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3章 死神が誘う遊園地
遊園地 8
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隣にいたカンダタがいないことに気付いて、辺りを見渡す。カンダタは専門店のショーウィンドウ前にいた。何かを見つめ思考に耽る。
「あれ、なんだと思う?」
カンダタ示したのは、熊耳カチューシャを恋人につけるカップルだった。
いや、違う。カチューシャを付けているのは幸せ溢れた青年。その相手であるはずの恋人はマネキンだった。鼻も目もないのっぺらぼうの顔、喋る言葉も持っていない。
なのに、青年は「可愛いね」「俺はどっちしようかな」と一方通行の会話をしている。
「人形嗜好に目覚めた変態」
「それかそうなるように仕組まれたか」
光弥がつけ加える。
魂のプログラムってことかしら?
それを聞こうとするもポケットに仕舞った端末から明るいラッパが鳴って、あたしを逆撫でさせるパク君の台詞が時刻を知らせる。
「正午を回ったよ☆腹が減っては戦はできぬ☆ご飯を食べて楽園を楽しもう☆」
「お昼かぁ。早いなぁ」
光弥が呑気に呟いて、あたしとカンダタは凝視する。
光弥は無反応であれをただの通知音としか捉えていない。
正午の知らせはこれで2度目になる。それが30分前だった。
あれ? 20分前だったかしら?
体内時計はあてにならない。あたしは時間を確認しようと端末を操作する。
どこを探しても時間の表記がない。AI機能があるくせに時計の機能がないの?
ショーウィンドウ越しのマネキンカップルが店を出る。青年はマネキンの手を取り、マネキンはそれに合わせて無感情に歩く。
まるでパク君の知らせが合図のように商店街通りにいる全ての人が店から出て、同じ方向に歩いていく。
通りには人の多勢は急流となって、光弥は徐に人の流れに乗ろうとしていた。
カンダタが光弥の手首を掴み、歩みを止める。
「どこに行くつもりだ?」
「え?昼飯だけど?」
さも当然のように答えるからあたしたちの疑惑は強まった。
「行かないほうがいい」
その疑惑を言葉に変換して伝えるのは難しい。カンダタは疑惑から生じた直感だけで光弥を引き止めた。
その疑惑は光弥が持つポップコーンにもあった。
「手に持っているものも捨てろ」
「でも」
「いいから捨てろ」
命令にも近いカンダタの警告。光弥は渋々、ポップコーンをゴミ箱に捨てる。
「なんだよ、急に」
不服そうな光弥。あたしからしてみればそう思えてしまうのが信じられない。
「本当に思わないの?あのアラーム2度目の正午を示していたのよ?」
「しかも、5分前だ」
「30分前でしょ」
カンダタとあたしの時間感覚がずれている。そこには驚いたけれど、すぐに理解した。
地獄に落ちた時、あれは1日だけの出来事だったのに実際は3日間も過ぎていた。
あの後に光弥が説明してくれた。魂が生体から離れると感覚が鈍る。
時計がないから時間経過は体感でしか測れない。その感覚すらも狂っているのだからあたしとカンダタにずれができるのも当然ね。
「時計がないから時間わからない。唯一、時間を知らせてくれるのはパク君のお知らせだけ」
まるで、時間感覚を他者に操られているみたい。
時間感覚だけじゃないわね。パク君は昼食を促していた。それって生活リズムそのものを支配されるってことじゃない?
カンダタが抱いていた疑惑について考えを巡らせながら言語化する。
「魂のプログラムというより、洗脳に近いわね」
「感覚を他者に握られるのなら同じようなもんだろ」
「あぁ、なるほど」
やっと光弥が納得して手を叩く。
「大移動の大半はプログラムされてるね。洗脳されている奴らはその流れに乗ってる感じかな。どちらちもなっていない奴らはまだ残っているわけだ」
光弥が指差した方向には店の外に立つ2人の学生が談笑している。
随分と冷静に分析するのね。さっきはその大半の流れについて行こうとしたくせに。
「このプログラムはどこでされているんだ?」
「俺に聞かれてもねぇ。創立者に聞けば?」
あたしは端末のマップを開いて歩き出す。
「どこに行くつもりだ?」
「プログラムされた奴らは昼食をしに行ったのよ。なら、飲食店に決まってる」
「それで?」
「本人に聞くのよ。どこで脳みそを掻き回されましたかって」
こめかみをトントンと叩いてほくそ笑むあたしに対して、カンダタは不安な顔をしていた。
「あれ、なんだと思う?」
カンダタ示したのは、熊耳カチューシャを恋人につけるカップルだった。
いや、違う。カチューシャを付けているのは幸せ溢れた青年。その相手であるはずの恋人はマネキンだった。鼻も目もないのっぺらぼうの顔、喋る言葉も持っていない。
なのに、青年は「可愛いね」「俺はどっちしようかな」と一方通行の会話をしている。
「人形嗜好に目覚めた変態」
「それかそうなるように仕組まれたか」
光弥がつけ加える。
魂のプログラムってことかしら?
それを聞こうとするもポケットに仕舞った端末から明るいラッパが鳴って、あたしを逆撫でさせるパク君の台詞が時刻を知らせる。
「正午を回ったよ☆腹が減っては戦はできぬ☆ご飯を食べて楽園を楽しもう☆」
「お昼かぁ。早いなぁ」
光弥が呑気に呟いて、あたしとカンダタは凝視する。
光弥は無反応であれをただの通知音としか捉えていない。
正午の知らせはこれで2度目になる。それが30分前だった。
あれ? 20分前だったかしら?
体内時計はあてにならない。あたしは時間を確認しようと端末を操作する。
どこを探しても時間の表記がない。AI機能があるくせに時計の機能がないの?
ショーウィンドウ越しのマネキンカップルが店を出る。青年はマネキンの手を取り、マネキンはそれに合わせて無感情に歩く。
まるでパク君の知らせが合図のように商店街通りにいる全ての人が店から出て、同じ方向に歩いていく。
通りには人の多勢は急流となって、光弥は徐に人の流れに乗ろうとしていた。
カンダタが光弥の手首を掴み、歩みを止める。
「どこに行くつもりだ?」
「え?昼飯だけど?」
さも当然のように答えるからあたしたちの疑惑は強まった。
「行かないほうがいい」
その疑惑を言葉に変換して伝えるのは難しい。カンダタは疑惑から生じた直感だけで光弥を引き止めた。
その疑惑は光弥が持つポップコーンにもあった。
「手に持っているものも捨てろ」
「でも」
「いいから捨てろ」
命令にも近いカンダタの警告。光弥は渋々、ポップコーンをゴミ箱に捨てる。
「なんだよ、急に」
不服そうな光弥。あたしからしてみればそう思えてしまうのが信じられない。
「本当に思わないの?あのアラーム2度目の正午を示していたのよ?」
「しかも、5分前だ」
「30分前でしょ」
カンダタとあたしの時間感覚がずれている。そこには驚いたけれど、すぐに理解した。
地獄に落ちた時、あれは1日だけの出来事だったのに実際は3日間も過ぎていた。
あの後に光弥が説明してくれた。魂が生体から離れると感覚が鈍る。
時計がないから時間経過は体感でしか測れない。その感覚すらも狂っているのだからあたしとカンダタにずれができるのも当然ね。
「時計がないから時間わからない。唯一、時間を知らせてくれるのはパク君のお知らせだけ」
まるで、時間感覚を他者に操られているみたい。
時間感覚だけじゃないわね。パク君は昼食を促していた。それって生活リズムそのものを支配されるってことじゃない?
カンダタが抱いていた疑惑について考えを巡らせながら言語化する。
「魂のプログラムというより、洗脳に近いわね」
「感覚を他者に握られるのなら同じようなもんだろ」
「あぁ、なるほど」
やっと光弥が納得して手を叩く。
「大移動の大半はプログラムされてるね。洗脳されている奴らはその流れに乗ってる感じかな。どちらちもなっていない奴らはまだ残っているわけだ」
光弥が指差した方向には店の外に立つ2人の学生が談笑している。
随分と冷静に分析するのね。さっきはその大半の流れについて行こうとしたくせに。
「このプログラムはどこでされているんだ?」
「俺に聞かれてもねぇ。創立者に聞けば?」
あたしは端末のマップを開いて歩き出す。
「どこに行くつもりだ?」
「プログラムされた奴らは昼食をしに行ったのよ。なら、飲食店に決まってる」
「それで?」
「本人に聞くのよ。どこで脳みそを掻き回されましたかって」
こめかみをトントンと叩いてほくそ笑むあたしに対して、カンダタは不安な顔をしていた。
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