10年に一度の異界交流で、天使と悪魔に迫られています

七居

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第3章 いざ、天界へ!

40話 入界審査

 保護指輪の説明を全て聞き終え、天界転移門への行き方の説明を受けて、受付を離れる。
 天界転移門へは、受付のすぐ左側にある廊下を、突き当たるまでまっすぐ歩けばいいらしい。反対の右側は、魔界転移門があるそうだ。
 お礼を言って、言われた通り受付の左側を通り廊下へと進む。
 遠くにドアのようなものが見えているが、あそこまで歩くらしい。

 廊下は白を基調とした上品で優雅な感じで、天井と壁は真っ白、床はアイボリーの毛足の長い絨毯が敷き詰められている。
 意外と長い廊下の壁には、羽や鳩がモチーフのレリーフや金細工が施されている。

 奥に見える扉へと向かっている間に、保護指輪の写真を何枚か撮り、早速右手の中指にはめてみる。
 すると、ぶかぶかだった指輪が、ひとりでに小さくなりピッタリのサイズになった。
 驚いていると、リトが横から指輪のはまった手をやんわりと握ってきた。

「保護指輪は最初の一回だけ、はめた指に合わせて縮むんだ」

 そういえばさっき受付でも説明されたような。
 誰にでもどの指でも合わせられるようにと、異界滞在中に簡単に外れないようにと、二つの理由から最初から大きめに作られているらしい。
 しかし、実際に自分で体験すると、驚きもひとしおだ。
 実際に魔法を目の前で視るのが、これが初めてなのだ。
 感動して暫く指輪を眺めていると、リトが握っている手の親指で指輪を撫でた。
 リトを見ると、優しい目で指輪を眺めていた。


「お二人さん、置いて行っちゃいますよ~?」

 エルマーさんに呼ばれて、慌てて歩き出す。
 先を歩くエルマーさんとトンゴさんは、トンゴさんの新婚旅行時の話をしている様だった。
 当時は天界のみに行ったらしく、今回は魔界にも行けるので楽しみだと言っていた。奥さんや子供さんにも、お土産をたくさん頼まれたらしい。


 中々辿り着かない転移門に向かって歩いている間、そういえばお兄さんに魔界の取材許可申請を任せたままだと気が付いた。
 今朝会った時も何も言ってなかったが、どうなったんだろうか。
 天界に行ってから連絡手段ってあるんだろうか。

 そう思いリトに聞いてみると、天界は魔素があるから、普通に通信魔法が使えるんだそうだ。
 天界魔界間でも問題なく通じるので、進展があれば連絡が来るだろうとのこと。

 そして、もう一つ気になっていたことも、ついでに聞いてみることにした。

「マーキングって、指輪はめても消えないの?」
「大丈夫だ。指輪をはめる前にかけたものは、そのまま維持される」

 マーキングの上から保護魔法が掛けられるから、既に刻まれているものに関しては干渉しないらしい。
 マーキングされていることもちゃんと分かると、先ほど確かめたと言われた。
 手を握ったのは、マーキングが消えていないかの確認のためだったようだ。


 そのままさらに数メートル歩くと、天界転移門へとようやく到着した。
 天井まである大きな白い扉の前に、転移門専属の職員である、天使二人と人間二人が立っていた。
 そこで、私とトンゴさんは保護指輪を付けているか確認を受け、天界へ行く目的、滞在期間、宿泊先、緊急連絡先などを全員確認される。
 荷物も天使二人に一度渡し、鞄を開けずに中身を見る透視魔法でスキャンされ、全員分確認されてから返される。
 ここはまだ魔素が無いのに、どうやって魔法を使っているのかと疑問に思っていると、エルマーさんが「鞄の中身をスキャンする程度の魔法はそれほど魔素を使わないので」と説明してくれた。
 もし体内魔素がなくなっても、日に数度門の中に入って補充すればまた魔法行使できるらしい。

 荷物を返してもらっていると、リトはさらに詳しく根掘り葉掘り聞かれて、荷物の中身も全て説明させられていた。
 なぜリトだけ厳しいのか不満に思っていると、再びエルマーさんが小声で教えてくれた。

「天界へ行く悪魔は、目的が何であれ厳しくチェックされて、天界へ着いてからも追跡されるんです。彼がいかに高位種族であっても、悪魔というだけで、天界では監視の対象なので。僕たち天使が魔界へ行くときも、同様に職員の悪魔に厳しくチェック、監視されます」

 天界へ行く悪魔、魔界へ行く天使は、それぞれ敵地へと向かうと受け取られるため、情報や技術を盗まないか、問題を起こさないか、滞在期間中ずっと追跡監視されるそうだ。
 そのために、転移する前に魔力を登録して、追跡監視の同意書にサインするのが決まりとなっているのだとか。魔力は指紋と一緒で、一人として同じ者はいないため、本人確認によく使われるらしい。

 それがお互いの為ということは理解できるが、決していい気分ではない。
 リトもエルマーさんも、職員の天使も、それが当たり前という態度で対応しているので、彼らにとっては日常なのだろう。

 一人もやもやした気分を抱えて、リトの手続きが終わるのを三人で待っていた。

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