約束の続き

夜空のかけら

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第7章 理の使命

60 ともえ様?の思惑

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よしよし、私の思い描いていた構図になりつつあるわね。これからが、私の本領発揮よ。

「おい、ともえ」

まずは、びっくり箱を送り込んだから、次は魔王辺りを投下しようかしら。

「ともえ~」

そうなると、ゆかりも巻き込まないとね。まぁ、黙ってやっちゃおう。

「ともえ!こっちを向け!」
「あいたたた、何をするのよ!!首が落ちるじゃないの。」

首をねじ切ろうとしたのは、わが夫であり過去にはお兄様wでもあった天神さまだった。

「あなたって、いつも乱暴ね。こんな繊細な私を捕まえて何をしようと思うの?」
「…今の仕事を全部あげてもいいぞ。」
「いえ、遠慮します。それで、何か用ですか?」

天神さまが、ため息を漏らす。

「奥さま連中だけじゃなく、家族もひっくるめて同じシナリオに投入するつもりだろう。」
「あら、どうしてわかったの?私、何も言っていないわよ。」

また、ため息。

「はぁ…、どれくらい一緒にいると思っているんだ?仕事中の俺に聞きに来ていたよな。宿題。昔は、べったりだったし。」
「仕方がないじゃない。生まれた時には、私を見て笑ったじゃない。刷り込まれたのよ。」
「お前は、鳥か!屋敷の周囲に大量増殖した虹鳥(こうちょう)か?」
「あれは、凄いわね~。一体なんであんなに増殖したのかしら。」
「しらばっくれるな。お前が力を駄々洩れしたから、回収のために増えた。あとで、きちんと吸収しておけよ。と、話をそらしたな。」
「え~何のことでしょう。」
「あのデスゲームとか言ったか。シナリオのはずなのに、間力の投入量が急激に増大しているぞ。」
「シナリオよ。あれは。」
「誤魔化してもムダだ。コアにも確認した。シナリオから離脱させて、1つの世界として昇格させようとしていることは、把握済みだ。」
「へぇ~、そんなことができるんだ。」

もう、ばれているっぽいけれど、ここは知らぬ存ぜぬで押し切らないと、私の楽しみが減ってしまう。全く、コアには言わないでって言ったのに~うらぎりもの~。

「ほほう、コアに口止めを要請していたとはな。コアは、いい年した大人が何をしているんだか。そろそろ、本来の役割に戻った方がいい、私は母親じゃないんだから。出張中の怖い母親を当ててもいいだけど。と言っていたぞ。」
「あの母親だけは、勘弁してください。トラウマが…。」
「そんなにおびえるのが分からないのだが。そもそも、あの母親はことちゃんの…だろ。一体何があったのか。」
「ノーコメントで。」
「ふむ、それで、シナリオ離脱昇格作業について、説明を。」
「面白い展開要望!」
「全く、懲りないやつだな。とりあえず、今、中にいる者とこれから来る者に対しては、系列と枝魂(えこん)に対して、意識体の保存と全面保護を命じておいた。そもそも、お前が関与した世界は、魂ごとの問題事案が多すぎる。これが終わったら、しばらくは上位世界で研修だとさ。」
「ええ!それは、ちょっと、行きたくない。」
「もう決定しているぞ。神界の出頭命令を拒否できると思うか。俺も同行するように命令が来ているから、とばっちりもいいところだ。」
「屋敷は?屋敷はどうするの。」
「洋(ひろし)と大空(そら)に任せる。ことちゃんもいるから、ちょうどつり合いが取れていい。休暇を潰して申し訳ないと言ったら、休暇中にすることがなかったので、渡りに船です。とか言っていたぞ。葉子(はこ)さんは、所属先の魔界の領地を見に行くそうだから、終われば、すぐに帰還すると言っていたが。」

はぁ、これが最後の娯楽なのか。今まで好き勝手にやってきた報いなのかな。

「頑張れば、1週間くらいで帰れるらしいぞ。」
「1週間で終わる訳ない。それに、向こうとこっちの時間差なんて、考えるのも…。」
「大丈夫だろ、向こうでの1週間が、こっちの1万年近くでも、その間、分体を置いておけば帰還時の統合で本体にない記憶も一緒になるから、空白時間はなくなるだろう。」
「記憶や経験は統合されても、私の実感がなくなるから、嫌なの。」
「…、好き勝手やってきた報いだ。そうそう、出頭日は、神王さまから、ありがたいお言葉がもらえるそうだぞ。よかったな。」

がーん。終わった。終わったわ。私、戻されるのかしら。今の身分から人の身分?それとも、さらにその下の暗黒物質とか?ああ、怖い。怖すぎる。

「戻されることはないだろう。たぶん。お前が戻されると俺も連帯責任だし、1週間で元の身分に上がるのは無理だ。だから、本当の説教だろうな。」

説教でも嫌。でも、ここでわがままを言えば、戻されそうだから、気は進まないけれど、おとなしく出頭しよう。コアにも、あの親父のことは聞いておこう。親父でもコアには、頭が上がらないそうだから。流石に、全空間管理を行っている上位世界のナンバー3は、違う。

「ああ、そうだ。あの件、神王さまからゴーサインが出たぞ。コアも同じだ。魔神は、ことちゃんにお任せ~と言ったし、他の界や精霊・霊界、管理者会議でも了解が得られた。俺たちは、設立に立ち会えないが、分体がやってくれるだろう。という訳でともえ、出頭まで思う存分にやっていいぞ。」

説教を受けるのは、変わらない。
じゃあ、ここは全力投入ということで。
半ば、やけくそで次々に投入することになった。
奥さま&家族を…
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