アルバトロスはどう応えたか

港の町で

目の前に火花が散って、空と地が逆になって、気づいた時には地面に倒れていた。
痛み。
頭がぐらぐらとして、眩暈、右頬もヒリヒリと痛んだ。
影だけになった誰かがゲラゲラと哂っていた。
人々の騒めく音も、もう遠く。

「んん？ガキか。なに転がってんだ」

加減もなく髪を掴まれて顔が地面から浮き上がる。何とか眼のピントを合わせれば覗き込んでくる若い男。薄っぺらな好奇心を貼り付けた男の眸が憎たらしく、視線に力があれば殺してやれるくらいに睨みつけた。
過剰なほどの眼光にぱちくりと一つ瞬きした男は、
「へえ？」
にんまりと不穏に嗤った。