遊ぶつもりでログインしたら、融合異世界という現実だった。

夜空のかけら

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第81話 魔界の人は、普通の人

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貨幣の次は、両替所。
 そこにトーコの知り合いがいるということなので、行ってみた。

「じーさん、頑張ってる?」
「なんだ、トーコか」
「なんだって言うことはないでしょ」
「ああ、まぁ。あと、名前はジムだからな、じーさんはやめろ」
「事務処理なだけあって、ジム。ぴったり名前じゃない」
「気にしているんだから」

 親しげな会話には、入りにくいな。

「そっちの……、ああ、初恋のひ…うぐぐ」
「それ以上言ったら、クビ締めるよ」
「うぐぐ…」

 慌てて、トーコを止める。

「締まってる、締まってる」
「大丈夫よ~、これでも神族だし。ここじゃあ、死んでもすぐに復活するの」

 ようやく、トーコから逃れられたジムが

「見せつけられた感じが強い。引き立て役かよ」

 *
「という訳」

 ジムの仕事は、両替をすることだが、単純に硬貨を受け取って、情報としてカードに流すだけ。
 時間も数秒で、難しいことは何もないのだとか。

「手数料を取るのもおかしいくらい簡単な作業なんですが、決めているのはともえ様やその他の神々なので」
「ボロ儲けよねぇ」

 そういう2人は、息ぴったりな感じ。

「それじゃあ行くわ」
「おう、そっちも神族なら、赤いの青いのとか決めておけよ。ちょうど上で遊んでるぞ」
「あら、ちょうど良い。ありがとね」
「ほいよ~」

 そういうやり取りをすると、トーコはこちらへ来て、次の場所へ案内しだす。

「赤いのって何?」
「あ~、実際に見てもらった方がいいわね。今後のこともあるから」

 謁見室、貨幣、両替所の次に来たのは、城の中央部にある円筒形の場所。
 どこかで似たようなものを見たことがあるぞ。

「ここは、融合異世界で見た城に似ているでしょ。円筒形が」
「確かにそう言われればそうだ」
「あちらもこちらも役割は同じだけれど、こっちは上層や異なる界とも繋がっているの」
「上層?界?」
「上層というのは、そのまんま上の層。界というのは、天界とか魔界とかの界ね」
「魔界っていうと悪魔とかが居る?」
「魔界でも悪い人はいるよ。そんな人を悪魔と言っているだけで、全員が悪魔な訳じゃないの。人でも悪人というし、天使でも堕天使とかいろいろよ」
「なるほど。そう言われるとそうだ」
「だから、魔界の人たちがこういったところに初めて来ると、魔界出身だというだけで悪魔と同義に見られることに悲しさを覚えるらしいわ。まぁ、そのうち慣れてしまうのだけど」
「慣れるって、怒ってもいいと思うけれど」
「怒ると、印象が悪くなるだけでなく、やっぱりって言われちゃうからね。自分自身で見てもらいたい。種族なんて関係ないということね」
「大人だなぁ」
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