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審判の日…
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今日は、待ちに待った日だ。
人間ドックをする日。
この日、全てが明らかになる。
「では、人間ドックを始めましょう」
看護師さんがそう言う。
毎回、人間ドックをする病院は小さいけれどアットホームなところだ。
「まずは、身長体重を測りましょう」
これは、身長だけは、健康とは違う。
年齢的にこれ以上伸びないからだが、体重は暴飲暴食をすれば、あっという間に増える。
恐怖の項目だ。
「はい、去年と同じですね」
どうやら、第一関門は通過したと言えるか?
「次に血圧です」
…
「はい、終わりました…。ちょっと前回と違いますね」
「え!?」
「低い方が、さらに低くなっているようですが、まだ許容範囲ですね。どこか問題はありましたか?」
「いえ、何もないです。そうなっているのも初めて聞きました」
「そうですか。全体の結果が出てから再確認した方がいいかもしれませんね」
ほっ、なんだと思ったよ。
一安心かな。
「次に、視力測定です」
最近の視力測定は進んでいて、昔の様に遠くを見ることはせず、機械の中を除くだけ。
その中に、あのCの字みたいなのが表示される。
それをレバーを倒して選択するようなもの。
分からない場合は、ボタンを押す。
「はい、前回と同じで問題ないようですね」
「ちなみに、どうなんでしょうか?」
「両目とも、視力15…いえ済みません、1.5です」
他の方に意識がいっていたらしく、すごい間違いが。
実際に視力が15だったら、晴天の昼間でも星が見えるかもしれない。
「次は、聴力です」
ヘッドホンを付けて、小さな音を聞く。
音が出ている間は、ボタンを押し続ける形。
とても小さい音。
でも、これは問題ない。
むしろ、音というより声が聞きづらくなっているような気がするのだが。
声が音として聞えず、声が判別しにくくなっているような。
年齢原因なら、諦めるしかないのか…
「問題ありませんでした。次はエコーです」
エコー、超音波検査のことである。
上半身の検査着の前面を開け、下腹の一部までズボンを下ろす。
そして、潤滑液?を身体にたらす。
冷えたものではなくて、少し温めてあるものだ。
これで、準備完了。
あとは、身体をぐりぐりする。
内臓などにエコーを当てて、内部の状態を見るのだ。
「………。終わりです」
淡々と検査をして、始まりと終わりしか話さないのかも
「ゼリーは、こちらのおしぼりを使って、拭って下さい」
あ、他も話した。
結果は、なんとなく聞きづらい。
結局、何も聞かずに次へ。
「次は心電図です」
プチプチ
両手首と両足首には、洗濯ばさみみたいなもの。
胸の数カ所には、吸盤みたいなのを取り付けて、波形を見ている。
…さっきの時から、結果を聞きにくいな。
「はい、心電図も終わりですね。問題ないようです」
なんとなく、安心な言葉。
「次は、眼底、眼圧検査です」
これ、苦手。
ものすごい光で、目の奥を撮影する。
残像がすごいのだが、検査だから仕方がない。
「はい、緑色の光を見ていて下さいね」
機械の外側に緑の点があるように見える。
もちろん、実際は違う。
左右別々に、高輝度で撮影。
しかし、両目で2度も失敗。
残像が残ったまま、隣の眼圧検査へ。
この検査、目に空気を当てて調べる。
まとまったというのか、空気の塊が目にあたるのだが、瞬きと同時に空気が当たる。
つまり、失敗なのだが、毎回時間がかかる。
眼底も眼圧も、目を大きく開いて下さいと言われるが、結構たいへんなのだ。
「はい、終わりです。詳細は、先生に見てもらうので、ここでは何とも言えません」
まぁ、そうなるよな。
「次は、検尿です。…今、出ます?」
「大丈夫です」
そういうと、名前が書かれたコップを手渡され
「一番下の線、25と書かれた部分まででいいですよ」
検尿用の便所へ入って、言われた通りにする。
コップは、入ってきたドアと反対側に棚があるので、そちらへ置く。
無論、結果は後ほどだ。
「次は、血液検査…その前に診察に行きましょう」
内科医の診察のために診察室に入る。
聴診器をもった医師が、胸の音などを聞いているようだ。
「終わりです。部屋の外へ出て下さい」
…無愛想?
あまり良い感情が出なかったが、悪い結果を書かれては困るので、素直に外へ。
「では、血液検査。採血をします」
看護師が両腕を見て、左の肘の内側と決めたようだ。
「血管がはっきり出ていていいですね」
なんとも言えない感想が。
「血管が見えない場合はどうするのですか?」
ちょっと意地悪な質問だろうか?
「その時は、手の甲や手首の辺りから取ります。とても、痛いと聞いていますよ」
聞かなきゃ良かった。
注射針がある注射みたいなものでゆっくりと引き、血液を貯める。
それを真空採血管に移し替えた。
計4本?
採血も苦手で、そっちの方を見ていなかったから、推測だが。
そして
「次はレントゲンです」
これは、簡単だ。
2方向から2枚撮影。
何事もなく終了。
最後、トリは、胃検診。
発泡剤と水、バリウムを飲む。
発泡剤を水で流し込むように飲むと
「ゲップはしないように。最初からやり直しになるからね」
その状態のまま1回、撮影したような音がする。
「左手でコップを持って、一口飲んで下さい」
コップの中身は、バリウムだ。
コップは、Lサイズくらいの大きいもの。
ここにバリウム、真っ白く重量があるものがたっぷり入っている。
「飲み込んだ状態をみたいので、もう一度飲んで下さい」
ごくり…。
重い。
「それでは、ゆっくり連続で飲み込んで下さい」
ゆっくり連続して飲む。
最初は何でもなくても、連続すれば飲みづらくなってくる。
結構飲み込み、もうバリウムも少なくなったと思ったら、
「はい、そこまででいいです」
やっと終了か。
「次は、指示通り、その場で回ってもらいます」
検査台の上でうつ伏せ、仰向けを繰り返す。
なんでも、胃壁の中にバリウムを張り付かせるのが目的だと言う。
「はい、3回転してください」
ぐるぐる…
「…次に2回転して、うつ伏せで止って下さい。少し傾斜しますので、落ちないように左右のバーをしっかり握って下さい」
指示通り、指示通り。
バリウム重い。
しばらく指示通り。
「では、もうゲップを出しても良いですよ。むしろ、頑張って出して下さい」
「…無理」
「無理に出す必要はないので、深く考えなくてもいいですよ」
機械から、身体の一部を押す腕のようなものが接近してくる。
「これで、一部を押しますので、痛かったら言ってください」
ぐりぐりされた。
胃とかその下の腸とか。
「はい、終了です」
これで、人間ドックの全項目は終了。
結果が出るまで少し係るとのことで、その日が来るのが待ち遠しい。
いや、その結果こそが、身体の成績表。
審判の書なのかもしれない。
…バリウムは白い。重い。
下剤をもらって、本当に終了した。
前日9時から絶食。
同じく10時から水や白湯以外は飲んではいけない。
疲れました。
気疲れ?
今日は、ぐっすり眠れそうです。
では、さよなら~。
人間ドックをする日。
この日、全てが明らかになる。
「では、人間ドックを始めましょう」
看護師さんがそう言う。
毎回、人間ドックをする病院は小さいけれどアットホームなところだ。
「まずは、身長体重を測りましょう」
これは、身長だけは、健康とは違う。
年齢的にこれ以上伸びないからだが、体重は暴飲暴食をすれば、あっという間に増える。
恐怖の項目だ。
「はい、去年と同じですね」
どうやら、第一関門は通過したと言えるか?
「次に血圧です」
…
「はい、終わりました…。ちょっと前回と違いますね」
「え!?」
「低い方が、さらに低くなっているようですが、まだ許容範囲ですね。どこか問題はありましたか?」
「いえ、何もないです。そうなっているのも初めて聞きました」
「そうですか。全体の結果が出てから再確認した方がいいかもしれませんね」
ほっ、なんだと思ったよ。
一安心かな。
「次に、視力測定です」
最近の視力測定は進んでいて、昔の様に遠くを見ることはせず、機械の中を除くだけ。
その中に、あのCの字みたいなのが表示される。
それをレバーを倒して選択するようなもの。
分からない場合は、ボタンを押す。
「はい、前回と同じで問題ないようですね」
「ちなみに、どうなんでしょうか?」
「両目とも、視力15…いえ済みません、1.5です」
他の方に意識がいっていたらしく、すごい間違いが。
実際に視力が15だったら、晴天の昼間でも星が見えるかもしれない。
「次は、聴力です」
ヘッドホンを付けて、小さな音を聞く。
音が出ている間は、ボタンを押し続ける形。
とても小さい音。
でも、これは問題ない。
むしろ、音というより声が聞きづらくなっているような気がするのだが。
声が音として聞えず、声が判別しにくくなっているような。
年齢原因なら、諦めるしかないのか…
「問題ありませんでした。次はエコーです」
エコー、超音波検査のことである。
上半身の検査着の前面を開け、下腹の一部までズボンを下ろす。
そして、潤滑液?を身体にたらす。
冷えたものではなくて、少し温めてあるものだ。
これで、準備完了。
あとは、身体をぐりぐりする。
内臓などにエコーを当てて、内部の状態を見るのだ。
「………。終わりです」
淡々と検査をして、始まりと終わりしか話さないのかも
「ゼリーは、こちらのおしぼりを使って、拭って下さい」
あ、他も話した。
結果は、なんとなく聞きづらい。
結局、何も聞かずに次へ。
「次は心電図です」
プチプチ
両手首と両足首には、洗濯ばさみみたいなもの。
胸の数カ所には、吸盤みたいなのを取り付けて、波形を見ている。
…さっきの時から、結果を聞きにくいな。
「はい、心電図も終わりですね。問題ないようです」
なんとなく、安心な言葉。
「次は、眼底、眼圧検査です」
これ、苦手。
ものすごい光で、目の奥を撮影する。
残像がすごいのだが、検査だから仕方がない。
「はい、緑色の光を見ていて下さいね」
機械の外側に緑の点があるように見える。
もちろん、実際は違う。
左右別々に、高輝度で撮影。
しかし、両目で2度も失敗。
残像が残ったまま、隣の眼圧検査へ。
この検査、目に空気を当てて調べる。
まとまったというのか、空気の塊が目にあたるのだが、瞬きと同時に空気が当たる。
つまり、失敗なのだが、毎回時間がかかる。
眼底も眼圧も、目を大きく開いて下さいと言われるが、結構たいへんなのだ。
「はい、終わりです。詳細は、先生に見てもらうので、ここでは何とも言えません」
まぁ、そうなるよな。
「次は、検尿です。…今、出ます?」
「大丈夫です」
そういうと、名前が書かれたコップを手渡され
「一番下の線、25と書かれた部分まででいいですよ」
検尿用の便所へ入って、言われた通りにする。
コップは、入ってきたドアと反対側に棚があるので、そちらへ置く。
無論、結果は後ほどだ。
「次は、血液検査…その前に診察に行きましょう」
内科医の診察のために診察室に入る。
聴診器をもった医師が、胸の音などを聞いているようだ。
「終わりです。部屋の外へ出て下さい」
…無愛想?
あまり良い感情が出なかったが、悪い結果を書かれては困るので、素直に外へ。
「では、血液検査。採血をします」
看護師が両腕を見て、左の肘の内側と決めたようだ。
「血管がはっきり出ていていいですね」
なんとも言えない感想が。
「血管が見えない場合はどうするのですか?」
ちょっと意地悪な質問だろうか?
「その時は、手の甲や手首の辺りから取ります。とても、痛いと聞いていますよ」
聞かなきゃ良かった。
注射針がある注射みたいなものでゆっくりと引き、血液を貯める。
それを真空採血管に移し替えた。
計4本?
採血も苦手で、そっちの方を見ていなかったから、推測だが。
そして
「次はレントゲンです」
これは、簡単だ。
2方向から2枚撮影。
何事もなく終了。
最後、トリは、胃検診。
発泡剤と水、バリウムを飲む。
発泡剤を水で流し込むように飲むと
「ゲップはしないように。最初からやり直しになるからね」
その状態のまま1回、撮影したような音がする。
「左手でコップを持って、一口飲んで下さい」
コップの中身は、バリウムだ。
コップは、Lサイズくらいの大きいもの。
ここにバリウム、真っ白く重量があるものがたっぷり入っている。
「飲み込んだ状態をみたいので、もう一度飲んで下さい」
ごくり…。
重い。
「それでは、ゆっくり連続で飲み込んで下さい」
ゆっくり連続して飲む。
最初は何でもなくても、連続すれば飲みづらくなってくる。
結構飲み込み、もうバリウムも少なくなったと思ったら、
「はい、そこまででいいです」
やっと終了か。
「次は、指示通り、その場で回ってもらいます」
検査台の上でうつ伏せ、仰向けを繰り返す。
なんでも、胃壁の中にバリウムを張り付かせるのが目的だと言う。
「はい、3回転してください」
ぐるぐる…
「…次に2回転して、うつ伏せで止って下さい。少し傾斜しますので、落ちないように左右のバーをしっかり握って下さい」
指示通り、指示通り。
バリウム重い。
しばらく指示通り。
「では、もうゲップを出しても良いですよ。むしろ、頑張って出して下さい」
「…無理」
「無理に出す必要はないので、深く考えなくてもいいですよ」
機械から、身体の一部を押す腕のようなものが接近してくる。
「これで、一部を押しますので、痛かったら言ってください」
ぐりぐりされた。
胃とかその下の腸とか。
「はい、終了です」
これで、人間ドックの全項目は終了。
結果が出るまで少し係るとのことで、その日が来るのが待ち遠しい。
いや、その結果こそが、身体の成績表。
審判の書なのかもしれない。
…バリウムは白い。重い。
下剤をもらって、本当に終了した。
前日9時から絶食。
同じく10時から水や白湯以外は飲んではいけない。
疲れました。
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