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第4章 最後に笑うのは私たち?

23 サブシナリオ

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メインシナリオ”今の伴侶ともう1度” のサブシナリオは、運営側が固定として設定しているものに加え、自らが自由に選択できるものが1つある。以前に選択していたものは、破棄されるので、前と同じものを選択するのも、前とは違うものを選択するのも自由になる。

運営側の固定サブシナリオ以外であれば、なんでも可能らしい。
運営側固定サブシナリオは、”舞踏会でダンスを楽しもう”だった。
要は、クライマックスを避けることはできないということ。
ただし、ダンスは習得必要。こればっかりは、シナリオ内に組み込まれて、強制的にあるレベルまで習得させられる。

***

私が選んだ、サブシナリオは…”奇跡を求めて”

栞の両親である、所夫妻にもう1度会いたい。
そんな気持ちから、栞の選んだサブシナリオと同じもの。

ただし、栞と一緒にそのサブシナリオをするのではなく、個別に攻略する。
なぜなら、このサブシナリオ。仮想体の開始年齢が10歳!
性別は選べる。
メインシナリオとの兼ね合いもあり、今回は女性しか選べない。

だから、10歳の女の子として、島内に転送される。
今は、シナリオ開始前なので、島外と同じ格好。
開始後に、シナリオの始点条件に沿った外見に変わる。
ミーティングルームに来ると、それぞれのシナリオに沿った格好という、のちのちの話のネタに困らないものになるだろう。
なんだか、楽しみね。

今の年齢が何であれ、10歳になれるのは嬉しい。
仮に今の年齢が30歳でも100歳でも10歳になれる。
女性にはうれしいシナリオと言えるかも。
当然、10歳の子には両親がいる。両親は、ランダム。ランダムに選ばれた2人から、要素を合わせて、私の外見が決まる。
ただ、何か所かの要望は反映されるらしい。
背を高くとか、やせ型だとか、たらこ唇は嫌とか。あのコンプレックスを解消することも可能。
何が”あの”なのかは、ナイショ。

メインシナリオの舞踏会開始年齢は、最初から16歳固定。
6歳分をなんとかしないといけないのだが、そこはシナリオを強引にクリアできる処理でなんとかなる…らしいが、クリアしただけで、そのサブシナリオの目的である奇跡は起きない…と、ともえに言われた。
何か、含みがあるような助言だったのが気になるところ。でも、言ってくれないだろうなぁ、。

***

サブシナリオ”奇跡を求めて”

概要:ありとあらゆる場所で、時間で、人で…想像もできない悲劇や災害は起こります。もう一度、あの場所を見てみたい。あの時に戻りたい。あの人に会いたい…そんなあなたの望みをかなえます。
”奇跡”とは、運命に逆らえない私たちが唯一起こせる人智を超えられるもの。あなたが、このシナリオをクリアしたとき、その”奇跡”は起こります。望めば、”奇跡”は、ひと時ではなく、永遠にあなたの元に留まることでしょう。
さぁ、あなたの奇跡を求めにいきましょう。

★★★重要事項★★★
このサブシナリオは、初回の1回しか選択できません。クリアするしないに限らず、2回以上は選択できないこととなっており、次回の入島時のシナリオ選択肢にもでません。”奇跡”は1回限り。”奇跡”の内容については、十分検討してください。申請後は、どんな理由であっても変更はできません。
★★★★★★★★★★

クリア条件:あらかじめ申請された”奇跡”に対して、あなたの行動でそれが叶うかもしれません。良い行いには、褒美としての”奇跡”を。悪い行いには、”奇跡”とは真逆の”再現”を。私が叶えて差し上げます。

クリア時の特典:申請された内容を、どんなことであっても実現させます。島外ではできないことでも、この”天国”なら可能です。ともえ承認。”ともえ頑張る”

シナリオ始点:固定イベント終了後、開始

固定イベント詳細:島内のある場所に住む両親へ10歳の子供として、直接入島します。入島後、感覚に慣れてもらうため、3日間過ごしてもらいます。その後、両親とともに、隣町へ買い出しに行くことになります。
しかし、盗賊に襲われ両親は命を落としてしまいます。
あなたは、運よく、通りかかった商人の護衛に助けられることになりますが…

運営側からのアドバイス:入島後の両親との楽しい生活は3日しかありません。思いっきり甘えてください。なお、両親に買い出しに行くことを反対しても、固定シナリオ上、変更はありません。シナリオを開始する上での、必要な事件ということになります。

それでは、シナリオ開始です。

***

…クリア時の特典の最後、”ともえ頑張る”、いつから、ともえはぶりっ子になった?
気持ち悪いと感じる私は、かなり終わっているのかしら。
でも、そうね。
”天国”なら、奇跡も起きるでしょうね。
あの”ともえ”がお墨付きを与えているのだから、叶わない奇跡などはないだろうしね。

***

そうして、私は10歳の女の子になって、とある両親の元へ。
朝になって、目覚めた時から、固定シナリオが始まり、そのうち両親が死んでいくのを見ることになるのだろう。
なんて、嫌な出来事だろうか。
ともえ、恨むよ。
最初からこんなのだと、思わなかった。

栞は、大丈夫かな。


そんなことを考えていた時だった。

△△△警告△△△
島外にある本体との接続が不安定になっています。
現在、問題対処チームが原因の確認を行っています。
お手数をおかけしますが、なるべく早く島外へ帰還して下さい。
場合によっては、設定しているシナリオを強制終了し、緊急対応を行う可能性があります。
△△△△△△△△

接続が不安定でも、奇跡を起こすシナリオは、1回。これが最初で最後。島外へ行けるわけがない。

私は、そのときうっかりしてた。
とあることをすっかり忘れていることに。
そして、それが思いもつかない結末を生むことになろうとは。

後にともえから聞かされた。あの警告は、接続不良で出る一般的なもの。
ただし、本体の状況が仮想体生成時に遡って要確認という警告が運営側にも提示されていて、ともえだけではなく、天使(トモエ天国の運営側の人に付けられたあだ名)もひっくるめて大騒ぎになったそうだ。
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