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第2章 天使との出会い
34話 一緒に
さてどうしたものか、と考えていると、リトが握っている手を緩めた。
「シエナは、仕事でなくても、異界へ行きたいか?」
「……行きたいよ。ずっと、行ってみたいと思ってた」
そう、ずっと行きたかった。前回の交流年の時も、今回も。
仕事で天使悪魔に接する度に、魔法の事を聞く度に、異界の事を聞く度に、その思いは募っていった。
でも、今回も行けないと思っていた。
割り当てられる仕事量も増える一方で、休みなんてとれる雰囲気もない。
リトとの仕事が決まってからも、毎週の報告書提出が新たに業務に加わり、取材を終えてリトと別れた後も、家でずっと机に向かっていた。
そんな時に、異界へ行くことが公に許された。仕事として、堂々と行くことが出来る。
編集長から聞かされたその言葉が、どれだけ嬉しかったか。
「母の事もあったから、諦めてたんだけど、本当はずっと夢だったの。異界へ行くことが。異界のものに触れることが。魔法をこの目で見ることが」
やっと巡ってきたチャンスなのだ。絶対に逃さない。
お母さんには悪いけどこれは仕事だから大目に見てね、と心の中で念じ手を合わせる。
触れているだけのリトの手をぎゅっと握り、目を合わせる。
「ねえ、リト。そんなに私がエルマーさんと一緒に居るのが嫌なら、リトも一緒に取材に付いてくる?」
「…………邪魔じゃないか?」
「そんな事無いよ。悪魔目線の天界なんて、人間には想像もつかないし、面白い記事になると思うけど。それに、ただ異界を取材してどんなところなのか紹介するだけじゃ面白くないから、ウチの雑誌なら変わった特集とかやりそうだし。そうなったら、リトの協力が必要だよ」
『月刊アース』は、普段は人間向けの普通の情報雑誌だが、交流年のこの一年に関しては、異界人向けの地上界の情報を多く扱っている。それでもクレームはほぼ無く、寧ろ異界人が興味を持つことや行った場所などを、逆輸入のような感じで交流年終了後に楽しむ傾向にある。
そのため、人間向けの記事は縮小されているのだが、全く載せないわけではない。
異界観光ツアーの新たに発売されたプランや、異界へ行く際に必ず持って行くべきものリスト、異界で気を付けるポイント、詳しい手続きの方法、異界で買えるおすすめガイドブックなど、必要な情報は毎回載っている。
しかし、これらは政府からの情報がほとんどだ。
旅行のツアーも、ガイドブックの情報も、異界がらみのビジネスは基本的に政府主導のため、情報がどの業界も同じなのだ。
なので、他雑誌との差別化は難しく、また、それぞれの会社で取材をしようとしても政府への申請に時間が掛かり面倒だし、個人で取材をしようとすると全て自己責任・自己負担になるためリスクの方が大きいので、あまり実行に移す人はいない。
そんな中で、会社として正式に異界へ取材申し込みができる伝手が手に入ったウチの出版社は、ここぞとばかりに動き出すだろう。
どんな企画なのかは、明日の会議次第だが、リトが一緒に行動することに否を唱える役員はほぼ間違いなくいないはずだ。
そもそも、リトが居てくれたから、こんな大きなチャンスが巡ってきたのだ。
私個人としてもリトには感謝してるし、仕事以外のことでも、一緒に居ると楽しいし、毎日が新たな発見ばかりで、とても新鮮なのだ。
それに、外交官補佐という役職のエルマーさんと話すのは、やはり少し緊張するので、側にリトが居てくれると安心できる。
そのことをリトに伝えると、表情を和らげて「分かった」と納得してくれた。
どうやら機嫌は直ったようだ。
よかった、よかった。
「シエナは、仕事でなくても、異界へ行きたいか?」
「……行きたいよ。ずっと、行ってみたいと思ってた」
そう、ずっと行きたかった。前回の交流年の時も、今回も。
仕事で天使悪魔に接する度に、魔法の事を聞く度に、異界の事を聞く度に、その思いは募っていった。
でも、今回も行けないと思っていた。
割り当てられる仕事量も増える一方で、休みなんてとれる雰囲気もない。
リトとの仕事が決まってからも、毎週の報告書提出が新たに業務に加わり、取材を終えてリトと別れた後も、家でずっと机に向かっていた。
そんな時に、異界へ行くことが公に許された。仕事として、堂々と行くことが出来る。
編集長から聞かされたその言葉が、どれだけ嬉しかったか。
「母の事もあったから、諦めてたんだけど、本当はずっと夢だったの。異界へ行くことが。異界のものに触れることが。魔法をこの目で見ることが」
やっと巡ってきたチャンスなのだ。絶対に逃さない。
お母さんには悪いけどこれは仕事だから大目に見てね、と心の中で念じ手を合わせる。
触れているだけのリトの手をぎゅっと握り、目を合わせる。
「ねえ、リト。そんなに私がエルマーさんと一緒に居るのが嫌なら、リトも一緒に取材に付いてくる?」
「…………邪魔じゃないか?」
「そんな事無いよ。悪魔目線の天界なんて、人間には想像もつかないし、面白い記事になると思うけど。それに、ただ異界を取材してどんなところなのか紹介するだけじゃ面白くないから、ウチの雑誌なら変わった特集とかやりそうだし。そうなったら、リトの協力が必要だよ」
『月刊アース』は、普段は人間向けの普通の情報雑誌だが、交流年のこの一年に関しては、異界人向けの地上界の情報を多く扱っている。それでもクレームはほぼ無く、寧ろ異界人が興味を持つことや行った場所などを、逆輸入のような感じで交流年終了後に楽しむ傾向にある。
そのため、人間向けの記事は縮小されているのだが、全く載せないわけではない。
異界観光ツアーの新たに発売されたプランや、異界へ行く際に必ず持って行くべきものリスト、異界で気を付けるポイント、詳しい手続きの方法、異界で買えるおすすめガイドブックなど、必要な情報は毎回載っている。
しかし、これらは政府からの情報がほとんどだ。
旅行のツアーも、ガイドブックの情報も、異界がらみのビジネスは基本的に政府主導のため、情報がどの業界も同じなのだ。
なので、他雑誌との差別化は難しく、また、それぞれの会社で取材をしようとしても政府への申請に時間が掛かり面倒だし、個人で取材をしようとすると全て自己責任・自己負担になるためリスクの方が大きいので、あまり実行に移す人はいない。
そんな中で、会社として正式に異界へ取材申し込みができる伝手が手に入ったウチの出版社は、ここぞとばかりに動き出すだろう。
どんな企画なのかは、明日の会議次第だが、リトが一緒に行動することに否を唱える役員はほぼ間違いなくいないはずだ。
そもそも、リトが居てくれたから、こんな大きなチャンスが巡ってきたのだ。
私個人としてもリトには感謝してるし、仕事以外のことでも、一緒に居ると楽しいし、毎日が新たな発見ばかりで、とても新鮮なのだ。
それに、外交官補佐という役職のエルマーさんと話すのは、やはり少し緊張するので、側にリトが居てくれると安心できる。
そのことをリトに伝えると、表情を和らげて「分かった」と納得してくれた。
どうやら機嫌は直ったようだ。
よかった、よかった。
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