすぐだ。カンダタは頷く。
「俺は放送室に行く。清音は隠れているといい。けど、1カ所にとどまらず、移動しながら隠れるんだ」
心配事は無いと思わせるように話しかける。その成果もあって清音から涙が止まり、落ち着いたように頷く。
合図の鐘が校内に響かせる。時間丁度だ。
「ご無事で」
一言添えて、カンダタが階段を降りる。
「カンダタさん」
清音は何を思い至ったのか急に立ち上がるとカンダタを呼び止める。
「あ、あの、先に保健室に行きませんか?怪我、多いみたいですし。その、今度は、ちゃんと、役に立っていますので逃げませんから」
常識人からしてみればカンダタの身なりはひどいものだった。本人は傷に慣れ、医療道具もない場所を長年彷徨っていたのでそうした発想には至らなかった。
カンダタは改めて考え、清音に言う。
「逃げてもいいさ、危なくなったら見捨ててもいい」
清音が顔を俯かせる。勘違いさせてしまったらしい。だが、それを最初に言っておきたかったのだ。カンダタは誤解を解く為、言い加える。
「だから、保健室とやらに案内してくれるか?」
「はい」
清音は気弱に笑って返事をしたした。
「とても勇敢な人がいるみたいね。ビックリした。3体のうち1体がやられたわ」
西棟に足を踏み入れると放送が流れた。カンダタたちが保健室に向かう途中だった。
「勇敢なのはいいけどさ、調子に乗らないでよね。鬼を2体増やすわ。忘れないで1体倒せばもう1体増やして放ってやる。駒はいくらでもあるの。本当はあなたたちなんか一瞬で皆殺しにできるんだから。けど、私は皆に命の重さを実感させたいの。聞こえるでしょう。ドクドクなる心臓の音。生きたい死にたくないって叫ぶ生命の声。今まで実感したことなかったでしょ?それじゃあ、次の放送まで。またね」
「きっと、すみれ先輩には訳があるんだわ」
まだ信じられない清音がぽつりと呟く。彼女曰く、事を起こした桜尾 すみれは思いやりのある先輩のようで、人を傷つける性格はしていないそうだ。
カンダタは放送で流れる彼女しか知らない。人を殺し嘲る放送、2体の鬼の追加、倒すと増えるルール。
人を傷つけない思いやりのある先輩、か。なるほどいい性格している。
現状が厳しくなっているのに瑠璃が吐き捨てていそうな嫌味が頭に浮かんで自嘲気味に笑った。彼女の悪癖が移ってしまった。
不意に体中の痛みが訴え始めて、カンダタは顔歪めて立ち止まる。この短時間で3度目だ。
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