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第4章 天界取材
69話 ふわもふ
エルマーが戻って来てからは、園長さんに丁寧に挨拶されながらグリフォンの獣舎を後にし、ふれあいコーナーへ向かうことになった。
名付け騒動で三人とも疲れてしまったので、癒しを求めていたのだ。
転移ステーションで移動し、電話ボックスのような空間から出ると、そこにはあちらこちらにふわふわもふもふの小動物たちの姿が。
ウサギ、キツネ、羊、アルパカ、ペンギン、モルモット、ポニー、カピバラ、ヒヨコ、フクロウ、などなど。
草食動物から水辺の生き物まで、多種多様な動物たちがそれぞれのエリアごとに分かれて触れ合えるようになっている。
そのほとんどが白い子たちで、遠目から見ても美人さんぞろいなのがわかる。
早速一番近くにあったウサギとモルモットのエリアへと向かう。
タイミングが良かったのか、すぐに案内してもらえて、汚れ防止のエプロンを付けて、動物たちの元へ。
「うわぁ~!かわいい~!」
目の前には、真っ白なウサギが三匹。
一匹は耳の先がベージュの毛で、一匹は足先が薄っすら淡いピンク色、一匹は全身真っ白。
地上界の一般的なウサギよりも少し小さいようだ。人慣れしているのか、鼻をひくひくさせながらこちらに寄ってきてくれた。
その場にしゃがむと、足先が淡いピンク色の子が膝に前足を乗せてきて、伸びをするように顔を近づけてくる。そっと背中を撫でると、ふわふわの手触りの良い毛に指が覆われた。
なにこれ、すっごい手触りいいんですけど!
人懐っこいところもすんごいかわいいんですけど!!
しかも、いつの間にか完全に足の上に登って来ていて、そこからさらに上に伸び上がってもう少しで鼻先が私の顎に触れそうな距離になっている。
ひそかに悶絶していると、誰かがひょいっと首の後ろを掴んでピンクの子が離れて行ってしまった。
目で追うと、隣に座ったリトがピンクの子の首を掴んだままじーっとその子と見つめ合っている。
リトもピンクの子と触れ合いたかったのかな?
他の色の子たちよりも積極的なようで、一番最初に近づいてきた子なので、触りやすいのかもしれない。
そんなことを思っていると、首根っこを掴まれていることがお気に召さなかったのか、リトの顔目掛けて後ろ足でベシベシとキックをし始めた。
流石にびっくりしたのかリトが手を離してしまい、その瞬間サッとこちらへと逃げてきて、再び私の膝の上へ。
そして撫でろと言わんばかりに、体を押し付けてくる。
今のは何だったのかと思いつつも、ふわふわな毛並みを堪能していると、「ふっくふっ」と笑い声が後ろから聞こえた。
振り返ると、口元に手を当てたエルマーが肩を震わせて笑いを我慢しているのが目に入った。
今の間になにか面白い事なんてあったっけ?
「エルマー、どうしたの?」
「くふっ、…ううん、なんでもないよ。ふふっ」
そう言って、リトとは逆側に座って、真っ白の子を抱き上げた。
嫌がる様子もなく、大人しく撫でられている子は、エルマーの膝の上で寝始めてしまった。
リトは暫くピンクの子を見ていたようだけど、近くに来たベージュの子を撫でていた。
なんだかよくわからないけど二人とも癒されているようで良かったと、この時に二人の間で交わされていた会話を知らない私は、呑気に二人に挟まれてもふもふを堪能していた。
* * *
(お前、流石にウサギに嫉妬とか、ふふっ、恥ずかしくないの?)
(…うるさい。お前に関係ないだろう)
(ふふっ、まあそうだけどさ。でもピンクの子はあからさまだね。シエナは気づいてないみたいだけど、完全にロックオンされてる)
(わかってるなら、一々絡んでくるな)
(でも、たかが動物のウサギだよ?魔獣じゃあるまいし。なのに、…ぷくくっ)
(おい、いつまで笑ってるつもりだ)
(だって…、ふはははっ)
(……)
(はあ、可笑しい。ああ、そうだ。僕もピンクの子みたいにもう少しシエナに積極的にいこうかな)
(…は?)
(いいよね?だって君たちって、距離は近いけどそういう関係じゃないんでしょ?だったら、僕にもチャンスはあるよね)
(…………は?)
名付け騒動で三人とも疲れてしまったので、癒しを求めていたのだ。
転移ステーションで移動し、電話ボックスのような空間から出ると、そこにはあちらこちらにふわふわもふもふの小動物たちの姿が。
ウサギ、キツネ、羊、アルパカ、ペンギン、モルモット、ポニー、カピバラ、ヒヨコ、フクロウ、などなど。
草食動物から水辺の生き物まで、多種多様な動物たちがそれぞれのエリアごとに分かれて触れ合えるようになっている。
そのほとんどが白い子たちで、遠目から見ても美人さんぞろいなのがわかる。
早速一番近くにあったウサギとモルモットのエリアへと向かう。
タイミングが良かったのか、すぐに案内してもらえて、汚れ防止のエプロンを付けて、動物たちの元へ。
「うわぁ~!かわいい~!」
目の前には、真っ白なウサギが三匹。
一匹は耳の先がベージュの毛で、一匹は足先が薄っすら淡いピンク色、一匹は全身真っ白。
地上界の一般的なウサギよりも少し小さいようだ。人慣れしているのか、鼻をひくひくさせながらこちらに寄ってきてくれた。
その場にしゃがむと、足先が淡いピンク色の子が膝に前足を乗せてきて、伸びをするように顔を近づけてくる。そっと背中を撫でると、ふわふわの手触りの良い毛に指が覆われた。
なにこれ、すっごい手触りいいんですけど!
人懐っこいところもすんごいかわいいんですけど!!
しかも、いつの間にか完全に足の上に登って来ていて、そこからさらに上に伸び上がってもう少しで鼻先が私の顎に触れそうな距離になっている。
ひそかに悶絶していると、誰かがひょいっと首の後ろを掴んでピンクの子が離れて行ってしまった。
目で追うと、隣に座ったリトがピンクの子の首を掴んだままじーっとその子と見つめ合っている。
リトもピンクの子と触れ合いたかったのかな?
他の色の子たちよりも積極的なようで、一番最初に近づいてきた子なので、触りやすいのかもしれない。
そんなことを思っていると、首根っこを掴まれていることがお気に召さなかったのか、リトの顔目掛けて後ろ足でベシベシとキックをし始めた。
流石にびっくりしたのかリトが手を離してしまい、その瞬間サッとこちらへと逃げてきて、再び私の膝の上へ。
そして撫でろと言わんばかりに、体を押し付けてくる。
今のは何だったのかと思いつつも、ふわふわな毛並みを堪能していると、「ふっくふっ」と笑い声が後ろから聞こえた。
振り返ると、口元に手を当てたエルマーが肩を震わせて笑いを我慢しているのが目に入った。
今の間になにか面白い事なんてあったっけ?
「エルマー、どうしたの?」
「くふっ、…ううん、なんでもないよ。ふふっ」
そう言って、リトとは逆側に座って、真っ白の子を抱き上げた。
嫌がる様子もなく、大人しく撫でられている子は、エルマーの膝の上で寝始めてしまった。
リトは暫くピンクの子を見ていたようだけど、近くに来たベージュの子を撫でていた。
なんだかよくわからないけど二人とも癒されているようで良かったと、この時に二人の間で交わされていた会話を知らない私は、呑気に二人に挟まれてもふもふを堪能していた。
* * *
(お前、流石にウサギに嫉妬とか、ふふっ、恥ずかしくないの?)
(…うるさい。お前に関係ないだろう)
(ふふっ、まあそうだけどさ。でもピンクの子はあからさまだね。シエナは気づいてないみたいだけど、完全にロックオンされてる)
(わかってるなら、一々絡んでくるな)
(でも、たかが動物のウサギだよ?魔獣じゃあるまいし。なのに、…ぷくくっ)
(おい、いつまで笑ってるつもりだ)
(だって…、ふはははっ)
(……)
(はあ、可笑しい。ああ、そうだ。僕もピンクの子みたいにもう少しシエナに積極的にいこうかな)
(…は?)
(いいよね?だって君たちって、距離は近いけどそういう関係じゃないんでしょ?だったら、僕にもチャンスはあるよね)
(…………は?)
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