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第1章 悪魔との出会い
7話 美味しいものは世界を変える1
両替を済ませ、おすすめのガイドブックを買うため書店に寄ってから、初めに言っていたイタリアンレストランへとやって来た。昼食時を過ぎていたため、店内はそれほど混雑しておらず、これならゆっくりできそうだ。
早速注文をして飲み物はどうするか尋ねると、食事に会う酒が飲みたいと言うので、グラスワインを頼んだ。私はまだ仕事中のため飲めないが、気分だけでも合わせようと思い炭酸水を頼んだ。
食事が出てくるまでの間、先ほど買ったガイドブックを見ながら、ここから近い有名観光名所や各地の名物料理、体験施設や困ったときの観光案内所の場所などを一通り教える。
念のためホテルは取っているのか聞いてみると、案の定考えてなかったとの事だったので、アクセスのいい街の飛び入りでも泊まれる有名ホテルを紹介しておいた。
ホテルの設備の使い方やアメニティについては、部屋へ向かう前にフロントで説明を聞く事も忘れずに伝えておく。言っておかなければ彼は絶対自分から聞かないだろうし、使用しないまま退室するだろうことは、簡単に予想がつく。
そこまで説明したところで、待望の食事が運ばれてきた。
私自身も昼食を食べ損ねていたため、しっかりボリュームのあるランチセットを頼んだ。
メニューを見ても分からないと言われたので彼にも同じものを頼み、恐らく足りないだろうと思い、単品でもう2品ほど追加してある。
セットのメインメニューである海老とほうれん草のクリームパスタ、付属のコンソメスープと季節野菜のサラダ、お代わり自由のロールパンが2種類、単品で注文した本日のおまかせピザと牛ほほ肉の赤ワイン煮込み。
全く同じでは面白みがないだろうと思い、好き嫌いは特に無いようなので勝手に彼のメインメニューは茄子と舞茸のボロネーゼパスタに変更した。
赤のグラスワインが彼の前に置かれ、目の前にはテーブル一杯の美味しそうな料理が並び、空腹感は最高潮だ。
「わぁ美味しそう!早速食べましょう!」
「ああ。いただきます」
お腹が空いていたこともあり、黙々と食べる。
あぁ、やっぱり美味しい~。
大きめの海老はプリプリでまったりとしたクリームソースが太めの麺とよく絡む。
スープもどの料理にも合うように優しい味わいでホッとするし、自家栽培だという季節の野菜を使った彩り豊かなサラダも、素材の味を引き立たせるように作られたドレッシングとよく合っていて、いくらでも食べられる。
久しぶりの店の味を堪能しつつ食べ進めていると、視線を感じて目線を上げる。
すると、彼がジッと私の食べる姿を見ていた。
いかん、いかん。あまりの空腹と美味しさに、つい食べることに夢中になってしまった。
「どうかしましたか?お口に合いませんでしたか?」
「…いや、何でもない。どの料理もとても美味しいよ。そっちのパスタも美味しそうだな」
口元をほんの僅か上げて微笑みながら、彼は手を再び動かし始めた。
テーブルを見ると、単品で注文した料理も少しずつ減っていたので、一通り食べてみたらしい。今もピザを一切れ取ろうとしているので、彼の口に合ったようで安心した。
「それは良かったです。よろしければ私のパスタも少し召し上がりますか?」
「え!い、いや、それは――」
「折角ですから、少し味見してください」
遠慮しなくていいのに。本当にこの店は美味しいから、お腹の余裕があれば全メニュー食べてみてほしいくらいなのに。
店員さんに持ってきてもらった小皿に、クリームパスタ数口分を取り分けて渡す。
何かモゴモゴ言っているようだが、よく聞こえない。しばらくして観念したのか、受け取ってくれた。
「本当にここの料理はどれも美味しいんですよ。私も最初、同僚に連れてきてもらった時は感動しました」
「ああ。特にこの煮込みは本当に肉が柔らかくて味が染みていて美味しい。このワインともよく合うよ」
満足そうにワインを飲み肉の煮込みを食べる姿は、とても洗練されていて、食事マナーや丁寧な言葉使いが自然と身についている様は、彼が大きな家の息子であることを再確認させられる。
「君が分けてくれたこのクリームパスタも美味しいな」
幸せそうに目元を緩めてそう呟いた彼は、頬が少し赤い気がする。
あまりお酒は強くないのかな?
悪魔の方は酒豪が多いと聞いていたけど。
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