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第4章 天界取材
65話 名付け騒動3
先ほどと同じくはぐらかしたような答えが返って来て、本当の理由をきちんと聞いてから受けるかどうか考えたいことを言おうとしたら、私よりも先にエルマーが切り出した。
「グリフォンの長よ、はぐらかさないで下さい。彼女が名付けを行うのであれば、天界政府もそこに介入せざるを得なくなります」
先ほどとは違い、外交官の顔をしたエルマーは、上位種の名付けを人が行うことの危険性、魔素耐性があるとはいえ魔法知識も技術もない私が行った場合の起こり得る弊害を、リーダーグリフォンに説明し始めた。
私達が話している間に、興奮していたのは落ち着いたみたい。
長々と話していたが要約すると、いくら上位種とは言っても赤ちゃんは赤ちゃん、感情は垂れ流し状態となるため、常に繋がっている期間が長ければ双方に、特に人側に負担がかかること。
もし繋がっていることが外部に漏れた場合、本人達だけでなく群れ全体が危険に晒される可能性があること。
普段地上界で生活している私と繋がっていると、子どもの教育上色々と良くないことも勝手に知ってしまう可能性があること。
私には魔力がないので、繋がりを制御することはおそらく出来ないこと。
私を通して地上界を覗くことで、子どもの好奇心や興味を引いて、天界を抜け出す可能性があること。
魔素耐性が高いとはいえ、前例がない以上、私の体や精神にどんな影響が出るかわからないこと。
最後に、前代未聞の人による上位種の名付けを、天界政府として何もせず傍観することは出来ないこと。
あの少しの時間でここまで問題点を挙げられるとは、流石エルマーだ。素直に関心してしまう。
「これら全ての問題を解決できるのであれば、一旦私の上司に報告し、然るべき部署へと連絡を付けましょう。しかしそうなると、彼女には常に監視が付くことになり、非常に不便な生活が一生続くこととなるでしょう」
「そんな大層なことせんでも…」とリーダーグリフォンが喋り掛けると、「それだけで済めばまだいい方です」と遮り、更に酷い場合は死ぬまで監禁になるだろうと、エルマーは言う。
監禁は流石に嫌だなぁ。
監視も、まぁ、監禁よりはましかもしれないけど、仕事に支障が出るのは勘弁してほしいなぁ。
そう思っていたのが顔に出ていたのか、リーダーグリフォンは私をじっと見つめて何やら考え込んでいるようだ。
暫く黙り込んでいると、フッと視線が外れ、今度はエルマーをじっと見つめだした。
釣られて私も左隣のエルマーを見ると、強い意志を宿した碧い瞳が、まっすぐリーダーグリフォンを見ている。
エルマーとも見つめ合うこと数分。
やっと考えが纏まったのか、はぁぁーと深い溜息を吐いた。
「わかった。名付けは儂がやろう。但し、名前はやはりシエナが考えてくれるか。その名をそこの政界の天使を介して儂に伝えてくれ」
それなら直接の名付けではないから文句はあるまいと、非常に不本意な様子で言い放った。
「グリフォンの長よ、はぐらかさないで下さい。彼女が名付けを行うのであれば、天界政府もそこに介入せざるを得なくなります」
先ほどとは違い、外交官の顔をしたエルマーは、上位種の名付けを人が行うことの危険性、魔素耐性があるとはいえ魔法知識も技術もない私が行った場合の起こり得る弊害を、リーダーグリフォンに説明し始めた。
私達が話している間に、興奮していたのは落ち着いたみたい。
長々と話していたが要約すると、いくら上位種とは言っても赤ちゃんは赤ちゃん、感情は垂れ流し状態となるため、常に繋がっている期間が長ければ双方に、特に人側に負担がかかること。
もし繋がっていることが外部に漏れた場合、本人達だけでなく群れ全体が危険に晒される可能性があること。
普段地上界で生活している私と繋がっていると、子どもの教育上色々と良くないことも勝手に知ってしまう可能性があること。
私には魔力がないので、繋がりを制御することはおそらく出来ないこと。
私を通して地上界を覗くことで、子どもの好奇心や興味を引いて、天界を抜け出す可能性があること。
魔素耐性が高いとはいえ、前例がない以上、私の体や精神にどんな影響が出るかわからないこと。
最後に、前代未聞の人による上位種の名付けを、天界政府として何もせず傍観することは出来ないこと。
あの少しの時間でここまで問題点を挙げられるとは、流石エルマーだ。素直に関心してしまう。
「これら全ての問題を解決できるのであれば、一旦私の上司に報告し、然るべき部署へと連絡を付けましょう。しかしそうなると、彼女には常に監視が付くことになり、非常に不便な生活が一生続くこととなるでしょう」
「そんな大層なことせんでも…」とリーダーグリフォンが喋り掛けると、「それだけで済めばまだいい方です」と遮り、更に酷い場合は死ぬまで監禁になるだろうと、エルマーは言う。
監禁は流石に嫌だなぁ。
監視も、まぁ、監禁よりはましかもしれないけど、仕事に支障が出るのは勘弁してほしいなぁ。
そう思っていたのが顔に出ていたのか、リーダーグリフォンは私をじっと見つめて何やら考え込んでいるようだ。
暫く黙り込んでいると、フッと視線が外れ、今度はエルマーをじっと見つめだした。
釣られて私も左隣のエルマーを見ると、強い意志を宿した碧い瞳が、まっすぐリーダーグリフォンを見ている。
エルマーとも見つめ合うこと数分。
やっと考えが纏まったのか、はぁぁーと深い溜息を吐いた。
「わかった。名付けは儂がやろう。但し、名前はやはりシエナが考えてくれるか。その名をそこの政界の天使を介して儂に伝えてくれ」
それなら直接の名付けではないから文句はあるまいと、非常に不本意な様子で言い放った。
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