遊ぶつもりでログインしたら、融合異世界という現実だった。

夜空のかけら

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第82話 毛玉は正義

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「さてと、ここから城の最上部へ行きます」
「最上部?」
「城の上部にはいくつかの塔があるの。ここでは、単に最上部ってことになっているけれど、そこは発着塔って言ってる」
「発着ということは、飛行機が飛んでいるのか?」
「飛んでいるのは、船よ」
「船…発着、宇宙船か!」
「…まぁ、間違いではないわね。私にもいるし」
「私にもいる?」
「そうよ、あなたにも1隻付与する必要があるからね」

 宇宙船を1隻とは、何だろうか。

 円柱へ入り、トーコが意味不明語を言う。

「船たちの遊び場へ」

 は?

「ジムが上で遊んでいる子たちが居るって言ったから、この際決めてしまおうと思って」
「遊んでいる子と船たちが結びつかない」
「まぁ、普通そうよね。行ってみれば、すぐ分かるわ。あ、あの子も呼んでおきましょう」

 円柱で上昇していたが、途中で止る。
 トーコに促されるまま、外に出ると城の上とは思えないほどの広い場所に出た。

「ここは、空間を歪めて広場にしているの。最も、ここに来れるのは下位世界所属と神族だけだけど」
「下位世界?」
「その話は後にしましょ」

 トーコが指を示す方向には、なんだか丸い毛玉がいた。
 色も赤、青、黄色、緑、水色、紫、白、黒、紺…なんだかたくさんだ。
 互いに身体をぶつけ合っているのが分かる。

「そろそろかしら」

 トーコのその声に答えるかのように、一際大きい木目調の丸い物体が広場の端に出現した。
 トーコは、手を取るとその場所まで引っ張って行き、

「この子が、私のパートナーです」

 と、もふもふ毛玉?のところを撫でている。
 なんだか、引きつけられそうな感じが。

 と、その時足下にさっきまでぶつけあっていた毛玉…緑色がいた。

「あらあら、気に入ったのね」

 そういうトーコは、緑毛玉を持ち上げると、目の前に持ってきた。

「この子が、あなたと生涯を共にしたいそうよ。できれば、答えてあげて」

 答えるって、何をすればいいんだ。
 そもそも、生涯を共にするとは何なんだ。
 結婚する訳でもない。
 でも、毛玉、もふもふには耐えられない。

 緑毛玉を撫でる。
 もふもふに悪はない。

 次の瞬間、もふもふと共にメカメカしているところに立っていた。

 そして、どこだか分からないが声が聞える。

「私のお願い聞いてくれてありがとう。私は、緑の毛玉だった者よ。この船は、あなたのもの。神族の長い長い生涯を共にするもの。できれば、名前を付けて欲しいな」

 名前…かぁ、
 朝日だから、アーサーという名前を付けたくらい、ネーミングセンスがないからな。
 自慢することでもないけれど

「うー」
「そんなに急いで付けなくてもいいよ。自分で納得のいく名前を考えて」

 そんなことを言われたら、すぐに付けたくなってしまうじゃないか。

 緑毛玉…ぐり、安直過ぎる
 マリモとかは、どうだ…。
 そのままだ!

「まりも!いいね。それ、ダメ?」
「まぁ、それでいいなら…、ん?」

 今の、声に出していたか?
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