アルバトロスはどう応えたか

湯月@重陽

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転機

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ゼオは自分の親のことなど殆ど何も知らないが、その数少ない知っている事の中に、彼の父親が流れの傭兵をしていたというのがある。
それを語っていたのが誰だったのか、おそらく母親の娼婦仲間か貧窮院の誰かしらであったと思うが定かではない。
酒場の戸口裏で残飯を漁りながら、彼は酒場に屯する傭兵たちをよく観察した。
路上生活の厳しさに圧し潰されそうな時も、「何時か父のように傭兵になって、ここから出ていく」という目標は心の支えだった。


「なんだ。お前、傭兵になりたいのか」
「ここで普通に過ごしていたんじゃ傭兵にはなれないぜ」
口を滑らせたゼオに、ゼオを海上へと攫ってきた張本人は軽い調子でそう言い放った。
その言葉を聞いた瞬間、ゼオを焼いたのは焦燥。
「それでも!  なりたい」
ゼオの叫び次いで押し殺した声に、

瞬間、2人を包む空気の質がガラリと変わる。
男の口元が裂けるように吊り上がり、

「対価が必要だ。どうする?」

心臓の位置目掛け、人差し指を突き付けられた。
こちらを指すのは指であるのに、刃物でも突き付けられたようだった。
添えられた指先は言葉と共に、ゆっくりと下に滑って鳩尾を強く押す。
胸元の襯衣を強く握りしめる。ゼオは震えながら、ほとんど涙目で、しかし確かに頷いた。
霧に囲まれた薄明かりの逆光に、男の口元が三日月の形に浮かび上がって見えた。





船長室から続く奥扉を抜けて辿り着いた、寝台の横に据え付けられた大桶。見る間に湯が湧くそれに、洗濯用の魔法陣に込められた術を思い出した。腹の中を洗われ寝台の上に招かれる。

船長はゼオの身体中を弄って、口づけ、舌を甘く吸った。
ゼオの体のこわばりが緩む頃、船長はゼオを俯せにして、ゼオの内を触ってきた。
船長のモノがゼオの内に入ってくる。
ぬるぬると動かれると、口から嬌声がついて出た。
暫く揺さぶられた後、船長はゼオの内から出て行った。
弾む息を整えていると、今日はここで寝ろと船長の声が聞こえた。
ゼオは初めての経験でくたくたで、瞼を閉じればすぐに睡魔がやってきた。
だから頭に降りてきた熱が彼の頭を撫でたのはきっと気のせいで、素早く寄ってきた眠気の見せた夢だったのだと思う。



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