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第4章 天界取材
51話 天界取材開始!
楽しかった夕食会から一夜明け、いよいよ本格的に天界取材の開始だ。
朝からしっかりと朝食を食べて、準備万端でロビーへ降りると、エルマーさんとリトが既に待っていた。
「すみません!お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、全く。というか、敬語に戻ってるよ?」
「あ、すみま……ごめん。なんかまだ慣れなくて」
昨日の夕食の席で隣に座ったエルマーに、敬語をやめて欲しいとお願いされ、押し切られる形で承諾したけど、やはりまだ慣れない。
外交官補佐という役職に就く彼に、あまりに馴れ馴れしすぎるようで気が引けてしまうのだ。
しかし、つい敬語で話してしまうと、こうやって若干圧を感じる笑顔で言ってくるので、諦めて受け入れることにした。
すると、リトが何だか穏やかじゃないオーラを醸し出しながら、ぴったりと隣に寄って来るので、どちらかといえばこちらを宥める方が大変だった。
私を挟んで二人がなにやら不穏な空気を発しているのを感じながら、とりあえず今日の取材先へと向かって歩き出す。
トンゴさんは園芸雑誌を長年担当していることもあり、植物や動物、それに纏わるものを中心に取材をしてくれている。
私は、リトが付いてくるということもあり、文化や芸術、特に魔法技術に関するものを中心に取材することに。
観光名所や食事に関しては、合間に適宜対応していくことになっていて、自分の担当箇所の取材が終われば、互いに情報の擦り合わせをしてから、行ってない場所や店を回ることになっている。
天界での最初の取材先は、昨日乗せてもらった馬車だ。
目的地まで歩いて向かう間、街中を観察する。
天界は区画整理がしっかりとされている。
政界区域、商業区域、工業区域、工芸区域、農業区域、など、創造神を祀る神殿を中心に区域が分かれていて、天使は自分の仕事場近くに住んでいるそうだ。
私達が今いる場所は、交流年時のみ機能する観光客滞在区域で、グレード別にズラーっとホテルが建ち並んでいる。異界転移門からも近く、商業施設はないが公園や湖、管理された美しい森もあり、滞在期間中リラックス出来るよう配慮された街並みだ。
そして、それぞれの区域を分ける様に、幅の広い道路や川が流れていて、そこに警備員の詰所と馬車乗り場が併設されている。
今私達が向かっているのも、観光客滞在区域の馬車乗り場だ。
私達が滞在しているのはエルマーが用意してくれたホテルなのだが、要人が泊まるような格式高い高級ホテルだ。
そのため、ホテルの周りは緑が多く他のホテルが見えないくらい隔離されているように感じるのだが、馬車乗り場までは一番近い距離にあるらしく、歩いて10分ほどで辿り着いた。
事前にエルマーが話を通していたようで、この馬車乗り場の責任者と昨日と同じ御者二名が出迎えてくれた。
「おはようございます。ようこそお越しくださいました。エルマー様よりお話は賜っておりますので、何なりと仰ってください」
そう笑顔で私とエルマーに向けて挨拶した責任者は、好々爺然とした風貌で鈍い金髪の執事のような出で立ちの天使だ。
彼の態度に少し違和感を覚えながら、早速取材を開始した。
昨日移動中にエルマーから聞いた馬車の仕組みや使われている魔法、馬車を引く飛行動物などにも触れながら詳しく話を聞いていく。
特に馬車を引く飛行動物の調教に関しては興味深く、流石異界だけあって、従魔契約という契約魔法を使える御者がそれぞれ従えているのだとか。(従魔の魔は魔獣の意味で、魔法が使える動物の総称)
飛行能力のある動物は、総じて賢い個体が多く、特にユニコーンはその中でも最上位の存在のため、従えるのも難しいのだそうだ。そのため、契約出来る天使は殆どおらず、その希少性から特別な時しか登場しない。
それこそ、政界の要人を出迎えた時などしかお目にかかれないらしいのだが、それが昨日も今日も目の前に大人しく馬車に繋がれている。しかも二頭も。
「ねえエルマー、ここにその希少な存在が二頭もいるのは一体…?」
「この子達は僕と契約してるんだ。こっちの子が親で、こっちの少し角の小さい子がその子供。昔、怪我してるところを助けたら、懐かれちゃってね」
無下にするのも可哀想だからお互い納得した上で従魔契約したんだと、二頭の鼻筋を優しく撫でながら、当時を懐かしむ様に答えてくれた。
特に子供のユニコーンは彼の事が大好きらしく、もっと撫でろとばかりに自らエルマーの手に摺り寄って行っている。
そんな仲睦まじい様子を、リトが気配を消してカメラに収めていた。
因みに今回の天界取材中、リトはカメラマン役も兼ねている。
二人で地上界取材を回っていた時にカメラの使い方を教えたら、あっさりと習得し、しかも私よりもいい写真を撮るのだ。
……なんか悔しい。でも使えるものは使わせてもらうけどね!
朝からしっかりと朝食を食べて、準備万端でロビーへ降りると、エルマーさんとリトが既に待っていた。
「すみません!お待たせしてしまいましたか?」
「いえ、全く。というか、敬語に戻ってるよ?」
「あ、すみま……ごめん。なんかまだ慣れなくて」
昨日の夕食の席で隣に座ったエルマーに、敬語をやめて欲しいとお願いされ、押し切られる形で承諾したけど、やはりまだ慣れない。
外交官補佐という役職に就く彼に、あまりに馴れ馴れしすぎるようで気が引けてしまうのだ。
しかし、つい敬語で話してしまうと、こうやって若干圧を感じる笑顔で言ってくるので、諦めて受け入れることにした。
すると、リトが何だか穏やかじゃないオーラを醸し出しながら、ぴったりと隣に寄って来るので、どちらかといえばこちらを宥める方が大変だった。
私を挟んで二人がなにやら不穏な空気を発しているのを感じながら、とりあえず今日の取材先へと向かって歩き出す。
トンゴさんは園芸雑誌を長年担当していることもあり、植物や動物、それに纏わるものを中心に取材をしてくれている。
私は、リトが付いてくるということもあり、文化や芸術、特に魔法技術に関するものを中心に取材することに。
観光名所や食事に関しては、合間に適宜対応していくことになっていて、自分の担当箇所の取材が終われば、互いに情報の擦り合わせをしてから、行ってない場所や店を回ることになっている。
天界での最初の取材先は、昨日乗せてもらった馬車だ。
目的地まで歩いて向かう間、街中を観察する。
天界は区画整理がしっかりとされている。
政界区域、商業区域、工業区域、工芸区域、農業区域、など、創造神を祀る神殿を中心に区域が分かれていて、天使は自分の仕事場近くに住んでいるそうだ。
私達が今いる場所は、交流年時のみ機能する観光客滞在区域で、グレード別にズラーっとホテルが建ち並んでいる。異界転移門からも近く、商業施設はないが公園や湖、管理された美しい森もあり、滞在期間中リラックス出来るよう配慮された街並みだ。
そして、それぞれの区域を分ける様に、幅の広い道路や川が流れていて、そこに警備員の詰所と馬車乗り場が併設されている。
今私達が向かっているのも、観光客滞在区域の馬車乗り場だ。
私達が滞在しているのはエルマーが用意してくれたホテルなのだが、要人が泊まるような格式高い高級ホテルだ。
そのため、ホテルの周りは緑が多く他のホテルが見えないくらい隔離されているように感じるのだが、馬車乗り場までは一番近い距離にあるらしく、歩いて10分ほどで辿り着いた。
事前にエルマーが話を通していたようで、この馬車乗り場の責任者と昨日と同じ御者二名が出迎えてくれた。
「おはようございます。ようこそお越しくださいました。エルマー様よりお話は賜っておりますので、何なりと仰ってください」
そう笑顔で私とエルマーに向けて挨拶した責任者は、好々爺然とした風貌で鈍い金髪の執事のような出で立ちの天使だ。
彼の態度に少し違和感を覚えながら、早速取材を開始した。
昨日移動中にエルマーから聞いた馬車の仕組みや使われている魔法、馬車を引く飛行動物などにも触れながら詳しく話を聞いていく。
特に馬車を引く飛行動物の調教に関しては興味深く、流石異界だけあって、従魔契約という契約魔法を使える御者がそれぞれ従えているのだとか。(従魔の魔は魔獣の意味で、魔法が使える動物の総称)
飛行能力のある動物は、総じて賢い個体が多く、特にユニコーンはその中でも最上位の存在のため、従えるのも難しいのだそうだ。そのため、契約出来る天使は殆どおらず、その希少性から特別な時しか登場しない。
それこそ、政界の要人を出迎えた時などしかお目にかかれないらしいのだが、それが昨日も今日も目の前に大人しく馬車に繋がれている。しかも二頭も。
「ねえエルマー、ここにその希少な存在が二頭もいるのは一体…?」
「この子達は僕と契約してるんだ。こっちの子が親で、こっちの少し角の小さい子がその子供。昔、怪我してるところを助けたら、懐かれちゃってね」
無下にするのも可哀想だからお互い納得した上で従魔契約したんだと、二頭の鼻筋を優しく撫でながら、当時を懐かしむ様に答えてくれた。
特に子供のユニコーンは彼の事が大好きらしく、もっと撫でろとばかりに自らエルマーの手に摺り寄って行っている。
そんな仲睦まじい様子を、リトが気配を消してカメラに収めていた。
因みに今回の天界取材中、リトはカメラマン役も兼ねている。
二人で地上界取材を回っていた時にカメラの使い方を教えたら、あっさりと習得し、しかも私よりもいい写真を撮るのだ。
……なんか悔しい。でも使えるものは使わせてもらうけどね!
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