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第4章 天界取材
78話 迷子・・・? リトside
リストを見ながらあちこちにある商店を順に回っていく。
同じ区域に纏まっていないため、移動だけでもかなり時間が掛かった。
しかも、どの商店も裏路地の分かりにくい場所にあり、なかには看板すら出ていない店や入り口を隠蔽魔法で隠している店もある始末。果たしてこれで商売が成り立っているんだろうか。
やっとのことで店を見つけて中に入ると、どの店も窓のない店内は薄暗く、光源は棚に置かれた素材や魔石などが発する淡い光のみ。
光による劣化を防ぐためとはいえ、専用の魔法も魔道具もあるのになぜそれらを使わないのだろうか。
魔界の素材屋も同じような店内だが、あれはそもそも悪魔が暗闇を好むためなのと、知らずに入った客を脅かすためにやっている。
しかし、天使は流石に違う理由だと思うのだが、面倒くさいので聞いたことはない。
暗視を発動して目を慣らしてから奥へ進み、兄から預かった手紙を店主に見せると、怪訝な顔を隠しもせずに受け取り、読み終えるとその顔を更に不快に歪ませながらも、帳簿や商談の記録などを取り出す。
それを速読しながら必要な部分を転写し、同時に兄に送る報告書を作成しながら纏めていく。
店主からの視線を無視して調査を短時間で終わらせ、問題が無かったので今後も取引続行の証として仮の契約書を渡す。報告を受けた兄から、後日正式な契約書が送られることになっているのだ。
そんなことを数店舗繰り返し、全ての商店に問題がない事を確認し終わると、さっさと報告を済ませるために一旦ホテルへ戻ろうと、馬車止まりまで歩き始める。
確かこっちの方向だったなと、記憶を頼りに進むが、一向に馬車止まりが見えてこない。
「ん? どこかで道を間違ったか?」
少し戻っては違う道を行ったり、大通りへ出る道らしき小道を進むも、なぜか行き止まりに行きついたり。
そうこうしている内に、周りの建物が同じような白い建物に変わってきた。
一旦立ち止まり、周りを見渡すも、右も左も前も後ろも全部同じ建物しかない。
これはもしや……と思い始めた時、エルマーから取材終了の連絡が入った。
(こっちは取材終わったよ。今どこにいるの?)
(商業区域の裏路地だ)
(えぇ? なんでそんなところに…… まあいいや。商業区域のどの辺?)
(分からん)
(……は?)
とりあえず周りに何が見えるか聞かれたので、全く同じ白い建物がたくさんあると答えたら、(それだけじゃこっちだって場所の特定なんてできないよ!!)とキレられた。
(ちょっとそのまま待ってて。今君のいる場所探すから)
悪魔は天界での魔法使用は制限されているため、普段なら当たり前に魔法でしている事でも出来ないことが多い。
今回も、普段なら初めて行く場所ではマッピングをしながら移動するところだが天界では使用禁止だったので、道順を覚えながら移動していた。
きちんと覚えていたと思ってたんだがな。記憶力が下がったか?
そして待つこと数分、迷子が確定されてしまった。
(なんで住宅街のド真ん中に居るんだよ?)
探してくれたエルマーによると、商業区域の中でもかなり端にある場所で、天使ですらほとんど近寄らない地域らしい。
曰く、変人による変人の為の変人の家が集まった集落。
(類友で吸い寄せられたとか……?)
よくわからない言葉を呟いてはいるが、居場所はわかったのでこれで帰れるだろう。
一時はどうなることかと思ったが、とりあえず一安心だ。
(ところで、なんでそんな場所にいるんだよ)
(兄に頼まれた仕事をしていただけだ)
(ふーん。まあ君自身も家の商売も問題なしって報告聞いてるから、大丈夫だと思うけど)
(当たり前だ。悪魔の中では我が家は疾しいことなど一切ないのが売りだからな)
(ホント不思議なくらいクリーンな商店だよねえ。それはさておき、帰り方だけどね)
エルマーから馬車止まりまでの行き方を聞いて、ホテルで合流することにして通信を切る。
馬車止まりまで歩いて二十分、馬車でホテルまで十分、計三十分で帰れるとのことだった。
教わった通りの道を歩きながら、思い浮かべるのはシエナの顔。
魔法を目にした時のシエナは、目がキラキラしていて、全身からワクワクした気配が溢れ出ていて、ずっと見ていたくなるくらいに綺麗なのだ。勿論普段から綺麗なのだが、その時が一番輝いている。
その顔を見たいが為に、休日にサーカスや魔法体験に誘って連れ出したくらいだ。
母親との約束のせいで前回の交流年は全く楽しめないどころか、情報すら見聞きできなかったそうだから、その時の分まで思いっきり堪能してほしい。
そして、彼女の隣でそのキラキラした瞳をずっと眺めていたい。
そんなことを考えていると、無性にシエナに会いたくなってきた。
今日は何故か早朝から取材だったため、まだ一度も会っていない。
見送りすらできなかったのは、エルマーの嫌がらせだろうな。
……はあ、早くシエナに会いたい。
+ + + + +
リトお使い中の裏話。
素材屋の天使たちは、全員同じことを思っていました。
「なんで同時にいくつも魔法を展開できるんだ???」
リトの周りに浮いているいくつもの書類と、そこへ記入される文字の速さ、帳簿を読む速さに、一つ一つは大した魔法ではないし、事務職には必須の魔法ばかりだけれど、それなりに集中力の居る魔法ばかりの為、普通は同時に展開できるのは多くても二つくらいです。
それを、分かるだけでも四つ同時展開しているため、「なんだこいつ」と珍獣を見るような目で見つめていたのでした。
リト本人は、特に意識してやっているわけではなく、単純に早く終わらせるために魔法を使っているので、それが普通ではないことに気づいていません。
転写魔法は本来は悪魔は天界で使用禁止されているのですが、素材屋店主の天使に許可を取っているため、無問題。
同じ区域に纏まっていないため、移動だけでもかなり時間が掛かった。
しかも、どの商店も裏路地の分かりにくい場所にあり、なかには看板すら出ていない店や入り口を隠蔽魔法で隠している店もある始末。果たしてこれで商売が成り立っているんだろうか。
やっとのことで店を見つけて中に入ると、どの店も窓のない店内は薄暗く、光源は棚に置かれた素材や魔石などが発する淡い光のみ。
光による劣化を防ぐためとはいえ、専用の魔法も魔道具もあるのになぜそれらを使わないのだろうか。
魔界の素材屋も同じような店内だが、あれはそもそも悪魔が暗闇を好むためなのと、知らずに入った客を脅かすためにやっている。
しかし、天使は流石に違う理由だと思うのだが、面倒くさいので聞いたことはない。
暗視を発動して目を慣らしてから奥へ進み、兄から預かった手紙を店主に見せると、怪訝な顔を隠しもせずに受け取り、読み終えるとその顔を更に不快に歪ませながらも、帳簿や商談の記録などを取り出す。
それを速読しながら必要な部分を転写し、同時に兄に送る報告書を作成しながら纏めていく。
店主からの視線を無視して調査を短時間で終わらせ、問題が無かったので今後も取引続行の証として仮の契約書を渡す。報告を受けた兄から、後日正式な契約書が送られることになっているのだ。
そんなことを数店舗繰り返し、全ての商店に問題がない事を確認し終わると、さっさと報告を済ませるために一旦ホテルへ戻ろうと、馬車止まりまで歩き始める。
確かこっちの方向だったなと、記憶を頼りに進むが、一向に馬車止まりが見えてこない。
「ん? どこかで道を間違ったか?」
少し戻っては違う道を行ったり、大通りへ出る道らしき小道を進むも、なぜか行き止まりに行きついたり。
そうこうしている内に、周りの建物が同じような白い建物に変わってきた。
一旦立ち止まり、周りを見渡すも、右も左も前も後ろも全部同じ建物しかない。
これはもしや……と思い始めた時、エルマーから取材終了の連絡が入った。
(こっちは取材終わったよ。今どこにいるの?)
(商業区域の裏路地だ)
(えぇ? なんでそんなところに…… まあいいや。商業区域のどの辺?)
(分からん)
(……は?)
とりあえず周りに何が見えるか聞かれたので、全く同じ白い建物がたくさんあると答えたら、(それだけじゃこっちだって場所の特定なんてできないよ!!)とキレられた。
(ちょっとそのまま待ってて。今君のいる場所探すから)
悪魔は天界での魔法使用は制限されているため、普段なら当たり前に魔法でしている事でも出来ないことが多い。
今回も、普段なら初めて行く場所ではマッピングをしながら移動するところだが天界では使用禁止だったので、道順を覚えながら移動していた。
きちんと覚えていたと思ってたんだがな。記憶力が下がったか?
そして待つこと数分、迷子が確定されてしまった。
(なんで住宅街のド真ん中に居るんだよ?)
探してくれたエルマーによると、商業区域の中でもかなり端にある場所で、天使ですらほとんど近寄らない地域らしい。
曰く、変人による変人の為の変人の家が集まった集落。
(類友で吸い寄せられたとか……?)
よくわからない言葉を呟いてはいるが、居場所はわかったのでこれで帰れるだろう。
一時はどうなることかと思ったが、とりあえず一安心だ。
(ところで、なんでそんな場所にいるんだよ)
(兄に頼まれた仕事をしていただけだ)
(ふーん。まあ君自身も家の商売も問題なしって報告聞いてるから、大丈夫だと思うけど)
(当たり前だ。悪魔の中では我が家は疾しいことなど一切ないのが売りだからな)
(ホント不思議なくらいクリーンな商店だよねえ。それはさておき、帰り方だけどね)
エルマーから馬車止まりまでの行き方を聞いて、ホテルで合流することにして通信を切る。
馬車止まりまで歩いて二十分、馬車でホテルまで十分、計三十分で帰れるとのことだった。
教わった通りの道を歩きながら、思い浮かべるのはシエナの顔。
魔法を目にした時のシエナは、目がキラキラしていて、全身からワクワクした気配が溢れ出ていて、ずっと見ていたくなるくらいに綺麗なのだ。勿論普段から綺麗なのだが、その時が一番輝いている。
その顔を見たいが為に、休日にサーカスや魔法体験に誘って連れ出したくらいだ。
母親との約束のせいで前回の交流年は全く楽しめないどころか、情報すら見聞きできなかったそうだから、その時の分まで思いっきり堪能してほしい。
そして、彼女の隣でそのキラキラした瞳をずっと眺めていたい。
そんなことを考えていると、無性にシエナに会いたくなってきた。
今日は何故か早朝から取材だったため、まだ一度も会っていない。
見送りすらできなかったのは、エルマーの嫌がらせだろうな。
……はあ、早くシエナに会いたい。
+ + + + +
リトお使い中の裏話。
素材屋の天使たちは、全員同じことを思っていました。
「なんで同時にいくつも魔法を展開できるんだ???」
リトの周りに浮いているいくつもの書類と、そこへ記入される文字の速さ、帳簿を読む速さに、一つ一つは大した魔法ではないし、事務職には必須の魔法ばかりだけれど、それなりに集中力の居る魔法ばかりの為、普通は同時に展開できるのは多くても二つくらいです。
それを、分かるだけでも四つ同時展開しているため、「なんだこいつ」と珍獣を見るような目で見つめていたのでした。
リト本人は、特に意識してやっているわけではなく、単純に早く終わらせるために魔法を使っているので、それが普通ではないことに気づいていません。
転写魔法は本来は悪魔は天界で使用禁止されているのですが、素材屋店主の天使に許可を取っているため、無問題。
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