10年に一度の異界交流で、天使と悪魔に迫られています

七居

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第4章 天界取材

54話 デモンストレーションを体験!

 広場に到着すると、中心にある噴水の四方を囲むようにして、天使が3人ずつの4つのグループとなり、それぞれに観光客の人間相手に魔法のデモンストレーションを披露していた。
 どうやら、どのグループも行っていることは同じようで、決まった演出プランを観光客を参加させながら魅せているようだ。
 私達の目の前のグループがちょうど終わったところだったようで、そこで見学することになった。

「これはこれはエルマー様!ようこそお越しくださいました。本日はどうされたのですか?」
「地上界との正式な仕事が決まったことは知ってるよね?今その最中なんだけど、取材に強力してくれないかな?」
「おお!なんという光栄!私共がそのような大切な場面でお役に立てるのならば、いくらでも!」

 なんだか芝居掛かった大袈裟な受け答えだけど、これも演出のうちの一つなのかなと思って成り行きを見守っていると、エルマーが声を掛けた天使は、ここの噴水広場でのデモンストレーションを受け持っている団体の団長さんだった。
 貴族のようなフリフリで煌びやかな衣装を身に纏い、大げさな身振り手振りで、サーカスの司会者のような見る人を引き込む言動。
 日常を離れた非現実世界を魅せてくれる、これこそショーマンだと思わせてくれる人だ。
 天使には珍しい口髭を生やしているのも(付け髭かもしれないけれど)、雰囲気がよく出ているし、なにより団長さんに良く似合っている。
 エルマーと団長さんに呼ばれて話に加わっている二人の天使も、上品な仕立てのベストスーツをそれぞれ着こなしている。

 暫くすると話が纏まったようで、エルマーに呼ばれたので、早速団長さんと二人の団員さんに取材を開始することに。
 普段は私設の魔法軍として働いている彼らは、主に魔界への警戒や天界へ来た悪魔達の追跡に従事しているが、交流年時の間のみ、この噴水広場で対人間デモンストレーションを行っているそうだ。
 とにかくまずは体験してみてほしいと言うことで、普段行っている魔法ショーを見せてもらうことになった。



「では改めまして、ようこそ天界へ!地上界では味わえない魔法体験を皆様にお届けしましょう!」

 団長の言葉を合図に、団員さんたちが花火のような光を打ち上げる。
 それからは、掌から炎を出したり、水で形作った動物を動かしたり、瞬間移動して見せたりなど、彼らからしたら初期魔法らしいが安全を考慮した範囲内で最大限のパフォーマンスを次々に披露していく。
 エルマーとリトが、隣でどんな魔法を使っているのかをその都度説明をしてくれるので、とても分かりやすいし楽しい。

 そして、いよいよお目当ての空を飛ぶ体験の時間がやってきた。

「それではお嬢様、こちらへどうぞ!」

 そう言って団員の一人に手を引かれながらエスコートされて前へ出ると、これから掛ける魔法について説明される。
 それによると、これから行うのは浮遊魔法という物体を浮かせる魔法で、浮く人はバランス感覚が重要になるという。
 余り運動神経は良くないけれど大丈夫かなと思っていると、怪我をしない様に補助魔法も同時に掛けるので、安全は保障すると言ってくれた。

「では準備はいいですか?いきますよ~!」


 団長さんの声がかかると同時に、体が軽くなる感覚がして、足が地面から離れる。

 おっ、おぉ~!すごい!浮いてる!

 心配していたバランスを取るのも、以外と大丈夫だ。補助魔法というのが効いているのだろう。何と言うか、風船になった気分。
 浮いたのは地上から三十センチくらいだったが、団員さんの指示のもと、その場で一周回って見たり、少し歩いてみたりと、これはかなり楽しい。


「お上手ですね~!普段はここまでなのですが、今回はエルマー様のお客様ということで、特別に上級編の体験をしてみましょうか!」

 団長さんがそう言うと、浮いている間手を繋いで補助をしてくれていた団員さんの一人が、翼を羽ばたかせ浮かび上がった。
 そのまま両手をしっかり握られて、一緒に上空へと飛び上がる。
 「えっ」と思った時には、既に勢いよく噴き出している噴水が真下に見えていて、エルマーとリト、団長さんともう一人の団員さんがこちらを見上げていた。

「うわぁ~!すごい、飛んでる!」

 地に足が付いていない不安など一切なく、手を繋いでいる団員さんに引かれるままに、噴水の上空を一周。
 更におまけといってエルマーとリトの上も一周してから、元の場所へ降ろしてくれた。


 魔法を解いた後、気分が悪くないか確認されたが、寧ろ興奮しているくらいだ。
 すごく貴重な経験をさせてもらえて、私はテンションが異常なほど上がっていた。
 それもこれもエルマーのおかげかと思うと、本当に出会えてよかったと心から感謝した。


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