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一章 菖蒲(ショウブ)
もう一つの地獄
しおりを挟む昼は極楽、夜は地獄。
腕を手首から肘まで縛められて、今宵、爾比は局所だけを嬲られていた。
丸まった爾比の背中を片手で撫でながら、御前のもう一方の手はぬこぬこと爾比の尻を弄り、時に戯れに尻たぶを打った。
小さい張り型を入れられたまま平手で尻を打たれると、尻の痛みと共に張り型が腸を小突く。酷い事をされているはずなのに、小さい張り型が突く処は何処も気持ち良く、何処に動くか分からない刺激に爾比はヒンヒンと喘いだ。
喰い締める事に慣れ出した後穴は、喰い縛れば喰い縛るほど張り型に繋がれた縄を其の凹凸が判るほどに絞る羽目になって、如何にも為らぬほどに爾比を苦しめた。
「お、お赦し、お赦し下さいませ。お赦し__おを〞ッ」
どろりと吐き出される精と、ぐるりと瞼に隠された目玉。口から突き出した舌を摘まんで揉み込むと爾比の体の痙攣は全身に拡がった。
張り型を抜き去って雄根を挿し入れれば、いつもより緩んだ肉壁が柔らかく迎え入れた。抜こうとすればしゃぶり付く様な感触。漸く男に媚びる事を覚えた内壁に、御前は綻ぶ様に微笑んだ。
※
御前屋敷には成人を過ぎた男達も幾らか集められると爾比が知ったのは、御前屋敷で季節を幾つか越え、爾比の背 もほんの少しだけ伸びた頃だった。
其の頃の爾比は書室へ日参していた。
爾比の無聊を慰める書物の山々_武によって治められる土地柄故か軍記物や武道の指南書が多かった_を片端から開いていった。
何やら人の声がした様な気がして、爾比は俯かせていた顔を上げた。
聳てた耳に届く物音は如何やら外壁の向こうから。御前屋敷で家人同士が無駄話に屯する所など見た事が無い。
嫌な予感を無理矢理振り払って、爾比は書の内容に没頭した。
※
其の晩、御前の寝所と其の続き部屋の間の襖は開け放たれていた。
開け放たれる襖の符牒に忌み事の記憶ばかりが想い起される爾比は思わず尻ごみ、部屋へ入るを躊躇した。やんわりと、しかし確たる力で家人に押し込まれて敷居を跨ぐ。
「おいで」
何時もの様に手招かれて褥に侍った。
御前の臥所。嘗ては聴こえた馨しい香りも何時しか爾比の身に沁み込み過ぎて、今では聴き分ける事さえ出来なくなった。
御前は此れ迄、様々に爾比を愉しんだ。
時に、絡められた赤縄に金鈴を幾つも通されて、爾比の動きに合わせて音を鳴らす様な趣向で耳から嬲られる事もあれば。
時に強く根を縛められて勃起を許されずに、雌の悦のみを与えられて狂った様に善がらされる夜もある。
また時には、御前は爾比の根を嬲る。尻穴に突き込まれた指で泣き処を叩かれながら、根も玉も御前の口内で可愛がられ、爾比が放埓を許されるのは御前の口の中だけで、精が枯れるまでしゃぶり付かれた。酷い罪悪感と急所を押さえられた危機感、濃厚すぎる淫で爾比は何時も訳が分からなくなる。そして時折御前は爾比の根を噛む。根を噛まれた爾比の体が面白い様に跳ねるのを押さえ込んで、痛みに縮んだ爾比の根を今度は癒すようにしゃぶり尽くした。
何時もの様に衣装を剥かれて、早々に腹に含まされた指先で前立腺を捕えて離して呉れない相手を窺った。腹に呑んだ指と会陰に置かれた指とで、優しく悦を掘り起こされる。くるりくるりと泣き処を挟み込んで転がす指先は、炙る強さで爾比に悦の火を焚べ続けた。
不穏は唐突に現れる。
轟く絶叫に爾比は身を強張らせた。
覆い被さる御前の肩口の向こう。開け放たれた襖の奥に、何時かの様な異形が有った。噎せ返る様な鉄の匂いが、爾比の所にまで押し寄せて来る。暴れる何かを片手で押さえ付け、牛の頭に人の身体の異形は手に持った何かを投げ捨てた。敷居を越えた何かは、爾比の眼に其の全貌を現した。
肩口から引き抜かれた人の腕だった。
絶叫は止まず、牛の異形は何かに四角い影を叩き込んだ。破裂音と水っぽい何かが潰れる音。四角い影は、鉈か其の類の物に見えた。
彼方が淫虐の地獄であるなら、此方は加虐の地獄。
異形に犯され腹を破られて死ぬのが少年たちであるなら、手足を潰され引き抜かれて頭を潰され死ぬのが男達であるようだった。
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