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5章 恋焦がれ巡る地獄旅行
欲しいもの 1
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あたしを連れ去ったハクは潜った鏡の先で足を滑らせた。そのせいであたしの身体ははハクの腕から投げられる。
視界が揺らぐのは黒蝶による拒絶反応のせいじゃない。床に転がって目が回るからだ。
今にも吐きそうな口を抑えて立ち上がる。
ここはダンスホールでもオフィスビルでもない。
幅2m の大回廊で、壁には裸体の人々が罰を受ける絵と鏡が交互に並んで飾られている。
立派な額縁に囲まれた絵は偉大でうさん臭そう。あたしには立派なに関心を持つ教養も余裕もない。
床は赤い液体に浸っていて、ハクはそれに足を取られ転んでしまった。
あたしは次の逃げ道になるいくつかの鏡を見つめる。どこに行けばいいのかわからない。
ついさっきまで張り巡らされていた白糸が逃げ道を教えてくれていた。これも拒絶反応のせいなの?
とりあえず1番近い鏡に駆け寄る。悔やんでいる暇もない。清音たちはあたしたちを追ってくる。鈍痛がするからと休んでいられない。
「急いで早く」
うずくまっているハクに一括する。ハクはのろのろと起き上がり、あたしの傍に寄る。
目の前の鏡を潜ろうと手をつく。けれど、ただの鏡でその先には行けない。
まるでの鏡みたい。当然ね。鏡は潜るものじゃない。移動装置でもない。これが普通なんだ。
あたしは普通じゃないこの世界に立っているんだから転移する鏡も必ずある。
あたしは別の鏡に移動して、触れる。鏡は閉ざされ沈黙し、あたしを映す。これじゃない。
回廊はどこまでも続いていて行き止まりがない。壁に飾られている絵画や鏡は無限にある。手当たり次第でやっていられない。時間が迫っている。
「るうううりいいいいい」
ケイの怒声が響く。
ケイは頭に血が昇っていてあたしを殺す勢いで来る。
鉄夫人はケイにターゲットを定めていたし、それなりに苦戦すると思っていたのに来るのが早い。
清音がケイを誘導したのか、蝶男が何か仕向けたのか。
兎に角、今は走らないと。
ハクは鼻をひくつかせて臭いから逃げる道を探す。
臭いで見つけたのか「ギャウ」と一声鳴いてから走る。
白い背中には鉄夫人につけられた痛々しい傷跡が残っている。
動きが鈍くなっているのは傷のせいね。
痛い、泣きたいと嘆きたいの我慢して走っている。
ケイには見えていないからといって怪我を負ったハクを向かせるわけにはいかないくなった。2度目の奇襲だって通用するとは限らない。ケイだって見えない敵には警戒するはず。
回廊は単純な作りになっていて、曲がり道も分かれ道もない。ハクを先頭にして、迫ってくるケイからなるべく遠くに離れることを願って走る。
振り向けばケイがこちらに向かっている。顔がないのに熊のような眼光で射してくるようだった。しかも、どこで拾ったかわからない刀が握られていた。
ケイの腕に担がれているのは清音で、彼女は腕が折れているのに余裕のある笑みを浮かべている。
清音を抱えているということはその分重みがある。すぐには追いつけない。
希望的な観測をしてもあたしの足は緩まなかった。ハンデがあってもこちらが不利なのは変わりないだから。
ハクがある鏡の前で立ち止まった。
そこが次の移転先だと確信して、迷いなく飛び込んだ。
視界が揺らぐのは黒蝶による拒絶反応のせいじゃない。床に転がって目が回るからだ。
今にも吐きそうな口を抑えて立ち上がる。
ここはダンスホールでもオフィスビルでもない。
幅2m の大回廊で、壁には裸体の人々が罰を受ける絵と鏡が交互に並んで飾られている。
立派な額縁に囲まれた絵は偉大でうさん臭そう。あたしには立派なに関心を持つ教養も余裕もない。
床は赤い液体に浸っていて、ハクはそれに足を取られ転んでしまった。
あたしは次の逃げ道になるいくつかの鏡を見つめる。どこに行けばいいのかわからない。
ついさっきまで張り巡らされていた白糸が逃げ道を教えてくれていた。これも拒絶反応のせいなの?
とりあえず1番近い鏡に駆け寄る。悔やんでいる暇もない。清音たちはあたしたちを追ってくる。鈍痛がするからと休んでいられない。
「急いで早く」
うずくまっているハクに一括する。ハクはのろのろと起き上がり、あたしの傍に寄る。
目の前の鏡を潜ろうと手をつく。けれど、ただの鏡でその先には行けない。
まるでの鏡みたい。当然ね。鏡は潜るものじゃない。移動装置でもない。これが普通なんだ。
あたしは普通じゃないこの世界に立っているんだから転移する鏡も必ずある。
あたしは別の鏡に移動して、触れる。鏡は閉ざされ沈黙し、あたしを映す。これじゃない。
回廊はどこまでも続いていて行き止まりがない。壁に飾られている絵画や鏡は無限にある。手当たり次第でやっていられない。時間が迫っている。
「るうううりいいいいい」
ケイの怒声が響く。
ケイは頭に血が昇っていてあたしを殺す勢いで来る。
鉄夫人はケイにターゲットを定めていたし、それなりに苦戦すると思っていたのに来るのが早い。
清音がケイを誘導したのか、蝶男が何か仕向けたのか。
兎に角、今は走らないと。
ハクは鼻をひくつかせて臭いから逃げる道を探す。
臭いで見つけたのか「ギャウ」と一声鳴いてから走る。
白い背中には鉄夫人につけられた痛々しい傷跡が残っている。
動きが鈍くなっているのは傷のせいね。
痛い、泣きたいと嘆きたいの我慢して走っている。
ケイには見えていないからといって怪我を負ったハクを向かせるわけにはいかないくなった。2度目の奇襲だって通用するとは限らない。ケイだって見えない敵には警戒するはず。
回廊は単純な作りになっていて、曲がり道も分かれ道もない。ハクを先頭にして、迫ってくるケイからなるべく遠くに離れることを願って走る。
振り向けばケイがこちらに向かっている。顔がないのに熊のような眼光で射してくるようだった。しかも、どこで拾ったかわからない刀が握られていた。
ケイの腕に担がれているのは清音で、彼女は腕が折れているのに余裕のある笑みを浮かべている。
清音を抱えているということはその分重みがある。すぐには追いつけない。
希望的な観測をしてもあたしの足は緩まなかった。ハンデがあってもこちらが不利なのは変わりないだから。
ハクがある鏡の前で立ち止まった。
そこが次の移転先だと確信して、迷いなく飛び込んだ。
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