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1章 『IF』
第7話 それは『隣の世界』
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今から話すのは、この世界ではない『別の世界』の話だ。
この世界でいうところの15年前。
その『別の世界』では、ある魔術師が………ああ、魔術師っていうのは額面通り受け取ってくれて構わない。ゲームくらい君もするだろ?しない?部活ばかりしてた?そりゃ楽しくない青春だね。楽しみは見つけたほうがいい。何事もやり過ぎは良くないよ?
おっと、話が逸れてしまった。
魔術師だったね。そう炎の魔法とか水の魔法とかあんなのを使う奴らだよ。そういう解釈でいい。
で、その魔術師がね。画期的な魔法を2つ編み出したんだ。
1つ目は、自分たちの世界ではない『隣の世界』に行ける魔法。
2つ目は、その隣の世界を乗っ取るための『結界』だ。
もうわかるよね?
そうだ、君がさっきまでいた『遮絶』の結界。
あれこそが、2つ目の魔法だ。あれが定着してしまうと『こちらの世界』は『あちらの世界』に乗っ取られる。
簡単にいうと、地球全部を遮絶の結界で埋め尽くされると、『あちらの世界』の住人に世界ごと乗っ取られるんだ。
そして、『あちらの世界』の住人を『IF』という。もしもの世界、平行世界からの来訪者だ。
彼らIFの目的はこちらの世界を乗っ取ることなんだよ。
「ちょっと待ってください!」
そこまで聞いただけでも頭がグラグラする。
平行世界?
隣からの来訪者?
なんで………
「なんで…!?」
「そうだよね。何で?ってなるよね」
ジュンさんは顔に微笑を浮かべている。困ったような顔だ。
「その『隣の世界』に行ける魔法の『隣』というのが『たまたま君達の住むこの世界』だったんだ」
唖然とする。そんな宝くじに当たったような確率で選ばれたというのか?
「そうだよ」
と諭すような顔のジュンさんだった。
続けるよ?
後で質問には答えよう。
とりあえず聞きなさい。
まずはそこからだ。
さて、どこまで話したかな。そう、IFの話までだったね。目的はこの世界の乗っ取り。
何で?ってなるじゃん?
別に来る分はいいけど、何で侵略されないといけないの?
そうなるよね。
実は、この編み出された魔法が厄介の種でね。IFの世界では2つの大国による覇権争いの闘争が長らく続いていたんだ。
そして、この魔法が編み出されたという情報は瞬く間に2国間に伝わった。
どうなったか分かるかい?
そう、この魔法を開発した魔術師をお互いに死に物狂いで取り合うことになったんだ。
だってそうだろ?この2国の戦いに勝ったほうは、いわば世界の覇者だ。『次に侵略出来る世界』があるなら全てを奪い取るまで!という考えになったのさ。
それが12年前。
あちらの世界でいう『大戦』が始まった。
本当に多くの……多くの血が流れた。
ひとつの国が滅び、ひとつの国が全てを得た。
生き残った国は予想通り、その圧倒的な強さで、やがて世界を統べる大国となった。
そして、征服する国がなくなった大国は魔法を使って『こちらの世界』の侵略に乗り出したのさ。
「………………」
呆然としてしまう。ジュンさんの話は壮大で俺なんかが関わっていいものではない気がする。
「大丈夫かい?」
ジュンさんが気遣うような言葉をかけてくれる。
「ジュンさん、あまり詰め込んでも………」
「いえ、大丈夫です。続けてください!」
水無月さんも心配してくれたが、自分で関わると決めたんだ。最後まで聞こう。
「話しを聞いていて思ったんですが、ジュンさん達ってもしかして………」
「…気づいたね。実際にミユは違うんだけどね」
じゃあ続けるよ。
うん、今、傑が思った通り。
僕と葵は『あちらの世界』IFの出身だ。
さっき、大戦の話で出た「負けた国」のほうの出身が僕達なのさ。
復讐なのかって?
違う違う。
大戦は確かに壮絶な戦いだったけど、あれはあれで1つの決着がついたんだ。
うちの王様がやられてね。
王様といっても女王様なんだけど、まあ、僕達が出払ってる隙にサクッとね。
すごく真面目で何より自分の国の民を愛した女王だった。
魔法を開発した魔術師を手に入れようとしたのも、相手の国のように侵略に使うためではない、道具のように使われようとしているその魔術師を助けようとしてのことだったのさ。
まあ、そこら辺は割愛。
聞きたい?いやいや、こんな戦争の話、君には重いって。
ドロドロの人間関係も、さっきまで仲良く話してたやつが次の瞬間、消し炭になってる話なんて聞きたくないだろ?
でだ、勝った大国のほう、『大戦』で活躍した奴らに与えられた報酬が『ナンバーズ』という称号だ。
1~10の称号が与えられる彼らは当然強い。
一騎当千の強者達でIFの中で最強の戦力と言っていい。
ミユが遭遇したカトラナ=バージェスはスリーを名乗っていたんだよね?僕達が知ってるスリーとは変わってる。戦死したか、入れ替え戦でバージェスが倒したのかだね。おそらく後者だ。
だから、君は運がいい。
ミユに出会えたのもそうだが、ほんの一瞬とはいえバージェスとやり合って生きてるんだから。
以上が君の問いに対する答えだ。質問はあるかい?
この世界でいうところの15年前。
その『別の世界』では、ある魔術師が………ああ、魔術師っていうのは額面通り受け取ってくれて構わない。ゲームくらい君もするだろ?しない?部活ばかりしてた?そりゃ楽しくない青春だね。楽しみは見つけたほうがいい。何事もやり過ぎは良くないよ?
おっと、話が逸れてしまった。
魔術師だったね。そう炎の魔法とか水の魔法とかあんなのを使う奴らだよ。そういう解釈でいい。
で、その魔術師がね。画期的な魔法を2つ編み出したんだ。
1つ目は、自分たちの世界ではない『隣の世界』に行ける魔法。
2つ目は、その隣の世界を乗っ取るための『結界』だ。
もうわかるよね?
そうだ、君がさっきまでいた『遮絶』の結界。
あれこそが、2つ目の魔法だ。あれが定着してしまうと『こちらの世界』は『あちらの世界』に乗っ取られる。
簡単にいうと、地球全部を遮絶の結界で埋め尽くされると、『あちらの世界』の住人に世界ごと乗っ取られるんだ。
そして、『あちらの世界』の住人を『IF』という。もしもの世界、平行世界からの来訪者だ。
彼らIFの目的はこちらの世界を乗っ取ることなんだよ。
「ちょっと待ってください!」
そこまで聞いただけでも頭がグラグラする。
平行世界?
隣からの来訪者?
なんで………
「なんで…!?」
「そうだよね。何で?ってなるよね」
ジュンさんは顔に微笑を浮かべている。困ったような顔だ。
「その『隣の世界』に行ける魔法の『隣』というのが『たまたま君達の住むこの世界』だったんだ」
唖然とする。そんな宝くじに当たったような確率で選ばれたというのか?
「そうだよ」
と諭すような顔のジュンさんだった。
続けるよ?
後で質問には答えよう。
とりあえず聞きなさい。
まずはそこからだ。
さて、どこまで話したかな。そう、IFの話までだったね。目的はこの世界の乗っ取り。
何で?ってなるじゃん?
別に来る分はいいけど、何で侵略されないといけないの?
そうなるよね。
実は、この編み出された魔法が厄介の種でね。IFの世界では2つの大国による覇権争いの闘争が長らく続いていたんだ。
そして、この魔法が編み出されたという情報は瞬く間に2国間に伝わった。
どうなったか分かるかい?
そう、この魔法を開発した魔術師をお互いに死に物狂いで取り合うことになったんだ。
だってそうだろ?この2国の戦いに勝ったほうは、いわば世界の覇者だ。『次に侵略出来る世界』があるなら全てを奪い取るまで!という考えになったのさ。
それが12年前。
あちらの世界でいう『大戦』が始まった。
本当に多くの……多くの血が流れた。
ひとつの国が滅び、ひとつの国が全てを得た。
生き残った国は予想通り、その圧倒的な強さで、やがて世界を統べる大国となった。
そして、征服する国がなくなった大国は魔法を使って『こちらの世界』の侵略に乗り出したのさ。
「………………」
呆然としてしまう。ジュンさんの話は壮大で俺なんかが関わっていいものではない気がする。
「大丈夫かい?」
ジュンさんが気遣うような言葉をかけてくれる。
「ジュンさん、あまり詰め込んでも………」
「いえ、大丈夫です。続けてください!」
水無月さんも心配してくれたが、自分で関わると決めたんだ。最後まで聞こう。
「話しを聞いていて思ったんですが、ジュンさん達ってもしかして………」
「…気づいたね。実際にミユは違うんだけどね」
じゃあ続けるよ。
うん、今、傑が思った通り。
僕と葵は『あちらの世界』IFの出身だ。
さっき、大戦の話で出た「負けた国」のほうの出身が僕達なのさ。
復讐なのかって?
違う違う。
大戦は確かに壮絶な戦いだったけど、あれはあれで1つの決着がついたんだ。
うちの王様がやられてね。
王様といっても女王様なんだけど、まあ、僕達が出払ってる隙にサクッとね。
すごく真面目で何より自分の国の民を愛した女王だった。
魔法を開発した魔術師を手に入れようとしたのも、相手の国のように侵略に使うためではない、道具のように使われようとしているその魔術師を助けようとしてのことだったのさ。
まあ、そこら辺は割愛。
聞きたい?いやいや、こんな戦争の話、君には重いって。
ドロドロの人間関係も、さっきまで仲良く話してたやつが次の瞬間、消し炭になってる話なんて聞きたくないだろ?
でだ、勝った大国のほう、『大戦』で活躍した奴らに与えられた報酬が『ナンバーズ』という称号だ。
1~10の称号が与えられる彼らは当然強い。
一騎当千の強者達でIFの中で最強の戦力と言っていい。
ミユが遭遇したカトラナ=バージェスはスリーを名乗っていたんだよね?僕達が知ってるスリーとは変わってる。戦死したか、入れ替え戦でバージェスが倒したのかだね。おそらく後者だ。
だから、君は運がいい。
ミユに出会えたのもそうだが、ほんの一瞬とはいえバージェスとやり合って生きてるんだから。
以上が君の問いに対する答えだ。質問はあるかい?
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