10年に一度の異界交流で、天使と悪魔に迫られています

七居

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第4章 天界取材

70話 ペガサス獣舎

 ウサギたちを十分に堪能した後は、モルモットに埋もれて、羊とカピバラとアルパカに抱き着き、ポニーに癒され、ペンギンのお散歩に付いて行き、キツネのふわもふの尻尾に叩かれて、ふれあいコーナーを後にした。

 かわいい子たちに存分に癒されて気持ちが満たされると、急にお腹が空いていることに気が付いた。
 お昼ご飯の時間を大幅に過ぎていたため、エルマーの勧めで園内のレストランで遅い昼食を取ることになった。
 席は混雑時を過ぎていたため空いていて、広めのテーブルでゆっくりすることができた。

 食べた後、閉園時間まであと2時間ほどしかなく、最後にユニコーンを見るのは確定として、「あともう一種類くらいは見に行けるけど、どうする?」とエルマーが聞いてきた。

「じゃあ、せっかくだから、あれも見たいな」




 ということで、気になっていたペガサスの元へとやって来た。
 ペガサスは、馬に翼が生えている魔獣で、ユニコーンと似ているが、頭に角は生えていない。地上界でよく見る馬と毛色がほとんど変わらないみたいだ。
 黒毛は流石に存在しないけれど、他の動物や魔獣は白毛や白が混ざった色のものが多いのに、ペガサスは暗い色の毛のものも一定数居るのだという。
 これは、対人間策で、交流年で天界へとやって来た人間が、あまりに白い動物ばかりだと目がしょぼしょぼすると言ったことが昔あったらしく、では馬だけでも身近な色のものをと研究して産まれたらしい。
 ペガサスはそんな馬から時々産まれる翼を生まれつき持つ魔獣のことを指す。
 動物から魔獣が産まれることは時々あるため、そこまで珍しくはないことらしい。そして、魔獣から動物が産まれる逆パターンもあるが、こちらはかなり珍しいためほとんど確認されていないようだ。

 因みに、野生のペガサスは居らず、動物園で飼育されているペガサス以外は全て、軍に所属している。
 動物の馬と同様に調教がしやすく体力もあり、馬よりも体が大きく、悪魔相手でも委縮したり混乱することがないため、天魔戦争時代から戦場に駆り出されていたそうだ。
 今もその時代の名残で、軍で飼育されているらしい。

 そして例外として、白毛のペガサスは交流年時のみ馬車を引いている。
 ユニコーンの引く馬車は賓客用のため、一般の観光客は普段は見ることすらままならないのだが、白毛のペガサスならば軍にそれなりに居るのだ。
 それを、『人間の女は何故か白馬に夢を抱いている者が多い』と何処かから聞きつけた商魂逞しい馬車を管理していた昔の担当者が、ダメ元で企画書を軍へ提出したら、あっさり許可が出たので、交流年の一年間のみ白毛のペガサスを軍が貸し出すことになったそうだ。

 しかもそれが爆発的に大流行し、今では白毛ペガサスの馬車は完全予約制となっており、三か月先まで予約が埋まるほど大人気となっている。
 私も取材中に何度か見かけたことがあるけれど、ユニコーンと違って翼も全て真っ白で、箱車も通常のものとデザインが異なり豪華に装飾されているので、本当に物語に出てくる『王子様とお姫様が乗っている白馬が引く馬車』そのものなのだ。

 動物園のペガサスは、色がバラバラで十頭ほど飼育されている。もちろん白毛もいて、やはり一番人気らしい。
 ペガサスはユニコーンと違って社交的な性格らしく、柵のギリギリまで近づいてきてくれるので、飼育員さんが近くに居れば撫でることもできるらしい。
 白毛以外の毛のペガサスは、翼の根本が体と同じ色で、先へいくほど白い羽根が混じっているような色合いをしていた。
 白が多く混じった栗毛の子が近くに寄ってきてくれたので、近くに居た飼育員さんにお願いして、撫でさせてもらった。

「大人しいねぇ」
「観光客慣れしてるんだろうね。軍のペガサスはもっと気性の荒いのが多いよ」
「そうなんだ。でも馬車を引いてるペガサスたちは、暴れたりしないよね?」
「僕も詳しくは知らないんだけど、特別な条件付きで契約してるんじゃないかなぁ」
「観光客に怪我でもさせたら大変だしな。その辺は上手く手綱を握っているんだろう」
「なるほど」

 三人とも順番に撫でさせてもらってから、ペガサスのエリアを後にした。


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