38 / 92
第3章 いざ、天界へ!
38話 忙しない日々
その後、編集長が手配したという記者のトンゴさんと引き合わされ、軽く自己紹介した後、ガイドブックに関して打ち合わせをした。
トンゴさんは、中肉中背で背は私と同じくらいの高さで、やや白髪交じりの短く切り揃えられた黒髪に焦げ茶の瞳をした、穏やかな顔付きのおじさん記者で、普段は園芸雑誌の編集者をしているらしい。
編集長と旧知の仲らしく、「こんな見た目だが、腕は一流だ!なんせ俺が認めた男だからな!」とトンゴさんの背中を強くバシバシ叩いて笑っていた。
リトやエルマーさんと先に顔合わせをした方がいいかと聞くと、園芸雑誌の方の締め切りが一つあるから、それが終わってからの方が有難いと言われたので、トンゴさんが二人と会うのは天界へ出発する当日ということになった。
政府の許可は、魔界の時と同様に申請してから三日後には許可が下り、トンゴさんの締め切り明けを待ってからすぐに出発することになった。
それまでの間に、私も自分の担当記事を二つ仕上げて、編集長に追加でもう一つ記事を上げろと言われている所をユリカナさんに間に入って助けてもらって、エルマーさんとも打ち合わせを兼ねた食事をし、天界へ出発するまでの間を忙しなく過ごした。
因みに、エルマーさんとの食事はリトと三人だったのだが、食事の間も、なんなら店に一緒に向かっている時から、ずっとリトは不機嫌だった。
理由を聞いても「何でもない」としか言わないし、エルマーさんと合流してからはさらに不機嫌度が上がっているのは明確なのに、入店し席に着いてもすぐ隣に椅子を持ってきて座るし、テーブルの下で手を握って来るし、打ち合わせの会話には普通に参加しているのに行動と合っていなくて、混乱してしまっており、表情に出さないようにするのが大変だった。
打ち合わせも終わり、店を出てからエルマーさんがもう一軒どうかと誘ってくれた時も、「結構だ」の一言だけ言って私を引っ張って帰ってしまった。
「もう、リト!何なの?ずっと不機嫌じゃない。何かあったの?」
「………何もない」
「何もなくないよ。エルマーさんだって、変に思ったかもしれないじゃない。これから一緒に仕事する相手なのに」
そこまで言ってから、もしかしたらこの間拗ねていたのと同じ理由なのではないかと思い当たった。
「この間はエルマーさんと仕事する事、納得してくれたでしょう?」
「仕事に関しては納得している。それでも、あの天使とシエナが一緒に居るのは嫌なんだ。……心がざわざわして落ち着かない……頭と心が別物になったみたいだ…」
最後の方は良く聞こえなかったけど、不機嫌な理由はやはりこの前と一緒らしい。
さて、どうやってこの拗ね悪魔のご機嫌を取ろうか。
近くにスイーツの店あったっけ?
その後、カフェでスイーツを食べても、しばらくの間は不機嫌なままだった。
結局リトが私の家まで送ると言って聞かなかったので、話をしながらゆっくり送ってもらって、家に辿り着くころになってようやく笑ってくれたのだった。
こんな感じで天界へ一緒に取材に行って、大丈夫なのだろうか…?
そして今日、やっと長年の夢を一つ叶えることができる。いよいよ出発の日を迎えたのだ。
朝からテンションの高い私を見送りに、お兄さんが朝早くから来てくれている。
「私は天界へは行けないから、暫くの間お別れだね。お嬢さんもリトも、楽しんでおいで」
天界には悪魔の覗き見を防止するため黒い生物が存在しておらず、地上界からも行くことが出来ないため、魔界で仕事があるお兄さんは一緒には行けないのだと説明を受けた。
「じゃあ、天使は白い生き物を使役して覗き見できるの?」
「できるよ。んー、あ、そこの白い犬が今使役されてるね。あっちの白い鳩もだね」
「悪魔はカラスをよく使役するが、天使は鳩を使役することが多いな」
地上界に生息している鳩はそのほとんどが白い。カラスも同様に黒い個体が多い。
だから、覗き見しやすいんだそうだ。
そして、魔界も天使に覗き見されないように、白い生き物は存在していないらしい。
出発直前にまた新たな発見である。
お兄さんと別れて移動し、エルマーさんとトンゴさんと合流する。
さあ、異界へ出発だ!!
トンゴさんは、中肉中背で背は私と同じくらいの高さで、やや白髪交じりの短く切り揃えられた黒髪に焦げ茶の瞳をした、穏やかな顔付きのおじさん記者で、普段は園芸雑誌の編集者をしているらしい。
編集長と旧知の仲らしく、「こんな見た目だが、腕は一流だ!なんせ俺が認めた男だからな!」とトンゴさんの背中を強くバシバシ叩いて笑っていた。
リトやエルマーさんと先に顔合わせをした方がいいかと聞くと、園芸雑誌の方の締め切りが一つあるから、それが終わってからの方が有難いと言われたので、トンゴさんが二人と会うのは天界へ出発する当日ということになった。
政府の許可は、魔界の時と同様に申請してから三日後には許可が下り、トンゴさんの締め切り明けを待ってからすぐに出発することになった。
それまでの間に、私も自分の担当記事を二つ仕上げて、編集長に追加でもう一つ記事を上げろと言われている所をユリカナさんに間に入って助けてもらって、エルマーさんとも打ち合わせを兼ねた食事をし、天界へ出発するまでの間を忙しなく過ごした。
因みに、エルマーさんとの食事はリトと三人だったのだが、食事の間も、なんなら店に一緒に向かっている時から、ずっとリトは不機嫌だった。
理由を聞いても「何でもない」としか言わないし、エルマーさんと合流してからはさらに不機嫌度が上がっているのは明確なのに、入店し席に着いてもすぐ隣に椅子を持ってきて座るし、テーブルの下で手を握って来るし、打ち合わせの会話には普通に参加しているのに行動と合っていなくて、混乱してしまっており、表情に出さないようにするのが大変だった。
打ち合わせも終わり、店を出てからエルマーさんがもう一軒どうかと誘ってくれた時も、「結構だ」の一言だけ言って私を引っ張って帰ってしまった。
「もう、リト!何なの?ずっと不機嫌じゃない。何かあったの?」
「………何もない」
「何もなくないよ。エルマーさんだって、変に思ったかもしれないじゃない。これから一緒に仕事する相手なのに」
そこまで言ってから、もしかしたらこの間拗ねていたのと同じ理由なのではないかと思い当たった。
「この間はエルマーさんと仕事する事、納得してくれたでしょう?」
「仕事に関しては納得している。それでも、あの天使とシエナが一緒に居るのは嫌なんだ。……心がざわざわして落ち着かない……頭と心が別物になったみたいだ…」
最後の方は良く聞こえなかったけど、不機嫌な理由はやはりこの前と一緒らしい。
さて、どうやってこの拗ね悪魔のご機嫌を取ろうか。
近くにスイーツの店あったっけ?
その後、カフェでスイーツを食べても、しばらくの間は不機嫌なままだった。
結局リトが私の家まで送ると言って聞かなかったので、話をしながらゆっくり送ってもらって、家に辿り着くころになってようやく笑ってくれたのだった。
こんな感じで天界へ一緒に取材に行って、大丈夫なのだろうか…?
そして今日、やっと長年の夢を一つ叶えることができる。いよいよ出発の日を迎えたのだ。
朝からテンションの高い私を見送りに、お兄さんが朝早くから来てくれている。
「私は天界へは行けないから、暫くの間お別れだね。お嬢さんもリトも、楽しんでおいで」
天界には悪魔の覗き見を防止するため黒い生物が存在しておらず、地上界からも行くことが出来ないため、魔界で仕事があるお兄さんは一緒には行けないのだと説明を受けた。
「じゃあ、天使は白い生き物を使役して覗き見できるの?」
「できるよ。んー、あ、そこの白い犬が今使役されてるね。あっちの白い鳩もだね」
「悪魔はカラスをよく使役するが、天使は鳩を使役することが多いな」
地上界に生息している鳩はそのほとんどが白い。カラスも同様に黒い個体が多い。
だから、覗き見しやすいんだそうだ。
そして、魔界も天使に覗き見されないように、白い生き物は存在していないらしい。
出発直前にまた新たな発見である。
お兄さんと別れて移動し、エルマーさんとトンゴさんと合流する。
さあ、異界へ出発だ!!
あなたにおすすめの小説
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた
狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている
いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった
そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた
しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた
当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?