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3章 死神が誘う遊園地
遊園地 5
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突然の登場に驚愕はしたけれど、それよりもあたしとカンダタが眉を潜めて凝視していたのは彼の手に収まるポップコーン。頭に熊の耳を模したカチューシャが付いている。
「何、それ」
「貰った」
当たり前のように言う。ポップコーンを貰えば食べて、熊耳のカチューシャを貰えばつける。軽快な音楽にのせられた馬鹿だわ。
「俺こういうとこ来るの初めてなんだよ。見て回ろうぜ」
カンダタも絶句する。この馬鹿は到着5分で目的を忘れていた。
「キヨネを探すぞ」
足元の黒猫があたしに向かって話しかける。
「あたしは他人の為に来てないのよ。ケイも光弥も勝手にしなさいよ」
あたしがここに来たのは桐 首に会う為よ。
「お連れ様をお探しですか?それでしたらSNSで検索して下さい!」
優秀なキャストは私たちの問題点を取り上げ、1つの解決策を提示する。それはスマホに類似した薄い液晶の板だった。
映された画面には「yumezono」とポップな明るい色彩のロゴがあった。
タップしてみると映像が移り変わり、画面上に熊みたいな顔と体型をして、象みたいな鼻を垂らしたピンクのキャラクターが現れる。象なのか熊なのかよくわからない生物ね。
「ハァイ☆」
ピンク色の熊のような象のような生物ががこちらに手を振ってくる。端末に搭載されたアシスタント機能のようだった。
「正午を回ったよ☆腹が減っては戦はできぬ☆ご飯を食べて楽園を楽しもう☆」
好きにはなれないキャラクターね。
「なんだよ、その象みたいなの」
「熊じゃないの?」
「こちらはパク君です!」
キャストの説明が入る。
「パクくんは園内の案内役となっております!端末でのサービスは他にもありまして、アトラクションの待ち時間、園内のニュース」
「スマホと変わらないんでしょ」
分かりきった説明を遮って次に進もうとする。
「SNSもご利用できます!」
話を遮ったのにも関わらず、キャストは無理にでも決められた台詞を言い切る。
ずっと同じ笑顔でいる。話を遮られたのだからなにかしらの変化があってもいいのに。
「お連れ様もどうぞ」
キャストは端末を差し出す。
「俺は持ってる」
光弥はポップコーン一緒に貰った端末をあたしたちに見せる。
「お連れ様もどうぞ」
キャストは同じ台詞を繰り返す。
あたしと光弥は貰っている。ケイには見向きをしていない。消去法で残されたのはカンダタだった。彼は戸惑っていた。
「ま、こっち側にいるから見えて当然だな」
あたしもカンダタも現世の境界線を越えた認識があったから見えて当然の話である。それでも透明人間であることに慣れてしまったカンダタは目を丸くしていた。
「必要ない」
驚愕、しばしの思考。そのあとに少しの戸惑いを残して言い放つ。
「お連れ様もどうぞ」
カンダタの拒否はキャストに関係ないらしい。
「塊人だな。精度が低い」
ポップコーンを口に含みながら光弥が言う。
「こんなポンコツロボットみたいなのが?」
「どっちも同じようなもんだよ。ハザマにいる奴らは作られた時の精度が高いから会話の支障がない。欲求も持っている。まぁ、俺みたいに3大欲求が揃っているのは珍しいけどな」
「お連れ様もどうぞ」
繰り返された台詞にうんざりして、あたしは乱雑に受け取る。苛々した仕草にもキャストは笑顔を崩さなかった。
「ポップコーンもございます!」
「いらない」
「ポップコーンもございます!」
あたしは諦めて2人分のカップを受け取ると光弥に渡す。光弥は嬉しそうに食べる。
「それでは夢園お楽しみ下さい!」
「桐 首が会いたいんだけど、どこにいるの?」
あたしは遊園地を楽しみに来ていない。
「それでは夢園お楽しみ下さい!」
キャストの頭にはこの質問がインプットされていないみたい。ポンコツね。
「何、それ」
「貰った」
当たり前のように言う。ポップコーンを貰えば食べて、熊耳のカチューシャを貰えばつける。軽快な音楽にのせられた馬鹿だわ。
「俺こういうとこ来るの初めてなんだよ。見て回ろうぜ」
カンダタも絶句する。この馬鹿は到着5分で目的を忘れていた。
「キヨネを探すぞ」
足元の黒猫があたしに向かって話しかける。
「あたしは他人の為に来てないのよ。ケイも光弥も勝手にしなさいよ」
あたしがここに来たのは桐 首に会う為よ。
「お連れ様をお探しですか?それでしたらSNSで検索して下さい!」
優秀なキャストは私たちの問題点を取り上げ、1つの解決策を提示する。それはスマホに類似した薄い液晶の板だった。
映された画面には「yumezono」とポップな明るい色彩のロゴがあった。
タップしてみると映像が移り変わり、画面上に熊みたいな顔と体型をして、象みたいな鼻を垂らしたピンクのキャラクターが現れる。象なのか熊なのかよくわからない生物ね。
「ハァイ☆」
ピンク色の熊のような象のような生物ががこちらに手を振ってくる。端末に搭載されたアシスタント機能のようだった。
「正午を回ったよ☆腹が減っては戦はできぬ☆ご飯を食べて楽園を楽しもう☆」
好きにはなれないキャラクターね。
「なんだよ、その象みたいなの」
「熊じゃないの?」
「こちらはパク君です!」
キャストの説明が入る。
「パクくんは園内の案内役となっております!端末でのサービスは他にもありまして、アトラクションの待ち時間、園内のニュース」
「スマホと変わらないんでしょ」
分かりきった説明を遮って次に進もうとする。
「SNSもご利用できます!」
話を遮ったのにも関わらず、キャストは無理にでも決められた台詞を言い切る。
ずっと同じ笑顔でいる。話を遮られたのだからなにかしらの変化があってもいいのに。
「お連れ様もどうぞ」
キャストは端末を差し出す。
「俺は持ってる」
光弥はポップコーン一緒に貰った端末をあたしたちに見せる。
「お連れ様もどうぞ」
キャストは同じ台詞を繰り返す。
あたしと光弥は貰っている。ケイには見向きをしていない。消去法で残されたのはカンダタだった。彼は戸惑っていた。
「ま、こっち側にいるから見えて当然だな」
あたしもカンダタも現世の境界線を越えた認識があったから見えて当然の話である。それでも透明人間であることに慣れてしまったカンダタは目を丸くしていた。
「必要ない」
驚愕、しばしの思考。そのあとに少しの戸惑いを残して言い放つ。
「お連れ様もどうぞ」
カンダタの拒否はキャストに関係ないらしい。
「塊人だな。精度が低い」
ポップコーンを口に含みながら光弥が言う。
「こんなポンコツロボットみたいなのが?」
「どっちも同じようなもんだよ。ハザマにいる奴らは作られた時の精度が高いから会話の支障がない。欲求も持っている。まぁ、俺みたいに3大欲求が揃っているのは珍しいけどな」
「お連れ様もどうぞ」
繰り返された台詞にうんざりして、あたしは乱雑に受け取る。苛々した仕草にもキャストは笑顔を崩さなかった。
「ポップコーンもございます!」
「いらない」
「ポップコーンもございます!」
あたしは諦めて2人分のカップを受け取ると光弥に渡す。光弥は嬉しそうに食べる。
「それでは夢園お楽しみ下さい!」
「桐 首が会いたいんだけど、どこにいるの?」
あたしは遊園地を楽しみに来ていない。
「それでは夢園お楽しみ下さい!」
キャストの頭にはこの質問がインプットされていないみたい。ポンコツね。
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