拝啓、空の彼方のあなたへ -1000の手紙-

emi

文字の大きさ
330 / 356
2019年

節分

しおりを挟む
あなたへ

 

今日は、節分の日です。

毎年、この日には、家族3人で、豆まきをしましたね。

 

あなたは、覚えていますか。

 

鬼のお面を付けて、

あの子に襲いかかろうとするあなたの姿に喜んで、

大騒ぎをしながら、豆を投げていたあの子だったけれど、

外に逃げたあなたを追いかけながら、

突然、泣き出してしまった、幼い頃のあの子のことを。

 

あれは、

あの子がまだ、3歳くらいの頃だったでしょうか。

 

あの日、家の中で、大暴れをした緑色の鬼さん。

 

あの子に豆まきで退治され、

外に出た緑色の鬼さんを追いかけて、あの子も靴を履いたけれど、

急に、緑色の鬼さんに豆を投げることが可愛そうに感じたあの子は、

外へ出ると、

豆を投げることをやめて、泣き出してしまったのでした。

 

だって、緑色の鬼さんは、大好きなパパだから。

 

鬼のお面を外したあなたが、

泣いている小さなあの子をギュッと抱き締めたあの日のこと、

今でもよく覚えています。

 

いつでも、私たちが予想もしないやり方で、

成長を見せてくれたあの子。

 

なんだか、胸がいっぱいになりながら、

年の数だけ、豆を食べたあの年が、

節分の日の思い出の中でも一番、印象に残っています。

 

毎年、

鬼は外、福は内と、大きな声で、豆まきをしていた我が家ですが、

あなたを見送り、あの子の成長と共に、

もう、大きな声で、豆まきをすることはなくなりました。

 

豪勢に蒔いていた豆も、今は、ひと粒ずつ。

 

今年も、とても小さな声で、豆まきを終えると、

年の数だけ豆を食べました。

 

年を取ったら、豆を食べるのが大変だね なんて、

あの頃、あなたと2人で笑いましたっけ。

 

年々、年の数だけ豆を食べるのが大変になってきた私ですが、

今年も無事に、ひと粒、増やすことが出来ましたよ。

 

あなたのところにも、あなたの年の数だけ、豆をお供えしました。

 

そちら側のあなたも、

元気に過ごすことが出来ますように。

 

2019.02.03
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

王様の恥かきっ娘

青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。 本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。 孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます 物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります これもショートショートで書く予定です。

今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど

有賀冬馬
恋愛
「貴族にふさわしくない」そう言って、私を蔑み婚約を破棄した騎士様。 私はただの商人の娘だから、仕方ないと諦めていたのに。 偶然出会った隣国の王子は、私をありのまま愛してくれた。 そして私は、彼の妃に――。 やがて戦争で窮地に陥り、助けを求めてきた騎士様の国。 外交の場に現れた私の姿に、彼は絶句する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...