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7章 赤い珠が映す空想未来
邂逅してから 2
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蝶男は地獄に居ると影弥は言う。身を隠しやすい第四層だ。その地獄に雲隠れしている奴をどう呼び出すか、呼び出してからどうするのかを3人で頭を捻って考えた。
紅玉が未来視をしてそれをもとに作戦をたてたが、紅柘榴たちが求めるような回答は視れなかった。
欲張りすぎなのだ。
蝶男を倒して、紅柘榴の大事な人たちと再会して、そして紅玉は影弥もとに帰ってくる。
やり遂げたいなら切り捨てる覚悟を持たないといけない。
雪が溶けて春菊の芽が見えてきた。
影弥はとれたての春菊を天ぷらにして紅柘榴にご馳走した。
意志宣明してから紅柘榴の感情は少しずつ現れるようになった。揚げたての天ぷらに塩をかけて、中庭の松を眺めながら彼女は微笑んだ。
「おいしい。あの子たちにも食べさせたかった」
けど、二言目に出るのは彼女の想い人たちだ。
「また季節が巡るんだね。私、季節の中でも春が好きなの」
「はくもね、春が好きだって言ってたの。私のことを春の匂いがするってよく言ってた。そんな顔しないで」
苦笑いしてしまうほど紅玉はひどい顔をしていたのだろう。
「だって、そんなにあれがいいの。惚気ちゃってさ」
「ほんとに素敵なの人なのよ」
「はいはい」
子供なら許せる。赤ん坊は可愛いものだ。それが我が子なら尚更であるし、紅玉の甥になるのだから誰の顔に似ようともやはり可愛い。
しかし、あの男は駄目だ。紅柘榴がどんなに弁解しようとも紅玉にとっては物を盗むくず野郎だ。
そんな奴に自分の妹が取られるのも面白くない。
「ありがとね」
頬を膨らませていると紅柘榴が春の日差しのようにささやいた。
「隣にいてくれて、ありがと」
恩を返してほしいわけじゃない。紅玉が傍にいたのは紅玉が一緒にいたいからだ。お礼を言われるほどのものじゃない。
けど、それが堪らなく嬉しくて、たった一言、それだけあれば充分で、充分すぎてまた涙が出た。
「べに、約束する。必ずあなたに会いに行く。会わせる。それまで待ってて」
涙が出る顔で紅桜を見つめ、紅柘榴も涙を流しそうになりながら頷いた。
「うん、待ってる」
未来視の結果は成功するのは半々だと伝えた。
なので、失敗したときの保険として紅柘榴を影弥のもとに残して、紅玉が単身で向かわせる。
蝶男は紅玉を狙ってくる。それなら奴を誘い出すのも簡単で、未来視を持っているなら、紅玉が挑むのがいい。と二人を説得して、しまいには未来ならそのほうが良いと力説した。
影弥はそれに反論なかったが、紅柘榴は引き下がらなかった。
鋏としての能力も覚醒し、鬼になれば怖いものはないだろう。そう思ってるのは紅柘榴だけだ。
辛かったが、蝶化した白蓮と退治できるのかと話を出せば、紅柘榴桜は青褪めてしまった。
そうして紅玉が一人で向かうこととなった。
単身ではさすがに心細いからと鋏の能力を一部だけ紅玉に託すようにと影弥が提案した。
「できるの?」
「べにができると確信できれば」
食事とお風呂を終え、紅柘榴が床につく前に灯りを囲んで話し合うのが近頃の日課となった。
「感情、記憶、思考の三つを切り分けてそのうちの一つを紅玉の魂につなげて託す。そしたら紅玉も鋏の能力を使えるはずだ。一部だけどね」
「そしたら紅玉はどうなるの?」
「眠りにつく。魂の眠りだ。こうが戻ってくるまで目覚めない」
紅柘榴を見れば何事もないように頷く。
「それで構わない。五十年でも百年でも待ってる。待つことしかできないけど」
それでいいのか。
「黒蝶を切り離すには鋏が必須になる」
まだ迷っている紅玉に影弥は付け足して説明する。
紅柘榴には長寿を全うさせてやりたかったけど、そうした紅玉の望みも切り捨てなければならないものなのだろう。
紅柘榴も紅玉と同じ覚悟を持っている。なら、彼女はもう守るの存在ではない。
鋏の一部を魂に繋げるなら紅玉が輪廻に流された後の来世でも鋏を持ったままなのだという。
これで紅玉の方向性が決まった。
紅玉が未来視をしてそれをもとに作戦をたてたが、紅柘榴たちが求めるような回答は視れなかった。
欲張りすぎなのだ。
蝶男を倒して、紅柘榴の大事な人たちと再会して、そして紅玉は影弥もとに帰ってくる。
やり遂げたいなら切り捨てる覚悟を持たないといけない。
雪が溶けて春菊の芽が見えてきた。
影弥はとれたての春菊を天ぷらにして紅柘榴にご馳走した。
意志宣明してから紅柘榴の感情は少しずつ現れるようになった。揚げたての天ぷらに塩をかけて、中庭の松を眺めながら彼女は微笑んだ。
「おいしい。あの子たちにも食べさせたかった」
けど、二言目に出るのは彼女の想い人たちだ。
「また季節が巡るんだね。私、季節の中でも春が好きなの」
「はくもね、春が好きだって言ってたの。私のことを春の匂いがするってよく言ってた。そんな顔しないで」
苦笑いしてしまうほど紅玉はひどい顔をしていたのだろう。
「だって、そんなにあれがいいの。惚気ちゃってさ」
「ほんとに素敵なの人なのよ」
「はいはい」
子供なら許せる。赤ん坊は可愛いものだ。それが我が子なら尚更であるし、紅玉の甥になるのだから誰の顔に似ようともやはり可愛い。
しかし、あの男は駄目だ。紅柘榴がどんなに弁解しようとも紅玉にとっては物を盗むくず野郎だ。
そんな奴に自分の妹が取られるのも面白くない。
「ありがとね」
頬を膨らませていると紅柘榴が春の日差しのようにささやいた。
「隣にいてくれて、ありがと」
恩を返してほしいわけじゃない。紅玉が傍にいたのは紅玉が一緒にいたいからだ。お礼を言われるほどのものじゃない。
けど、それが堪らなく嬉しくて、たった一言、それだけあれば充分で、充分すぎてまた涙が出た。
「べに、約束する。必ずあなたに会いに行く。会わせる。それまで待ってて」
涙が出る顔で紅桜を見つめ、紅柘榴も涙を流しそうになりながら頷いた。
「うん、待ってる」
未来視の結果は成功するのは半々だと伝えた。
なので、失敗したときの保険として紅柘榴を影弥のもとに残して、紅玉が単身で向かわせる。
蝶男は紅玉を狙ってくる。それなら奴を誘い出すのも簡単で、未来視を持っているなら、紅玉が挑むのがいい。と二人を説得して、しまいには未来ならそのほうが良いと力説した。
影弥はそれに反論なかったが、紅柘榴は引き下がらなかった。
鋏としての能力も覚醒し、鬼になれば怖いものはないだろう。そう思ってるのは紅柘榴だけだ。
辛かったが、蝶化した白蓮と退治できるのかと話を出せば、紅柘榴桜は青褪めてしまった。
そうして紅玉が一人で向かうこととなった。
単身ではさすがに心細いからと鋏の能力を一部だけ紅玉に託すようにと影弥が提案した。
「できるの?」
「べにができると確信できれば」
食事とお風呂を終え、紅柘榴が床につく前に灯りを囲んで話し合うのが近頃の日課となった。
「感情、記憶、思考の三つを切り分けてそのうちの一つを紅玉の魂につなげて託す。そしたら紅玉も鋏の能力を使えるはずだ。一部だけどね」
「そしたら紅玉はどうなるの?」
「眠りにつく。魂の眠りだ。こうが戻ってくるまで目覚めない」
紅柘榴を見れば何事もないように頷く。
「それで構わない。五十年でも百年でも待ってる。待つことしかできないけど」
それでいいのか。
「黒蝶を切り離すには鋏が必須になる」
まだ迷っている紅玉に影弥は付け足して説明する。
紅柘榴には長寿を全うさせてやりたかったけど、そうした紅玉の望みも切り捨てなければならないものなのだろう。
紅柘榴も紅玉と同じ覚悟を持っている。なら、彼女はもう守るの存在ではない。
鋏の一部を魂に繋げるなら紅玉が輪廻に流された後の来世でも鋏を持ったままなのだという。
これで紅玉の方向性が決まった。
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