10年に一度の異界交流で、天使と悪魔に迫られています

七居

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第4章 天界取材

閑話 あいどるうさぎのとある一日

 おれは天界動物園ふれあいコーナーで一番人気のうさぎだ。
 薄っすら淡いピンク色の足先がチャームポイントなのだ。撫でてくる人間たちは、誰もが可愛い可愛いといって、おれを触るんだ。
 だから、おれはここで一番人気なんだ!

 今日も朝から、いつも通り人間たちをメロメロにしてやって、休憩時間に一度家に戻ってご飯を貰って少し昼寝して、それからまた仕事に戻る。
 お、昼一発目の人間が来たぞ!
 ふむふむ、一人は天使か。まあまあな見た目をしているな。まあ、おれの足元にも及ばないがな!
 あと、黒いやつは、あれは悪魔ってゆうやつか?見た目的に。黒いし。
 かしこいおれは知ってるんだ。黒いヒトは悪魔っていう天使の敵なんだ。世話係がそう言ってた。
 悪魔の事はあまりよく知らないが、まあおれに敵う存在ではないな。おれの方が可愛いし。
 最後の一人は、人間の女だな。
 ん?あれは・・・
 あれは・・・・・!





 めっっっっっっっちゃタイプだ!!!
 おれの隣にいても見劣りしないほどの可愛い人間!!
 え、なに、今日の世話係ぐっじょぶじゃねーか!!

 おれはこの時、うさぎ生で初めて一目惚れというやつをしてしまったらしい。
 頭の茶色もふわふわだし、肌も白くてすべすべそうだし、変な色の爪をやたらと伸ばしてないし!
 あれ、結構引っかかって痛いんだよな~。それにあの色、あれ絶対ヤバい病気だろ。移ったらどうしてくれるんだっていつも思ってる。
 って、そんなことは今はどうでもいいんだよ。
 人間の女、名前何て言うんだろ?
 あ、そこで止まるな!こっちまでさっさと来いよ!
 あーもう!じれったい!
 そっちから来ないなら、こっちから行ってやるぜ!


 可愛いと評判のぴょんぴょん飛びで女の所まで近づき、女がやっとおれに触る体制に入ったので、遠慮なく膝の上に登っていく。
 うお、ちょっとむぎゅっとした女の足の感覚が自分の足の裏から伝わってきた。
 服越しでもわかるくらい、柔らかいな。気持ちいい感触だぞ。
 さあ遠慮なくなでていいぞ!
 一番人気のおれの自慢の毛は、毎日欠かさず毛繕いして、何日かに一回風呂で世話係に丁寧に洗わせてるから、ふわふわもふもふで触り心地抜群だぞ!
 そんでもって、触らせてる間に、もうちょっと女の顔をしっかり見たいから、近づけさせろ。
 顔に乗ってる透明な分厚いやつが邪魔で、はっきりと顔がみえないんだよ。それ取ってくんないかな。
 鼻が勝手にひくひくして、あともうちょっとで女の顔に届きそうだ。

 って、うわぁっ!!!なんだっ!!!敵かっ!!??

 首の後ろを急に掴まれて、驚いて固まってしまったじゃねえか!!
 お、落ち着け、おれ。ここは安全な場所なんだから、敵が来ることは絶対ないんだ。
 家では偶に世話係がこうやっておれたちを掴むこともあるが、それは大勢いる仲間たちを一度に移動させるときによくされることだ。
 だから、家にいるときにはびっくりはするが慌てはしない。
 でも、仕事中は絶対掴まれることはないから、油断してたぜ。

 よしよし、落ち着いてきたぞ。いいぞ、おれ!
 さて、仕事中の大人気うさぎであるこのおれを掴みやがった不届き者は、どこのどいつだ!
 自分の周りを観察すると、黒い悪魔がおれを見ていた。
 これは、睨まれてるのか?
 うーん、喜んではいないことは分かるぞ。でも、仕事中のおれに対して、こんな顔したやつなんて、居たことなかったから、これがどういう感情ってやつなのかまでは分からん。
 とりあえず大人しく黒い悪魔と見つめ合ってみる。


 うーん、やっぱりさっぱりわからん。
 というか、おれは今女を口説くのに忙しいんだから、邪魔すんじゃねえよ!
 ってことで、仕事中は何しても許されるのを良い事に、黒い悪魔の顔目掛けて足蹴りしてやった。
 お、一発目は真ん中に当たったぞ!もう一発!・・・は、届かなかった。くそう。

 おわぁっ!今度は急に掴んでたのを放しやがった!
 しかし、おれは天界動物園のあいどるうさぎ。慌てることなく華麗に着地してみせた。
 その勢いのまま女の膝上に避難し、体をぎゅっと押し付ける。
 どうだ?怖かったから慰めてくれよって感じに見えただろ?可愛いだろっ!!

 その後は、黒い悪魔はおれのことを暫く見ていたが、耳の先がうっすい茶色をした仲間を撫でていた。
 でも、視線は時々おれの方を見ていて、なんだかその度に嬉しくて、女に優しくやさしーく撫でられているおれの姿を見せつけてやった。ふふふん。

 そんな感じでまったりし始めた時、急に女の後ろ側から濃い茶色の耳が垂れた最近入った新入りうさぎが顔を出した。
 おん?なんだよ、新入り。お前もこの女の良さがわかるのか?
 そーか、そーか!でもやらねえぞ!こいつはおれの女だからな!
 先輩の余裕を見せてやるぜ。

 ということで、気にしてませんよ~という雰囲気を出してると、女が「かわいい~」と言って、そいつを何と抱き上げたではないか!!?
 なっ!どういうことだよ!おれの女になったんじゃ無かったのかよ!?さっきまであんなにおれの自慢のふわもふの毛の虜だったじゃねえか!!?

 女は垂れ耳の新入りを事もあろうか胸に抱き、よしよしし始めた。

 おれもまだしてもらってないのに!おれより先に女の一番柔らかい場所に触りやがって!新入りの癖にっ!!
 おい女!おれもその胸に抱きしめろ!!お前はおれの女だろう!!
 後ろ足で立って新入りを抱きしめてる腕を前足で掴んだり叩いたりしてみたが、おれの頭を撫でるだけで抱きしめようとはしてこない。

 ちっがーーう!!そうじゃなーーーい!!
 おれに向けられた腕を前足でがっちり捕まえて、体へと誘導するが、上手くいかない。
 くそうっ!これも全て新入りがおれの女に近づいてきたせいだ!!後で覚えてろよ!!

 って、うわぁぁぁぁぁぁ!!またかよ!!今度は何だよ!!

 腹のあたりを両側から掴まれて持ち上げられ、なんだかしっくりと収まって安心する角度で抱き上げられた。
 って、安心してる場合じゃない!
 見上げると、黒い悪魔。
 むきゅ――――――!!ちっがーーう!!お前じゃないの!!あの子がいいの――ー!!

 バタバタと手足を動かして黒い悪魔に攻撃するも、今回は一つもかすりもしない。
 ちくしょうっ!何だってんだっ!というか、いい加減放せこのやろう!!!
 がっちりと固定されて動けなくされて、結局この後最後まで女の所には行けなかった。
 それもこれも、全部、全部、垂れ耳の新入りのせいだ――――!!!



 その夜、退勤してご飯も食べ終わって、世話係と仲間を引き連れて寝床へと向かい、世話係が扉を閉めて退勤したのを見送ってから、おれはあるやつの元へと向かっていた。

「おい、新入り」
「あ、せんぱい。どうしたのー?」
「どうしたのーじゃねえ!!このやろう、昼間はよくもおれの女に抱かれやがって!!」
「え?ぼく、なにかしたっけ?」
「てめえ―――!!ふざけんな―――!!」


 この日は、珍しく夜遅くまで、きゅーきゅーとウサギ獣舎が騒がしかったとか。


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この時何が起こってたのか気になる方は、ムーライトノベルズ様の方の閑話うさぎと悪魔と天使と(シエナ視点)をどうぞ(^ω^)

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