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第4章 天界取材
閑話 ショコラ
地上界取材時のお話です。
分けれなかったので、そのまま投稿してます。なのでいつもより長いです。
ハッピーバレンタイン♡
+ + + + +
早く取材が終わったとある日。
リトと2人で駅へと向かう途中、可愛いパティシエの格好をしたお姉さんの呼び込みの声が聞こえてきた。
「只今当店自慢の濃厚ガトーショコラが焼き立てです!テイクアウトも店内お召上がりもして頂けます!いかがですか~」
焼き立てに惹かれてそちらを見ると、一昨年開店してすぐに人気店になったチョコレート専門店があった。
産地に拘ったカカオを数多く取り揃えていて、それでいてリーズナブルな本格ショコラが買えると話題になり、あっという間に連日行列の絶えない人気店になったお店だ。
カフェも併設されていて、毎月新しいケーキやフレーバーショコラが発売され、それがまた写真映えする可愛いプレートで出てくるので、女性に大人気なのだ。
「焼き立てだって。いい匂いだね~。食べてく?」
「ああ、いいな」
ふふっ、そう言うと思った。リトは甘いもの好きだもんね。
一緒に取材を回るようになってから二人で食事も取るようになって、お互いの好みもしっかり把握済みなのだ。リトはスイーツ全般好きだけど、中でもチョコレートに目がないんだよね。
テーブル席が満席との事でカウンター席に横並びで案内され、焼き立てだと言う濃厚ガトーショコラとコーヒーのセットと、今月の新作フレーバーショコラを注文した。
今日の取材内容や写真を見返しながら待っていると、「お待たせしました~」と言って店員さんがプレートを二つ運んできた。
「うわぁ~、可愛い~!」
一つは、白く丸い皿にカットされたガトーショコラとたっぷりのホイップクリーム。クリームの上には、飾りのミントがちょこんと乗っている。そして、小さな正方形にカットされたブラウニーと、赤と茶の小さな二色マカロンもおまけで添えられている。皿の余白部分には、赤と焦げ茶色のチョコペンで花束を模したおしゃれな絵が描かれている。
もう一つは、ダークグレーの大きく薄い皿の上に白い雫型をしたソース皿のような物が四つ、四葉のクローバーのように並べられた中に、意匠を凝らしたデザインの一口サイズのショコラが一つずつ、四種類入っている。これもダークグレーの皿の余白部分に、白と明るい茶色のチョコペンでおしゃれな古い羊皮紙の巻物のような模様が描かれ、名刺くらいのサイズの小さな薄い本が添えられている。
「これは素晴らしいな。ケーキやショコラも勿論だが、この周りに描かれている模様がより引き立たせているようだ」
「これは写真撮りたくなっちゃうの、わかるね」
食べるのがもったいないくらい可愛くて素敵なプレートを目に焼き付けていると、リトが徐にミニポラロイドを鞄から取り出し、撮影し始めた。
「あれ、ミニポラ買ったんだ?」
若い女性を中心に流行っているミニポラロイド(略してミニポラ)は、通常のポラロイドの三分の二ほどのサイズのフィルムで、手のひらに収まるサイズ感と、普通のカメラで撮ったものとは違う雰囲気の写真が撮れるという理由で、ある人気女優がハマっている趣味の一つとして紹介してから爆発的に人気になったものだ。
最近では、ポラロイドフィルムをフォトアルバムに纏めたものをポラ帳といい、友達と見せ合ったり、交換したりして楽しむ人が増えているのだ。
少し前に、写真やカメラなどに関する取材をした時に、リトに試しにカメラを渡して撮らせてみたら、ものすごくセンスのいい写真を撮っていて、取材相手のカメラマンさんに「今すぐプロでやっていけるよ!」と太鼓判を押されていたほどの腕前を持っていたことが発覚したばかり。
その時にミニポラのことやポラ帳が流行っていることも聞いていたから、興味を持ったのかもしれない。
「ああ。折角だから、シエナとの想い出を記録しておこうと思ってな」
うんうん。想い出ってとっておきたいもんね。
それが楽しいものなら尚更だ。
リトにとって今の状況がアルバムに残したいくらい楽しいものになっているのなら、良かったよ。
周りを見てみると、女性客が大半を占めていて、その殆どの人がミニポラを構えていたり、とったポラロイドを見ながら楽しそうにおしゃべりしている。
皆楽しそうだなぁ。
私もミニポラ買おうかなぁ。
でもちょっとお高いんだよね。フィルムも普通のポラロイドに比べて割高だし。
そんなことを考えている間に、リトは思う存分ケーキとショコラのお皿を写真に収め、ついでに何故か皿を持ってポーズをした私も写真に撮られた。
そしてやっと満足したらしく、「食べようか」とフォークを持った。
焼き立ての濃厚ガトーショコラは、ほんの少しお酒の香りがする大人の味で、添えられているホイップクリームも甘すぎずさっぱりしていて、一緒に食べるととっても美味しい。
ガトーショコラの熱でホイップクリームが少し溶けて、それを絡めながら食べると、何とも幸せな気持ちになる。
「美味いな。クリームと一緒に食べてちょうどいいように作られているんだろうな」
「そうだと思う。甘いもの苦手な人でも食べられそうな感じだね」
もう一つのプレートのショコラは、雫型一つ一つにそれぞれ違うショコラが入っていて、一皿で四つの味が楽しめるものだ。
赤いチョコでコーティングされたハート形のショコラ。
店のロゴが金字で表面にプリントされたスペード形のショコラ。
中央の窪みに赤いチェリーの刻んだ飾りが施されたダイヤ形のショコラ。
生チョコのように表面にココアパウダーが塗されたクラブ形のショコラ。
添えられた小さく薄い本の表紙は、古い本のように印刷されていて、中を開くと、それぞれのショコラの説明が挿絵と共に書かれている。
「まるでアリスの世界だね」
「アリス?」
『アリスと不思議な本』という童話の世界観を表現していると思われる一皿に見惚れていると、リトはその童話は知らないらしく、軽くあらすじを説明する。
州によっては『不思議の国のアリス』という題名の所もある。中身は一緒だ。
あらすじを聞いたリトはというと、「それはただの悪魔の悪戯ではないのか?」と言って、アリスの体験するすべての事は魔法で再現可能な現象で、やろうと思ったら魔界でいくらでも出来ると言った。
それを聞いた私の感想はというと、
「地上界には童話とか言い伝えとかたくさんあるから、そういうおとぎ話を題材にして、実際に体験できる施設とかあったら、面白そうだし流行りそうだよね」
この時近くのテーブル席に座っていた悪魔と天使が聞き耳を立てていて、数年後に本当にそういう体験型施設を天界魔界両方に作って、しかも爆発的に大流行するのは、また別の話。
トランプ柄の可愛いショコラは全て味が違うみたいなので、店員さんにナイフを貰って、もったいないけど四つとも真っ二つに切り、全部半分こすることにした。
ダイヤ、スペード、クラブと切って、残りのハートも切ろうとしたら、リトが「待って」と言ってナイフを握っている私の手を握って、切るのを止めた。
「どうしたの?」
「あ、いや、何故かわからないが、何となく切ってはいけないような気になって……」
ハートは切ったらだめ?何か意味でもあるのかな。
ハートの形は色んな意味があるけど、一番広く根付いているのは心の形を模した物ということ。
だから、バレンタインには私の心を貰って欲しいという意味を込めて、ハート形のチョコを好きな人にあげるようになったと聞いたことがある。
あとは、愛情の形とかもあったかな?
でも、リトはなぜ自分がそう思ったのかはわからないみたいだ。
「じゃあ、ハートはリトが食べたらいいよ。私はいいから」
そう言ってナイフを置いて、ハート形のチョコを摘まんでリトの口元まで持っていく。
そういう訳にはいかないとか何とか言って食べようとしないから、無理やり口に放り込んだ。
「ふふん、美味しい?」
少し勝ち誇った気持ちになって、ニヤニヤしながら聞いてみたら、少し頬を染めながら「…美味い」と言って半分齧って味わい始めた。
小さな薄い本の説明によると、ダークチョコにベリーで色付けしたホワイトチョコのコーティングがされていて、中にもベリーやチェリーをお酒に漬け込んだ物が細かく刻んで入っているらしい。
……実は一番食べたかったショコラだったりするんだけど、美味しそうにリトが食べてるから、まあいいか。
とか思っていたら、いつの間にか無意識のうちに、じぃ―っとリトの持つ半分になったハートのショコラを見ていたらしい。
リトが悪い顔でニヤッとしたと思ったら、名前を呼ばれて返事をするのに口を開けた瞬間に、口の中に齧られた残りの半分のハートのショコラをぽいっと突っ込まれた。
「美味いか?」
「!!」
突然の事に対応が追い付かず、少し口から零れてしまったのを慌てて舌で追いかける。
もうっ!急に何するのよ!
あ、でも美味しいこれ。
私の返事を待っているリトはというと、先ほどの私のようにニヤニヤしている。
うう、してやられた……
「オイシイデス……」
「なんで片言なんだ?」
ちょっと悔しくて片言になってしまったけど、リトはその言葉とは裏腹に微塵も疑問に思ってなさそうな顔で、相変わらずニヤついている。
その後も、残りのショコラを一緒に食べて感想を言い合って、撮ったミニポラを見ながら他愛もない話をして、幸せな気持ちで店を出たのだった。
* * * * * *
周りに座っていた人々と店員の心の声を皆様だけに特別にお届けしちゃいます★
「あの男の人かっこい―♡こっち向いてくんないかな―♡無理か―彼女しか目に入ってないもんね―」
「何あのカップル、超自然体で二人とも可愛すぎだろ」
「彼氏の方がミニポラ持ってて撮ってるとか、推せるんですけど」
「彼女ニコニコして彼氏がポラってる(ミニポラで撮ること)の見てるの可愛んだが」
「リア充爆発しろ」
「彼氏君、ハートは切りたくないって、もう、もうっ……!!しかも無意識かよ―――!!」
「自分がやったとはいえ、彼氏の齧ったチョコをじっと見るとか、何なん、可愛すぎ、尊すぎ、アタシがいっぱい買ってあげるよ!」
「イチャイチャすんじゃねぇ――!!」
「もっとイチャコラしろ――!!」
(因みに、これらの会話の九割は女性です。天使悪魔も含まれます。心の叫びだから言葉遣いが悪くても気にしない気にしない。)
分けれなかったので、そのまま投稿してます。なのでいつもより長いです。
ハッピーバレンタイン♡
+ + + + +
早く取材が終わったとある日。
リトと2人で駅へと向かう途中、可愛いパティシエの格好をしたお姉さんの呼び込みの声が聞こえてきた。
「只今当店自慢の濃厚ガトーショコラが焼き立てです!テイクアウトも店内お召上がりもして頂けます!いかがですか~」
焼き立てに惹かれてそちらを見ると、一昨年開店してすぐに人気店になったチョコレート専門店があった。
産地に拘ったカカオを数多く取り揃えていて、それでいてリーズナブルな本格ショコラが買えると話題になり、あっという間に連日行列の絶えない人気店になったお店だ。
カフェも併設されていて、毎月新しいケーキやフレーバーショコラが発売され、それがまた写真映えする可愛いプレートで出てくるので、女性に大人気なのだ。
「焼き立てだって。いい匂いだね~。食べてく?」
「ああ、いいな」
ふふっ、そう言うと思った。リトは甘いもの好きだもんね。
一緒に取材を回るようになってから二人で食事も取るようになって、お互いの好みもしっかり把握済みなのだ。リトはスイーツ全般好きだけど、中でもチョコレートに目がないんだよね。
テーブル席が満席との事でカウンター席に横並びで案内され、焼き立てだと言う濃厚ガトーショコラとコーヒーのセットと、今月の新作フレーバーショコラを注文した。
今日の取材内容や写真を見返しながら待っていると、「お待たせしました~」と言って店員さんがプレートを二つ運んできた。
「うわぁ~、可愛い~!」
一つは、白く丸い皿にカットされたガトーショコラとたっぷりのホイップクリーム。クリームの上には、飾りのミントがちょこんと乗っている。そして、小さな正方形にカットされたブラウニーと、赤と茶の小さな二色マカロンもおまけで添えられている。皿の余白部分には、赤と焦げ茶色のチョコペンで花束を模したおしゃれな絵が描かれている。
もう一つは、ダークグレーの大きく薄い皿の上に白い雫型をしたソース皿のような物が四つ、四葉のクローバーのように並べられた中に、意匠を凝らしたデザインの一口サイズのショコラが一つずつ、四種類入っている。これもダークグレーの皿の余白部分に、白と明るい茶色のチョコペンでおしゃれな古い羊皮紙の巻物のような模様が描かれ、名刺くらいのサイズの小さな薄い本が添えられている。
「これは素晴らしいな。ケーキやショコラも勿論だが、この周りに描かれている模様がより引き立たせているようだ」
「これは写真撮りたくなっちゃうの、わかるね」
食べるのがもったいないくらい可愛くて素敵なプレートを目に焼き付けていると、リトが徐にミニポラロイドを鞄から取り出し、撮影し始めた。
「あれ、ミニポラ買ったんだ?」
若い女性を中心に流行っているミニポラロイド(略してミニポラ)は、通常のポラロイドの三分の二ほどのサイズのフィルムで、手のひらに収まるサイズ感と、普通のカメラで撮ったものとは違う雰囲気の写真が撮れるという理由で、ある人気女優がハマっている趣味の一つとして紹介してから爆発的に人気になったものだ。
最近では、ポラロイドフィルムをフォトアルバムに纏めたものをポラ帳といい、友達と見せ合ったり、交換したりして楽しむ人が増えているのだ。
少し前に、写真やカメラなどに関する取材をした時に、リトに試しにカメラを渡して撮らせてみたら、ものすごくセンスのいい写真を撮っていて、取材相手のカメラマンさんに「今すぐプロでやっていけるよ!」と太鼓判を押されていたほどの腕前を持っていたことが発覚したばかり。
その時にミニポラのことやポラ帳が流行っていることも聞いていたから、興味を持ったのかもしれない。
「ああ。折角だから、シエナとの想い出を記録しておこうと思ってな」
うんうん。想い出ってとっておきたいもんね。
それが楽しいものなら尚更だ。
リトにとって今の状況がアルバムに残したいくらい楽しいものになっているのなら、良かったよ。
周りを見てみると、女性客が大半を占めていて、その殆どの人がミニポラを構えていたり、とったポラロイドを見ながら楽しそうにおしゃべりしている。
皆楽しそうだなぁ。
私もミニポラ買おうかなぁ。
でもちょっとお高いんだよね。フィルムも普通のポラロイドに比べて割高だし。
そんなことを考えている間に、リトは思う存分ケーキとショコラのお皿を写真に収め、ついでに何故か皿を持ってポーズをした私も写真に撮られた。
そしてやっと満足したらしく、「食べようか」とフォークを持った。
焼き立ての濃厚ガトーショコラは、ほんの少しお酒の香りがする大人の味で、添えられているホイップクリームも甘すぎずさっぱりしていて、一緒に食べるととっても美味しい。
ガトーショコラの熱でホイップクリームが少し溶けて、それを絡めながら食べると、何とも幸せな気持ちになる。
「美味いな。クリームと一緒に食べてちょうどいいように作られているんだろうな」
「そうだと思う。甘いもの苦手な人でも食べられそうな感じだね」
もう一つのプレートのショコラは、雫型一つ一つにそれぞれ違うショコラが入っていて、一皿で四つの味が楽しめるものだ。
赤いチョコでコーティングされたハート形のショコラ。
店のロゴが金字で表面にプリントされたスペード形のショコラ。
中央の窪みに赤いチェリーの刻んだ飾りが施されたダイヤ形のショコラ。
生チョコのように表面にココアパウダーが塗されたクラブ形のショコラ。
添えられた小さく薄い本の表紙は、古い本のように印刷されていて、中を開くと、それぞれのショコラの説明が挿絵と共に書かれている。
「まるでアリスの世界だね」
「アリス?」
『アリスと不思議な本』という童話の世界観を表現していると思われる一皿に見惚れていると、リトはその童話は知らないらしく、軽くあらすじを説明する。
州によっては『不思議の国のアリス』という題名の所もある。中身は一緒だ。
あらすじを聞いたリトはというと、「それはただの悪魔の悪戯ではないのか?」と言って、アリスの体験するすべての事は魔法で再現可能な現象で、やろうと思ったら魔界でいくらでも出来ると言った。
それを聞いた私の感想はというと、
「地上界には童話とか言い伝えとかたくさんあるから、そういうおとぎ話を題材にして、実際に体験できる施設とかあったら、面白そうだし流行りそうだよね」
この時近くのテーブル席に座っていた悪魔と天使が聞き耳を立てていて、数年後に本当にそういう体験型施設を天界魔界両方に作って、しかも爆発的に大流行するのは、また別の話。
トランプ柄の可愛いショコラは全て味が違うみたいなので、店員さんにナイフを貰って、もったいないけど四つとも真っ二つに切り、全部半分こすることにした。
ダイヤ、スペード、クラブと切って、残りのハートも切ろうとしたら、リトが「待って」と言ってナイフを握っている私の手を握って、切るのを止めた。
「どうしたの?」
「あ、いや、何故かわからないが、何となく切ってはいけないような気になって……」
ハートは切ったらだめ?何か意味でもあるのかな。
ハートの形は色んな意味があるけど、一番広く根付いているのは心の形を模した物ということ。
だから、バレンタインには私の心を貰って欲しいという意味を込めて、ハート形のチョコを好きな人にあげるようになったと聞いたことがある。
あとは、愛情の形とかもあったかな?
でも、リトはなぜ自分がそう思ったのかはわからないみたいだ。
「じゃあ、ハートはリトが食べたらいいよ。私はいいから」
そう言ってナイフを置いて、ハート形のチョコを摘まんでリトの口元まで持っていく。
そういう訳にはいかないとか何とか言って食べようとしないから、無理やり口に放り込んだ。
「ふふん、美味しい?」
少し勝ち誇った気持ちになって、ニヤニヤしながら聞いてみたら、少し頬を染めながら「…美味い」と言って半分齧って味わい始めた。
小さな薄い本の説明によると、ダークチョコにベリーで色付けしたホワイトチョコのコーティングがされていて、中にもベリーやチェリーをお酒に漬け込んだ物が細かく刻んで入っているらしい。
……実は一番食べたかったショコラだったりするんだけど、美味しそうにリトが食べてるから、まあいいか。
とか思っていたら、いつの間にか無意識のうちに、じぃ―っとリトの持つ半分になったハートのショコラを見ていたらしい。
リトが悪い顔でニヤッとしたと思ったら、名前を呼ばれて返事をするのに口を開けた瞬間に、口の中に齧られた残りの半分のハートのショコラをぽいっと突っ込まれた。
「美味いか?」
「!!」
突然の事に対応が追い付かず、少し口から零れてしまったのを慌てて舌で追いかける。
もうっ!急に何するのよ!
あ、でも美味しいこれ。
私の返事を待っているリトはというと、先ほどの私のようにニヤニヤしている。
うう、してやられた……
「オイシイデス……」
「なんで片言なんだ?」
ちょっと悔しくて片言になってしまったけど、リトはその言葉とは裏腹に微塵も疑問に思ってなさそうな顔で、相変わらずニヤついている。
その後も、残りのショコラを一緒に食べて感想を言い合って、撮ったミニポラを見ながら他愛もない話をして、幸せな気持ちで店を出たのだった。
* * * * * *
周りに座っていた人々と店員の心の声を皆様だけに特別にお届けしちゃいます★
「あの男の人かっこい―♡こっち向いてくんないかな―♡無理か―彼女しか目に入ってないもんね―」
「何あのカップル、超自然体で二人とも可愛すぎだろ」
「彼氏の方がミニポラ持ってて撮ってるとか、推せるんですけど」
「彼女ニコニコして彼氏がポラってる(ミニポラで撮ること)の見てるの可愛んだが」
「リア充爆発しろ」
「彼氏君、ハートは切りたくないって、もう、もうっ……!!しかも無意識かよ―――!!」
「自分がやったとはいえ、彼氏の齧ったチョコをじっと見るとか、何なん、可愛すぎ、尊すぎ、アタシがいっぱい買ってあげるよ!」
「イチャイチャすんじゃねぇ――!!」
「もっとイチャコラしろ――!!」
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