アルバトロスはどう応えたか

湯月@重陽

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袋小路

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神官が面会を求めていると聞いた時から嫌な予感はしていたのだ。

「は?今何と?」
「今代の祭りのお役目人として貴方様が選ばれましたと申し上げました」
「誠に榮譽なことです。お受け頂けますかな?」
一人でも持て余すものをよりにもよって複数人で襲来した老人たちは、おくびの一つも出さずに爆弾を投げ込んだ。
「ちょっとお待ち頂いても?お役目人は王家の方から選ばれると聞き及んでおりますが?」
「基本的には王家の方が選ばれることが多いのですが、稀に王家以外の方が選ばれることもございます。もちろん強制ではございません。我が国の礎となられる方は、自ら我が国を愛してくださる方でなくては」
老人たちにばかり10割良いその提案。
この老人たちはそれ程の価値がこの国にあると思っているのだろうか?
・・・思っているのだろうなと、気づかれぬように溜息をつく。
「この身を賭して国に忠誠を誓いましょう。・・・ただし軍人としてですが」
「我が国に身を奉げては下さらないと?」
「・・・残念ですがこの後訓練が入っておりまして、そろそろお引き取り願えますか」
老人たちは互いに目配せ仕合い、目線の応酬で何某かをまとめたようだった。
いたって優雅に腰を上げ、豪奢の代わりに曇り一つとない傲岸を纏って、老神官たちは辞去の礼をとった。
「よくお考えになられることをお勧めいたします。何といってもお役目を果たされれば、貴方様は我が国の国民として認められるのですから」

「お引き取りを」


訪れから3度、神官たちは手紙を寄こした。

届いたばかりの手紙を日に透かす。
「その後如何でしょうか?」と流麗な手跡で書かれた手紙。
届く手紙が一通増えるごとに、少しずつ息苦しくなっていった。
今までは難なく通っていたはずの申請が通らない。
あからさまではない支給品の品質悪化。
今回の手紙で初めてお目見えした文節を見る。
「お困りごとがあると伺いました。お力になれないでしょうか?」
教本に載せたいほどに見事な脅しだった。

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