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第4章 天界取材
67話 名付け騒動5
しかし、そんなすぐにいい名前など思いつくわけもなく、卵を眺めながら、気になっていたことを飼育員さんに聞いてみることにした。
「先ほど皆さんかなり興奮してらっしゃいましたけど、複数の卵が産まれることはそんなに珍しい事なのですか?」
「そりゃもう!グリフォンは普通1個しか卵を産まないんすよ。しかも、1個の卵に一つの命しか宿らないんで、繁殖がかなり難しいんすよね。それが!2個も!テンションぶち上げるしかないっすよ!」
卵が二つ、つまり双子が産まれたのは、歴史上初ではないかとのこと。
夫人は初産なので、まさか2個も身ごもってるなんて自身でもわかってなかったようで、一つ目を産み落とした後にまだもう一つお腹にいると気付いた時は驚いていたらしい。
それでも、冷静に二つ目の卵も産んだのだから、やはり母は強いものだ。
「卵の柄が違うのは、何か意味があるんですか?」
「特に意味はないっす。けど、統計的に色と柄がはっきりしている卵は、群れの長になれる素質を持つ強い子が産まれるって聞いたことがあるっす」
ということは、双子は共に強い個体で群れを治める地位に将来立つ可能性が高いという事みたいだ。
なんだかすごいことになってきたなぁ。
名付け親なんて安請け合いするんじゃなかったかも。責任重大な予感。
因みに、参考までにとリーダーと夫人の名前を聞いたところ、契約者以外には教えられないと断られた。残念。
「男女の目印とかはないんですか?」
「うーん、あんま聞かないっすけど…、………、え、えっ!そうなんすか!?初耳っすよ!」
世紀の大発見っす!と、一人で興奮しだしてしまった飼育員さんを宥めて話を聞いてみると、リーダーが言うには、寒色柄は雌、暖色柄は雄と決まっているらしい。
私の予想の逆だったけど、男女の双子であることは間違いないようだ。
リーダーが大きなヒントをくれたので、男女両方の名前で考えていく。
群れを率いる強い男女双子のグリフォン。
双子…… 男女…… 強い…上位種………
「あーだめだ。全く思い浮かばない…」
色々考えてはいるものの、これという名前が出てこない。
下手に思い付きで名付けるのもどうかと思うし、どうしようか悩んでいると、リトが横からそっと話しかけてきた。
「そんなに難しく考えなくていいんじゃないか?地上界で有名な双子の名前とかでも別にいいだろう」
群れの仲間と契約者にしか知られないのだからと、アドバイスをくれた。
「有名な双子かあ。小説とかだと、こういう時って太陽と月の意味の言葉で名付けることが多いんだけど…」
太陽の意味の言葉だと、ソル、ソーレ、シャムス、イリオス、ソレイル、ソアレ。
月の意味の言葉だと、ルナ、ルーナ、フェンガーリ、モーネ。
それぞれの言葉を思い出しながら、手帳を鞄から取り出して、書き出していく。
手元に影が差して顔を上げると、いつの間にか手帳を覗き込むように天使三人とリトが顔を近づけていた。リーダーに至っては、私たちの頭上から覗き込んでいて、手帳の真上に頭がある。
びっくりした…
「凄いっすね…、地上界には一つの意味の言葉がこんなにあるんすか」
「人間は世界共通言語である人語は皆喋れますが、それ以外にも州や一部地域のみで話されている言葉がたくさんあるんですよ」
「そういえば、それが興味深くて面白いと言って、ずっと研究してる堕天使がいたな」
「ああ、いたね。あの人まだ研究してるんだ」
「してるぞ。毎日飽きもせず地上界を覗いて、今年は年間滞在許可証を取得して地上界の僻地を回ってるらしい」
「それって、あまりにも研究に没頭しすぎて創造神への冒涜刑とか何とかで堕とされた、あの方のことですかな?」
堕天使って本当に存在するんだ。
異界人には有名なその人の話題に切り替わりそうになったところで、リーダーが焦れたように頭上から一鳴きし、話を戻した。
リーダーは人語の文字は読めないそうなので、飼育員さんが一つずつ読み上げてあげて、どれも響きが気に入ったようだった。
「どれもよい響きで、良い名になりそうだの」
「ありがとうございます。では、この中から決めますか?」
「うむ、そうしてくれ」
「因みに、リーダーさんが一番気に入ったものはどれでしょう?」
「それだと、儂の選択による名付けになるではないか。それでは意味がない。シエナが選んでくれなければ」
「…わかりました」
あわよくば、このままリーダーの気に入った名前で決定しないかなと思っていたことは、バレバレだったらしい。残念。
この際、異なる言語同士でも気にしないことにしよう。
そうなると、……これとこれかな。
「決めました」
エルマーに決めた名前を耳打ちし、リーダーグリフォンに伝えてもらう。
すると、早速とばかりにリーダーが卵へと顔を近づけていく。
リーダーグリフォンが白地にオレンジとピンクのドット柄の雄の卵へと口先を触れた途端に、卵が淡く光り、徐々に強く輝き始めた。
暫くして光が収まると口を卵から離し、もう一つの緑と青のマーブル模様の雌の卵へと口先を触れ、同様に光が溢れた。
二つ目の卵の光が消えると、頭を上げたリーダーがこちらを向いた。
「シエナよ。良き名を考えてくれた事、礼を言う」
「いえ、こちらこそ貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございます」
「うむ、我が子らが無事に孵ったら、再び来るといい。良き友となるだろう」
「先ほど皆さんかなり興奮してらっしゃいましたけど、複数の卵が産まれることはそんなに珍しい事なのですか?」
「そりゃもう!グリフォンは普通1個しか卵を産まないんすよ。しかも、1個の卵に一つの命しか宿らないんで、繁殖がかなり難しいんすよね。それが!2個も!テンションぶち上げるしかないっすよ!」
卵が二つ、つまり双子が産まれたのは、歴史上初ではないかとのこと。
夫人は初産なので、まさか2個も身ごもってるなんて自身でもわかってなかったようで、一つ目を産み落とした後にまだもう一つお腹にいると気付いた時は驚いていたらしい。
それでも、冷静に二つ目の卵も産んだのだから、やはり母は強いものだ。
「卵の柄が違うのは、何か意味があるんですか?」
「特に意味はないっす。けど、統計的に色と柄がはっきりしている卵は、群れの長になれる素質を持つ強い子が産まれるって聞いたことがあるっす」
ということは、双子は共に強い個体で群れを治める地位に将来立つ可能性が高いという事みたいだ。
なんだかすごいことになってきたなぁ。
名付け親なんて安請け合いするんじゃなかったかも。責任重大な予感。
因みに、参考までにとリーダーと夫人の名前を聞いたところ、契約者以外には教えられないと断られた。残念。
「男女の目印とかはないんですか?」
「うーん、あんま聞かないっすけど…、………、え、えっ!そうなんすか!?初耳っすよ!」
世紀の大発見っす!と、一人で興奮しだしてしまった飼育員さんを宥めて話を聞いてみると、リーダーが言うには、寒色柄は雌、暖色柄は雄と決まっているらしい。
私の予想の逆だったけど、男女の双子であることは間違いないようだ。
リーダーが大きなヒントをくれたので、男女両方の名前で考えていく。
群れを率いる強い男女双子のグリフォン。
双子…… 男女…… 強い…上位種………
「あーだめだ。全く思い浮かばない…」
色々考えてはいるものの、これという名前が出てこない。
下手に思い付きで名付けるのもどうかと思うし、どうしようか悩んでいると、リトが横からそっと話しかけてきた。
「そんなに難しく考えなくていいんじゃないか?地上界で有名な双子の名前とかでも別にいいだろう」
群れの仲間と契約者にしか知られないのだからと、アドバイスをくれた。
「有名な双子かあ。小説とかだと、こういう時って太陽と月の意味の言葉で名付けることが多いんだけど…」
太陽の意味の言葉だと、ソル、ソーレ、シャムス、イリオス、ソレイル、ソアレ。
月の意味の言葉だと、ルナ、ルーナ、フェンガーリ、モーネ。
それぞれの言葉を思い出しながら、手帳を鞄から取り出して、書き出していく。
手元に影が差して顔を上げると、いつの間にか手帳を覗き込むように天使三人とリトが顔を近づけていた。リーダーに至っては、私たちの頭上から覗き込んでいて、手帳の真上に頭がある。
びっくりした…
「凄いっすね…、地上界には一つの意味の言葉がこんなにあるんすか」
「人間は世界共通言語である人語は皆喋れますが、それ以外にも州や一部地域のみで話されている言葉がたくさんあるんですよ」
「そういえば、それが興味深くて面白いと言って、ずっと研究してる堕天使がいたな」
「ああ、いたね。あの人まだ研究してるんだ」
「してるぞ。毎日飽きもせず地上界を覗いて、今年は年間滞在許可証を取得して地上界の僻地を回ってるらしい」
「それって、あまりにも研究に没頭しすぎて創造神への冒涜刑とか何とかで堕とされた、あの方のことですかな?」
堕天使って本当に存在するんだ。
異界人には有名なその人の話題に切り替わりそうになったところで、リーダーが焦れたように頭上から一鳴きし、話を戻した。
リーダーは人語の文字は読めないそうなので、飼育員さんが一つずつ読み上げてあげて、どれも響きが気に入ったようだった。
「どれもよい響きで、良い名になりそうだの」
「ありがとうございます。では、この中から決めますか?」
「うむ、そうしてくれ」
「因みに、リーダーさんが一番気に入ったものはどれでしょう?」
「それだと、儂の選択による名付けになるではないか。それでは意味がない。シエナが選んでくれなければ」
「…わかりました」
あわよくば、このままリーダーの気に入った名前で決定しないかなと思っていたことは、バレバレだったらしい。残念。
この際、異なる言語同士でも気にしないことにしよう。
そうなると、……これとこれかな。
「決めました」
エルマーに決めた名前を耳打ちし、リーダーグリフォンに伝えてもらう。
すると、早速とばかりにリーダーが卵へと顔を近づけていく。
リーダーグリフォンが白地にオレンジとピンクのドット柄の雄の卵へと口先を触れた途端に、卵が淡く光り、徐々に強く輝き始めた。
暫くして光が収まると口を卵から離し、もう一つの緑と青のマーブル模様の雌の卵へと口先を触れ、同様に光が溢れた。
二つ目の卵の光が消えると、頭を上げたリーダーがこちらを向いた。
「シエナよ。良き名を考えてくれた事、礼を言う」
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