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第4章 天界取材
閑話 シルクスの憂鬱な休日③
制裁の内容だけが決まらないまま、ダラダラとしていると、現団長がおずおずといった様子で質問してきた。
「シルクス様が会長となって、相談等に乗っていただくとかいうようなことはでき」
「絶対やだ」
「………わかりました」
何その恨めしげな眼。絶対嫌に決まってるじゃん、そんな面倒くさいこと。
折角卒業して面倒な団長職からもやっと解放されたっていうのに、会長なんてなったら、面倒ごとに巻き込まれるの目に見えてるし。
そんな暇あったら、推し活したいし。
あーあ、結局エルマー様に会えなかったなあ。近くに居たのに。
お昼も邪魔が入って不完全燃焼だったし。
なんてことを考えて不貞腐れモードに入ってると、制裁の内容が決まったらしい。
やば、何にも聞いてなかった。
「シルクス、それで良いよな!」
「え、うん。いいんじゃない?」
内容知らないけど。
まあ、そんなきついヤツじゃないでしょ。大丈夫、大丈夫。
適当に返事をして、現幹部たちを解放した。
彼らが帰り際に、何か言いたそうな、縋るような、怯えるような、死んだような、そんな目を僕に向けていた気がするけど、気のせいかな?
「しかし、シルクスがあのレベルの制裁の許可を出すとか、結構珍しいんじゃね?」
「ああ、俺も思った。俺だったら間違いなく逃げ出すわ~」
「え」
……あれ、これもしかして、やっちゃった感じ?
どうしよう、どんな制裁を下したのか、今からでも聞くべき?
「今回は事が事だからな。他の構成員たちに示しを付けるためにも、あれくらいは妥当だろ」
現役で警備軍に所属する悪友その4がそう言うなら、妥当な内容なんだろう。
じゃあ、聞かなくてもいっか。
その後、暫く五人でダラダラしてから解散した。
「ねー、シルクスー」
「……」
「ごめんってばー!あいつらにボクが敵うわけないじゃん!シルクスに悪いとは思ったけど、しょうがなかったんだよおー」
悪友たちに僕の位置情報をチクった友人は今、泣きながら謝り、僕に纏わりついている。
エルマー様の情報のお礼はチクったことで無しと言った途端、こうなった。
そろそろウザくなってきたなあ。
「僕が一週間ぶりの休みなの知ってたよね」
「うぅ…はぃ…」
「僕にとって推し活は命なのも知ってるよね」
「はぃ…」
「あいつらにチクったらどうなるかも分かってたよね」
「……」
「返事は」
「…はぃぃ」
巨体を限界まで縮こませて、正座でお説教を大人しく受けてる友人。
ほんと、体だけデカくなって、中身は昔と変わらないままだ。
「なんで知らないって嘘つく事も出来たのにしなかったの」
「…嘘ってバレたらボコられちゃう」
いや、あいつらには絶対こいつに手出しするなって言ってあるけど。
昔からいじめられっ子体質で、よく僕が助けてやってたんだよね。
そしたら異様に懐かれちゃって、今に至るんだけど。
「ああ、昔はお前虐められてたもんね。けどそんな事にならないよ。あいつらにはお前に絶対手出すなって言いつけてあるから」
「え!そうなの!?」
「うん。僕の大事な人だからって」
「だ、大事な人……!!」
あれ、これ言ったことなかったっけ。えらく感動してるんだけど。
僕の生まれてから今までの紆余曲折な人格成形を全部見てきてるくせに、それでもずっとそばに居てくれるのは、このお人好しの友人だけだから。
だから例え悪友たちでも、こいつのことを傷つけるやつは絶対許さない。
今の僕にとって、エルマー様の次に大事な友人。
いつの間にか僕よりも二回りデカくなった友人は、その巨体を小刻みに震えさせながら目に一杯涙を湛えて、胸の前で手を組み、僕からすると大袈裟に大感動している。
「シルクスがボクの事そんな風に思ってくれてたなんて!」
あー、しまった。こうなると長いんだよね。
案の定、自分がどれだけ感動しているかを、大げさな身振り手振りで説明し始めてしまった。
「ねえちゃんと聞いてる!?本当にボク感動したんだよ!!」
「はいはい聞いてる聞いてる」
「もー、ちゃんと聞いてってば!でも嬉しい!ありがと!ボクもシルクスのこと、とってもとっても大事だよー!!大好き!!」
抱き着いてくるまでは想定内だけど、更にほっぺにチューしようとしてくるのは流石に拒否する。
けど全身で嬉しいと素直に表現するこいつの事は、どうやったって可愛く見える。
ほんと犬みたい。ブンブン振ってる尻尾が見える気がするもん。
どんなに僕が変わろうが、こいつは昔から変わらない。
でもそこが一緒に居て楽しいから、ずっと友達でいるんだけど。
あれ、結局この抱きしめられてる状況って、いつものお礼みたいじゃないか。
頼みごとをした時はいつも、僕からハグをすることになってる。
他にもっとあるだろって言っても、これがいいと言い張るので、なんだかなあと思いながらもずっとこのお礼を続けている。
しかも折角こちらからハグしても、すぐに向こうからもっと強いハグが返って来るから、結局どっちが抱きしめてるのかわかんなくなって、やや向こうが強めでハグし合うという、けっこう恥ずかしい事に毎回なる。
まあそれも何年も続けてると慣れてくるもので。
今となっては恥ずかしいという感情すら起こらない。
あれ?こういうのを絆されたっていうのかな?
そんな感じで僕の貴重な休日は終わってしまった。
エルマー様には会えないし、推し活はことごとく邪魔されるし、後輩が起こした面倒事に巻き込まれるし、なんだか良い事が何もなかったような……
ぬいぐるみを抱いているかのような強いハグを受けて、頭にスリスリと友人の頬っぺたを擦り付けられながら、一日を振り返って見てもやっぱり憂鬱な一日だったと溜息を洩らしたのだった。
+ + + + +
現幹部たちのその後
「マジ鬼だよあの人ら…」
「うぅ、もう幹部辞めたいよ…、死んだ方がマシだよぉ…」
「去年死んだ爺ちゃん元気かな…」
「シルクス様が会長となって、相談等に乗っていただくとかいうようなことはでき」
「絶対やだ」
「………わかりました」
何その恨めしげな眼。絶対嫌に決まってるじゃん、そんな面倒くさいこと。
折角卒業して面倒な団長職からもやっと解放されたっていうのに、会長なんてなったら、面倒ごとに巻き込まれるの目に見えてるし。
そんな暇あったら、推し活したいし。
あーあ、結局エルマー様に会えなかったなあ。近くに居たのに。
お昼も邪魔が入って不完全燃焼だったし。
なんてことを考えて不貞腐れモードに入ってると、制裁の内容が決まったらしい。
やば、何にも聞いてなかった。
「シルクス、それで良いよな!」
「え、うん。いいんじゃない?」
内容知らないけど。
まあ、そんなきついヤツじゃないでしょ。大丈夫、大丈夫。
適当に返事をして、現幹部たちを解放した。
彼らが帰り際に、何か言いたそうな、縋るような、怯えるような、死んだような、そんな目を僕に向けていた気がするけど、気のせいかな?
「しかし、シルクスがあのレベルの制裁の許可を出すとか、結構珍しいんじゃね?」
「ああ、俺も思った。俺だったら間違いなく逃げ出すわ~」
「え」
……あれ、これもしかして、やっちゃった感じ?
どうしよう、どんな制裁を下したのか、今からでも聞くべき?
「今回は事が事だからな。他の構成員たちに示しを付けるためにも、あれくらいは妥当だろ」
現役で警備軍に所属する悪友その4がそう言うなら、妥当な内容なんだろう。
じゃあ、聞かなくてもいっか。
その後、暫く五人でダラダラしてから解散した。
「ねー、シルクスー」
「……」
「ごめんってばー!あいつらにボクが敵うわけないじゃん!シルクスに悪いとは思ったけど、しょうがなかったんだよおー」
悪友たちに僕の位置情報をチクった友人は今、泣きながら謝り、僕に纏わりついている。
エルマー様の情報のお礼はチクったことで無しと言った途端、こうなった。
そろそろウザくなってきたなあ。
「僕が一週間ぶりの休みなの知ってたよね」
「うぅ…はぃ…」
「僕にとって推し活は命なのも知ってるよね」
「はぃ…」
「あいつらにチクったらどうなるかも分かってたよね」
「……」
「返事は」
「…はぃぃ」
巨体を限界まで縮こませて、正座でお説教を大人しく受けてる友人。
ほんと、体だけデカくなって、中身は昔と変わらないままだ。
「なんで知らないって嘘つく事も出来たのにしなかったの」
「…嘘ってバレたらボコられちゃう」
いや、あいつらには絶対こいつに手出しするなって言ってあるけど。
昔からいじめられっ子体質で、よく僕が助けてやってたんだよね。
そしたら異様に懐かれちゃって、今に至るんだけど。
「ああ、昔はお前虐められてたもんね。けどそんな事にならないよ。あいつらにはお前に絶対手出すなって言いつけてあるから」
「え!そうなの!?」
「うん。僕の大事な人だからって」
「だ、大事な人……!!」
あれ、これ言ったことなかったっけ。えらく感動してるんだけど。
僕の生まれてから今までの紆余曲折な人格成形を全部見てきてるくせに、それでもずっとそばに居てくれるのは、このお人好しの友人だけだから。
だから例え悪友たちでも、こいつのことを傷つけるやつは絶対許さない。
今の僕にとって、エルマー様の次に大事な友人。
いつの間にか僕よりも二回りデカくなった友人は、その巨体を小刻みに震えさせながら目に一杯涙を湛えて、胸の前で手を組み、僕からすると大袈裟に大感動している。
「シルクスがボクの事そんな風に思ってくれてたなんて!」
あー、しまった。こうなると長いんだよね。
案の定、自分がどれだけ感動しているかを、大げさな身振り手振りで説明し始めてしまった。
「ねえちゃんと聞いてる!?本当にボク感動したんだよ!!」
「はいはい聞いてる聞いてる」
「もー、ちゃんと聞いてってば!でも嬉しい!ありがと!ボクもシルクスのこと、とってもとっても大事だよー!!大好き!!」
抱き着いてくるまでは想定内だけど、更にほっぺにチューしようとしてくるのは流石に拒否する。
けど全身で嬉しいと素直に表現するこいつの事は、どうやったって可愛く見える。
ほんと犬みたい。ブンブン振ってる尻尾が見える気がするもん。
どんなに僕が変わろうが、こいつは昔から変わらない。
でもそこが一緒に居て楽しいから、ずっと友達でいるんだけど。
あれ、結局この抱きしめられてる状況って、いつものお礼みたいじゃないか。
頼みごとをした時はいつも、僕からハグをすることになってる。
他にもっとあるだろって言っても、これがいいと言い張るので、なんだかなあと思いながらもずっとこのお礼を続けている。
しかも折角こちらからハグしても、すぐに向こうからもっと強いハグが返って来るから、結局どっちが抱きしめてるのかわかんなくなって、やや向こうが強めでハグし合うという、けっこう恥ずかしい事に毎回なる。
まあそれも何年も続けてると慣れてくるもので。
今となっては恥ずかしいという感情すら起こらない。
あれ?こういうのを絆されたっていうのかな?
そんな感じで僕の貴重な休日は終わってしまった。
エルマー様には会えないし、推し活はことごとく邪魔されるし、後輩が起こした面倒事に巻き込まれるし、なんだか良い事が何もなかったような……
ぬいぐるみを抱いているかのような強いハグを受けて、頭にスリスリと友人の頬っぺたを擦り付けられながら、一日を振り返って見てもやっぱり憂鬱な一日だったと溜息を洩らしたのだった。
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現幹部たちのその後
「マジ鬼だよあの人ら…」
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「去年死んだ爺ちゃん元気かな…」
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