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夜空のかけら

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第167話 ミニ サブシナリオ4 上水道

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この町は、上水道が完備されている。
町を囲む平原は、雨が降れば天然の濾過装置として機能し、町へ至るいくつかの場所から水が流れてくるという具合だ。

各家庭で使われた汚水も、下水処理場で浄化され、専用の排出口から海へ放出されている。

一見、雨水を飲料として使っていると思われるが、そこにいくつかの魔法を使ってさらに清浄化させている。

その一つが、水魔法である。

水魔法は、その通り水関係の魔法で、初期魔法でも水を出すことは可能だ。
生活魔法では、浄水という毒物や病原菌を除去する便利魔法だが、水道となればなかなか大変な作業になる。

これを分業したものを魔法学校生徒用にカスタマイズしたものが、依頼として出されている。

一定の高さの魔法を持続的に行使する。
これがなかなか大変なそうな。

「で、これが貯水装置か?」
「見た目はタンクだけに見えるけれどね」

目の前には、味気ないタンク上のものが1つ。
同じように、隣にもいくつかのタンクが見える。

「あの部分の配管だけは、透明なんだな」
「あれは、検査過程。きちんと浄化されているかを見て、不十分ならあの部分で掛けるの」
「常時魔法を使って居ることにならないか」
「なっているわよ。きちんと浄化されていれば、弱いものを掛けるだけ。浄化されていなければ、自分の魔法で浄化するの。あの配管だけで10mくらい蛇行しているから、一度自分の失敗しても何度か掛けるチャンスはあるわ」
「意外と過酷な仕事だな」
「そうね。でも同じ作業は3人で分担しているから」

よく見れば、配管の先には、同じように配管の前に2人いた。

「さぁ、私たちもやりましょう」

と言っても、そっちの方に手を向ける訳でもなく、イメージで魔法は発動する。

浄水、浄水、浄水…

「意外と退屈だぞ、面倒くさいしイメージの維持も大変だ」
「単純作業ほど大変な仕事はないわ。変化が欲しいなら、タンクの壁面を透明にするようにして、タンク内の水流を見ながら浄水の魔法をするといいわよ」
「なるほど、透明か」

透明?
どんな系統の魔法なんだと思ったが、とりあえずやってみることに。

結果はすぐに出た。

見ているタンク壁が透けるように消え、タンクの上部から入った水は壁面を濡らしながら回転して下方へ落ちていく。
下方へ落ちた水は、その最下端から外へ流れていく。

なるほど、こういう水の動きか。

そうなれば、浄水の魔法の掛け方も変わる。
タンク全体に掛けるのではなく、最下端で掛けたり、上部から入って来た場所で掛けるなど。
単純作業の中でも、ちょっとした変化が持続性を生むのだ。

依頼は、大成功に終わったのは、言うまでもない。
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