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5章 恋焦がれ巡る地獄旅行
絡まる思慕 6
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カンダタと目線はあったものの、瑠璃は一瞬も待たずに逸してしまう。恋愛事には関わりたくないようだ。
「ケイはそれでいいのか?」
助けを求めるようにケイに確認してみる。
「清音が言うなら」
予想していた答えとは違う。
これまでの清音とケイのやりとりに違和感を持ち始める。この違和感は瑠璃と再会した時からあったものだ。
やはり、おかしい。瑠璃とケイの様子がおかしい。
これに気づいているのはカンダタだけだろうか。
清音を嫌っている瑠璃がこの振り分けに反論しない。調子が悪いからだといいにくい。ケイもそうだ。清音に執着しているのにあっさりと身を引いた。
カンダタの違和感が消化されないまま振り分けは決まり、光弥は通話機を瑠璃から受け取る。
「俺はビニールハウスを回ってみるよ」
「なら私たちはもうひとつ隣の部屋に行ってみるね」
当然のように清音が話を進める。
足の下では鬼たちが犇き合っていることを彼女は忘れているのであろうか。こういった時、清音は保守的になる。
その分、瑠璃が前に出て先頭を仕切る。反骨心が強いので反骨心が強いからこの状況を受け入れなれないはずなのだが、今の瑠璃は大人しい。話を触れば返ってくるので頭痛のせいとは言い難い。
「行こう」
清音は張り切ってカンダタの腕を絡め取り、半ば強引に連れて行く。疑念の答えを出せずに集中していたカンダタは彼女の言動に戸惑ってしまう。
瑠璃のほうへと振り返る。瑠璃は冷ややかな目でこちらを睨んでいる。見つけてしまった男女の逢い引きを軽蔑する眼差しに似ていた。
勘弁してくれ。と内心で嘆く。
早い歩調で突き進む清音に対して、瑠璃の足取りは遅い。蔑まれた目で見つめながら歩いている。
「パイプの上は蒸気が吹いたり、穴が開いたり危ないんですよ」
「だったら俺が先に行く」
どんどん突き進む清音を止め、位置を交換する。
清音の言う通り、管の上は慎重に進まなければならなかった。こんな所を考えなしに突き進んだらだろうか。
カンダタの後についていく清音はひっつき虫になり、少しも離れないようとしない。
ちらりと瑠璃を見てみれば疲弊しきった様子で一定の距離を保ちながら目を睨んでいる。
目線を前方に戻す。賑やかに喋る清音に悪寒に近いものを感じた。
「カンダタさんがいてくれると安心できますね」
エレベーターで会った時、あそこまで怯えた清音はどこに行ったのか。混乱し、身に起きた現状ですら話せないでいたと言うのに。
人が揃ったから安心したのか?それだけでは確信を得られない。
「余裕ができたみたいだな。エレベータで会った時は怯えていたのに怯えていたのに」
「皆が揃ったから安心しちゃって。それに泣いてばかりじゃ駄目ですよね」
「冷静な判断ができるようになってきたようだな」
カンダタの台詞は清音の言動に不審感が隠されていた。
「えへへ」
褒めたたわけでは無いのだが、清音は照れくさそうに笑う。そして離れて歩く瑠璃を見て笑顔を仕舞う。
「瑠璃は大丈夫、ですかね?」
頭痛は治まっているようだ。と言うのに瑠璃は近寄ることはせず、こちらを睨んでいるだけだ。
怒気が含むその目線に内心たじろぐも顔には出さなかった。怒られる理由が思い当たらない。
「心配なら傍に行ってみたらいい」
「私は嫌われているから」
清音は自嘲気味に言う。
こうして会話してるといつも通り清音である。ただ不気味なほどに落ち着いているというだけだ。
「清音を連れ去ったときのことを話せるか?」
この状態の清音なら拉致られたことを明確に話してくれるだろうと期待し、質問をする。
彼女は暗い顔で俯き、話す。
「そのことはあまり、覚えてないです」
「そうか、すまない。思い出したら言ってくれ」
また目を潤ませたので、カンダタは慌てて取り繕う。清音にとっては深い傷となっているらしい。
それほど怖い目にあったのだろうか。本人には悪いが、これまでにも学校で鬼に食われそうになったり、夢の中で洗脳、催眠にかかったりとそれなりに強烈な経験をしている。開き直っているのなら話しても良いはずだ。
しかし、本人の口がそう言っているのだからそうだろうと答えるしかない。ただ、内にある疑念が深まる。
これ以上の言及は意味がないとカンダタは質問をやめる。
「ケイはそれでいいのか?」
助けを求めるようにケイに確認してみる。
「清音が言うなら」
予想していた答えとは違う。
これまでの清音とケイのやりとりに違和感を持ち始める。この違和感は瑠璃と再会した時からあったものだ。
やはり、おかしい。瑠璃とケイの様子がおかしい。
これに気づいているのはカンダタだけだろうか。
清音を嫌っている瑠璃がこの振り分けに反論しない。調子が悪いからだといいにくい。ケイもそうだ。清音に執着しているのにあっさりと身を引いた。
カンダタの違和感が消化されないまま振り分けは決まり、光弥は通話機を瑠璃から受け取る。
「俺はビニールハウスを回ってみるよ」
「なら私たちはもうひとつ隣の部屋に行ってみるね」
当然のように清音が話を進める。
足の下では鬼たちが犇き合っていることを彼女は忘れているのであろうか。こういった時、清音は保守的になる。
その分、瑠璃が前に出て先頭を仕切る。反骨心が強いので反骨心が強いからこの状況を受け入れなれないはずなのだが、今の瑠璃は大人しい。話を触れば返ってくるので頭痛のせいとは言い難い。
「行こう」
清音は張り切ってカンダタの腕を絡め取り、半ば強引に連れて行く。疑念の答えを出せずに集中していたカンダタは彼女の言動に戸惑ってしまう。
瑠璃のほうへと振り返る。瑠璃は冷ややかな目でこちらを睨んでいる。見つけてしまった男女の逢い引きを軽蔑する眼差しに似ていた。
勘弁してくれ。と内心で嘆く。
早い歩調で突き進む清音に対して、瑠璃の足取りは遅い。蔑まれた目で見つめながら歩いている。
「パイプの上は蒸気が吹いたり、穴が開いたり危ないんですよ」
「だったら俺が先に行く」
どんどん突き進む清音を止め、位置を交換する。
清音の言う通り、管の上は慎重に進まなければならなかった。こんな所を考えなしに突き進んだらだろうか。
カンダタの後についていく清音はひっつき虫になり、少しも離れないようとしない。
ちらりと瑠璃を見てみれば疲弊しきった様子で一定の距離を保ちながら目を睨んでいる。
目線を前方に戻す。賑やかに喋る清音に悪寒に近いものを感じた。
「カンダタさんがいてくれると安心できますね」
エレベーターで会った時、あそこまで怯えた清音はどこに行ったのか。混乱し、身に起きた現状ですら話せないでいたと言うのに。
人が揃ったから安心したのか?それだけでは確信を得られない。
「余裕ができたみたいだな。エレベータで会った時は怯えていたのに怯えていたのに」
「皆が揃ったから安心しちゃって。それに泣いてばかりじゃ駄目ですよね」
「冷静な判断ができるようになってきたようだな」
カンダタの台詞は清音の言動に不審感が隠されていた。
「えへへ」
褒めたたわけでは無いのだが、清音は照れくさそうに笑う。そして離れて歩く瑠璃を見て笑顔を仕舞う。
「瑠璃は大丈夫、ですかね?」
頭痛は治まっているようだ。と言うのに瑠璃は近寄ることはせず、こちらを睨んでいるだけだ。
怒気が含むその目線に内心たじろぐも顔には出さなかった。怒られる理由が思い当たらない。
「心配なら傍に行ってみたらいい」
「私は嫌われているから」
清音は自嘲気味に言う。
こうして会話してるといつも通り清音である。ただ不気味なほどに落ち着いているというだけだ。
「清音を連れ去ったときのことを話せるか?」
この状態の清音なら拉致られたことを明確に話してくれるだろうと期待し、質問をする。
彼女は暗い顔で俯き、話す。
「そのことはあまり、覚えてないです」
「そうか、すまない。思い出したら言ってくれ」
また目を潤ませたので、カンダタは慌てて取り繕う。清音にとっては深い傷となっているらしい。
それほど怖い目にあったのだろうか。本人には悪いが、これまでにも学校で鬼に食われそうになったり、夢の中で洗脳、催眠にかかったりとそれなりに強烈な経験をしている。開き直っているのなら話しても良いはずだ。
しかし、本人の口がそう言っているのだからそうだろうと答えるしかない。ただ、内にある疑念が深まる。
これ以上の言及は意味がないとカンダタは質問をやめる。
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